ダンコウバイ
ダンコウバイ(檀香梅[5]、学名: Lindera obtusiloba)は、クスノキ科クロモジ属の落葉低木・小高木の一種。別名でウコンバナ[5][6]、シロヂシャ[5]ともよばれる。和名の由来は、実や葉、また材が檀香(ビャクダン:白壇)のように香り、花がウメ(梅)に似ていることによる[6]。丸みのある浅く3裂した葉が特徴。 分布・生育地中国、朝鮮半島、日本に分布する[7]。日本では本州(新潟県、関東地方以西)、四国、九州に分布する[7][8]。山地の雑木林内や林縁の明るい場所に自生する[9][10][6]。植栽されることは稀であるが、庭にも植えられる[9][5]。 特徴落葉広葉樹の低木から小高木[7][6]。成木は樹高2 - 7メートル (m) [5][11]、幹の直径約18センチメートル (cm) 。樹皮は暗灰色から茶褐色で滑らかであるが、皮目が多く少しざらつく感じになる[7][11]。小枝は日当たりのよい面は赤味を帯び、日陰側は緑色であることが多い[11]。枝を折ると芳香がある[5][11]。 花期は3 - 4月[7]。雌雄異株で、雄株のほうが花数が多い[5]。葉が芽吹く前に、芳香がある黄色い小さな花を散形花序に多数つける[7][5][8]。雄花と雌花の花被片は6個で楕円形[5][8]。雄花の雄蕊の花糸に1対の密腺がある[12]。花序の柄は長さ1ミリメートル (mm) ほどついている[12]。 葉は互生し、柄がある。葉身は幅広い倒卵形で、長さは5 - 15 cm、幅は4 - 13 cm[8]、基部が幅広く丸くなり先端が浅く3裂するのが基本であるが、なかには裂けないものもある[7][6]。葉質はやや厚く、表面はつやのない緑、若葉の裏面には毛が生えている。葉によって裂け方にかなり個体差があり、裂けない葉もある[8]。外見的には葉の形などシロモジにやや似る。葉も揉むとわずかに芳香がある。秋になると葉は黄葉して鮮やかな黄色に染まり、やがて落葉する[6]。ダンコウバイの葉のように浅く3つに切れ込む葉は他にみられず、葉の形で簡単に見分けられる[9]。 果期は9 - 10月[7]。果実はクスノキの実を少し大きくしたような光沢のある球形で、直径は7 - 8 mmほどあり[6][5]、はじめは赤色であるが秋の黄葉の時期に熟して黒紫色に変わる[7][11]。種子は淡褐色から褐色で強い香りがある。 冬芽は互生し、葉芽は長楕円形で、花芽はほぼ球形[11]。芽鱗は赤茶色で花芽は2 - 3枚、葉芽は4 - 5枚ある[11]。落葉のころには来春の花芽が葉腋にでき、つぼみのまま越冬する[5]。葉痕は半円形で、維管束痕が3個つく[11]。
類似する植物ウコギ科のカクレミノ(Dendropanax trifidus)は常緑樹で、葉がダンコウバイやシロモジ(Lindera triloba)にやや似ており、秋に古い葉の一部が橙色から黄色に紅葉する[9]。シロモジもダンコウバイも、切れ込みのない葉が時折混じる[9]。 利用庭木に利用されている[8]。材は芳香があり、楊枝や細工物に使う[7]。種子からは油がとれる[7]。果実には香りのいい油分があって、朝鮮では種子の油を高級な髪油として用いた[13]。 種の保全状況評価日本の以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[14]。 脚注
参考文献
関連項目外部リンク
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