株式会社トクホン(英語:TOKUHON Corporation)は、東京都豊島区高田に本社を置き、外用消炎鎮痛薬の製造を主とする日本の製薬会社である。また、同社が製造し、大正製薬が販売する消炎鎮痛プラスターの商品名も「トクホン」である。
概要
創業者の鈴木由太郎(すずきよしたろう)が、1901年(明治34年)に東京・本所にて医薬品製造をおこなう「鈴木日本堂」(すずきにほんどう)を創業する。当時はかぜ薬「オピトリン」、頭痛膏「乙女桜」、萬金膏「シカマン」などを製造ならびに販売しており、徐々に業績をのばしていったが、1923年(大正12年)9月の関東大震災によって全てを失った。1933年(昭和8年)に、室町時代後期から江戸時代初期にかけて活動した医師で、「医聖」の異名を取る永田徳本から名を取った「トクホン」を発売。これがロングセラーとなったことで、外用消炎剤分野での地位を確立させると共に、1948年(昭和23年)には株式会社へと改組する。
「トクホン」はライバル会社の久光製薬が製造・販売する「サロンパス」と並ぶ外用消炎剤のトップブランドとして広く親しまれている。
長年にわたり、外用消炎剤での地位を維持する一方、1989年(平成元年)には現社名に改めると共に、一時内服液分野にも進出したことがあるが、こちらは業績的に振るわず、1993年(平成5年)に撤退。以後は外用消炎剤一本で同社の経営を維持している。
2012年(平成24年)7月2日に、株式交換により大正製薬の完全子会社となった[2]。
沿革
- 1901年(明治34年) - 「鈴木日本堂」として東京・本所にて創業。
- 1933年(昭和8年) - 「トクホン」発売。
- 1948年(昭和23年) - 法人化し、株式会社鈴木日本堂(トクホン本舗)となる。
- 1950年(昭和25年) - 海外進出開始。ハワイと米本土に輸出。
- 1953年(昭和28年) - 東京都中央区日本橋本町四丁目に本社ビル竣工。
- 1953年(昭和28年)8月1日 - 埼玉県草加町氷川町の工場で爆発事故。死者5人、重軽傷者6人[3]。
- 1977年(昭和52年)ジャガー軟膏発売
- 1989年(平成元年) - 株式会社トクホンに商号(社名)変更。
- 2008年(平成20年)1月 - 本社を港区芝二丁目に移転。
- 2009年(平成21年) - 田邉芳男が創業家以外で初めての社長に就任。
- 2012年(平成24年)7月 - 簡易株式交換により大正製薬株式会社の子会社となる。
- 2013年(平成25年)4月 - 医療用医薬品「ヤクバンテープ」、「ステイバンパップ」、「フルルバンパップ」に関し、販売委託先を田辺三菱製薬株式会社及び祐徳薬品工業株式会社(祐徳薬品工業は「ステイバンパップ」のみ)から大正製薬のグループ会社である大正富山医薬品株式会社(現・大正ファーマ株式会社)に変更。代表取締役 社長執行役員 加藤隆彦が就任。
- 2013年(平成25年)10月 - OTC医薬品の販売を大正製薬株式会社へ移管。これにより、「トクホン」をはじめとする当社のOTC医薬品が大正製薬の製品として扱われることとなる。また、OTC医薬品の販売移管に先立ち、名古屋営業所並びに大阪営業所を同年9月末をもって閉鎖。
- 2014年(平成26年)2月 - 本社を東京都豊島区高田三丁目に移転。
- 2014年(平成26年)4月 - 医療用医薬品「ヤクバンテープ」の科研製薬株式会社での販売を同年3月末で終了し、販売委託先を大正富山医薬品株式会社(現・大正ファーマ株式会社)に一本化。
主要商品
一般用医薬品
当社が製造している製品は販売移管に伴って2013年10月より大正製薬の製品となった。現行製品は大正製薬製品一覧#外用鎮痛・消炎剤を参照。本稿では製造・販売を終了した製品を述べる。
- 医薬品
- オピトリン - 初期の頃に発売された風邪薬
- 乙女桜 - 初期の頃に発売された頭痛膏
- シカマン(初期の頃に発売された萬金膏) → キクマン(「シカマン」から名称変更した貼付薬)
- トクホンダッシュ → トクホンダッシュA → トクホンVダッシュ - スプレー式鎮痛消炎剤。現在は「トクホンダッシュエアロ」。
- トクホンチール - 液タイプの鎮痛消炎剤。現在は「チールA(商品名:トクホンチールA)」
- ジャガー - ゲル状軟膏タイプのかゆみ止め薬
- トクホンカロップ - 軟膏タイプの鎮痛消炎薬
- トクホンケイラクテン - 鎮痛消炎ペレット剤
- トクホン-ハイクリア - 透明タイプの鎮痛消炎プラスター。
- トクホンクリアー(販売名:トクホンクリア)【第3類医薬品】 - 貼っても目立たず、通気性に優れた穴あき・透明タイプの鎮痛消炎プラスター。発売当初は「トクホンクリア」として発売したが、2000年に商品名を改名した。2013年9月をもって一旦製造・販売を終了したが、2020年10月にファンデーションカラー・微香タイプのシップ剤として復活し、大正製薬から発売されている(当初はAmazon.co.jp限定品として発売されていたが、後に他のECサイトや店頭にも販路が拡大される)。
- セーフワン - 解熱鎮痛薬
- トクホン内服液 - ドリンク剤
- トクホンA - 外用鎮痛プラスター
- トクホンリキ - ドリンク剤
- トクホンシップA - 外用鎮痛消炎パップ剤。「トクホンシップ(冷)」に統合。
- トクホンID - インドメタシン配合の軟膏タイプの鎮痛消炎薬。「チールメタシンゲル」へ継承
- インテパップ → 新インテパップ- インドメタシン配合の鎮痛消炎パップ剤。「トクホンシップ(冷)ID」へ継承。
- トクホンハップ(冷)ID【第2類医薬品】 - インドメタシン0.5%配合の冷感パップ剤。大正製薬の製品に「メンフラアイスα<IM>【第2類医薬品】」があるため、2013年9月をもって製造・販売を終了(なお、2015年に「メンフラ」ブランドのパップ剤の製造終了に伴い、「メンフラアイスα<IM>」も製造を終了している)。
- トクホンハップ(温)ID【第2類医薬品】 - インドメタシン0.5%にトウガラシエキスも配合した温感パップ剤。大正製薬の製品に「メンフラホットα<IM>【第2類医薬品】」があるため、2013年9月をもって製造・販売を終了(なお、2015年に「メンフラ」ブランドのパップ剤の製造終了に伴い、「メンフラホットα<IM>」も製造を終了している)。
- チールメタシン【第2類医薬品】 - インドメタシン1%・l-メントール3%をダブル配合した液タイプの鎮痛消炎薬。2013年9月をもって製造・販売を終了。
- チールメタシンゲル【第2類医薬品】 - インドメタシン1%・l-メントール3%をダブル配合したゲルタイプの鎮痛消炎薬。
- トクホンフェルビナローション【第2類医薬品】 - フェルビナク、l-メントール、ビタミンE酢酸エステルを配合したローションタイプの鎮痛消炎薬。2013年9月をもって製造・販売を終了。
- 医薬部外品
- トクホンの湯 - 薬用入浴剤。元々貼り薬「トクホン」のプロモーションの一環として添付したオリジナル入浴剤が反響を呼び、製品化を望む声があったため、より効果の高い処方を行って製品化したものであった。(製造販売元:北陸化成)
- 衛生雑貨品
- トクホンサポーターMOOVY(ムーヴィー) - 厚さ0.5mmの極薄生地に特許取得のシリコン加工を施し、筋肉と靭帯を圧迫・保護する機能性サポーター。シリコンの塗布位置は整形ドクター監修のもとで特定している。ひじ専用、ひざ専用、ふくらはぎ専用の3タイプがあり、それぞれにふつうサイズと大きめサイズの2サイズを用意していた。
- トクホン極冷ジェルシート - 貼り薬の技術を用いた冷却ジェルシート。10時間の冷却テスト(当社試験)をクリア。さらに、ジェル特有の嫌なニオイをマスキングするため、ユーカリオイルを配合している。
医療用医薬品
当社が製造する医療用医薬品は大正製薬が販売を行う。
- ヤクバンテープ 20 mg/40 mg/60 mg
- クラリスロマイシン錠 200 mg/ 50 mg小児用/ドライシロップ10 %小児用「大正」*クラリスのオーソライズド・ジェネリック
- 炭酸リチウム錠 100 mg/200 mg「大正」*リーマスのオーソライズド・ジェネリック
トクホン歴代広告 (TV-CM) キャラクター
スポンサー番組
テレビ
- 現在
なし
- 過去
ほか
ラジオ
- 現在
- 過去
関連団体
脚注
- ^ a b c 株式会社トクホン 第76期決算公告
- ^ 当社株主の異動と株式交換契約締結に関するお知らせ (PDF, 株式会社トクホン、2012年4月27日)
- ^ 日外アソシエーツ編集部 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年9月27日、93頁。ISBN 9784816922749。
- ^ 「トクホン製品」新TVCM放映のご案内 (PDF, 株式会社トクホン、2012年4月19日)
関連項目
外部リンク