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チシマクロノリ

チシマクロノリ
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 植物界 Plantae (アーケプラスチダ Archaeplastida)
: 紅色植物門 Rhodophyta
: ウシケノリ綱 Bangiophyceae
: ウシケノリ目 Bangiales
: ウシケノリ科 Bangiaceae
: ウップルイノリ属[1] Pyropia
: チシマクロノリ P. kurogii
学名
Pyropia kurogii (S.C.Lindstrom) S.C.Lindstrom, 2011
シノニム
  • Porphyra kurogii S.C.Lindstrom, 1992

チシマクロノリ(千島黒海苔、学名Pyropia kurogii)は、紅藻ウシケノリ綱に属するアマノリ類 (狭義の海苔) の1種である。種小名の kurogii は藻類学者の黒木宗尚への献名。英ウェールズ地方などで食用とされる Porphyra umbilicalis と同種とされていたが、別種であること明らかとなり、またその後の分子系統学的研究をもとに別属 (Pyropia) に移された。

特徴

葉状体は円形から披針形、大きなものは 30 x 15 cm に達する[2]。色はやや赤味を帯びた褐色から黄褐色。厚さは33–60 µm。縁辺は全縁でやや波打ち、顕微鏡的な鋸歯を欠く。

葉状体は雌雄同株、雌部 (造果器が形成される部分) と雄部 (造精器が形成される部分) が左右に分離している[2][3]。不動精子が放出されると雄部が脱落し、この方向に葉状体が湾曲する。ときに雌雄異株の個体も存在する。造精器は最大128個 (2–4 x 2–4 x 4–8個) の不動精子を形成、受精した造果器は16または32個 (2 x 2–4 x 4個) の果胞子 (接合胞子) を形成する[4][3]。果胞子は発芽して微小な糸状体 (胞子体、コンコセリス期) となり、殻胞子を形成して葉状体 (配偶体) に戻る。葉状体は原胞子による無性生殖は行わない[2]。染色体数は n = 4[3]

葉状体は夏から秋に現れ、冬は糸状体で過ごす[3]

分布

北海道東部、千島列島樺太アラスカカナダ太平洋岸に分布する[2][5]。葉状体は潮間帯中部から下部の岩上で見られる[4][3]

分類

本種はながらく英ウェールズ地方などで食用とされる Porphyra umbilicalis と同種であるとされてきた。しかし別種であることが判明し、1992年に新種 Porphyra kurogii として記載された[6]。その後、分子系統解析に基づくアマノリ類の分類見直しにより、Pyropia 属が再建されそこに移された[1][7]。さらに2020年に Pyropia 属を複数の属に分割することが提唱されたが、チシマクロノリは狭義の Pyropia 属に含まれることが示されている[1][4]

参考文献

  1. ^ a b c 有賀 祐勝 (2020年). “アマノリ類の学名”. 海苔の豆図鑑. 一般財団法人 海苔増殖振興会. 2020年7月23日閲覧。
  2. ^ a b c d 有賀 祐勝 (2020年). “チシマクロノリ”. 海苔の豆図鑑. 一般財団法人 海苔増殖振興会. 2020年7月23日閲覧。
  3. ^ a b c d e 吉田 忠生 (1998). “チシマクロノリ”. 新日本海藻誌. 内田老鶴圃. pp. 444, 446. ISBN 978-4753640492 
  4. ^ a b c Yang, L. E., Deng, Y. Y., Xu, G. P., Russell, S., Lu, Q. Q. & Brodie, J. (2020). “Redefining Pyropia (Bangiales, Rhodophyta): four new genera, resurrection of Porphyrella and description of Calidia pseudolobata sp. nov. from China”. Journal of Phycology. doi:10.1111/jpy.12992. 
  5. ^ Guiry, M.D. & Guiry, G.M. (08 June 2020). “Pyropia kurogii (S.C.Lindstrom) S.C.Lindstrom 2011”. AlgaeBase. 2020年7月24日閲覧。
  6. ^ Lindstrom, S.C. & Cole, K.M. (1992). “A revision of the species of Porphyra (Rhodophyta, Bangiales) occurring in British Columbia and adjacent waters”. Can. J. Bot. 70 (10): 2066-2075. doi:10.1139/b92-256. 
  7. ^ Sutherland, J. E., Lindstrom, S. C., Nelson, W. A., Brodie, J., Lynch, M. D., Hwang, M. S., ... & Farr, T. (2011). “A new look at an ancient order: generic revision of the Bangiales (Rhodophyta)”. Journal of Phycology 47 (5): 1131-1151. doi:10.1111/j.1529-8817.2011.01052.x. 

関連項目

外部リンク

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