ザック・ワイルド
ザック・ワイルド(Zakk Wylde)ことザカリー・フィリップ・ワイルド(Zachary Phillip Wylde、出生名:ジェフリー・フィリップ・ヴィーラント(Jeffrey Phillip Wielandt)、1967年1月14日 - )は、アメリカのギタリスト兼シンガーソングライターである。ブラック・レーベル・ソサイアティのヴォーカリスト兼ギタリストとして活動している。また、オジー・オズボーンのバンドのギタリストとしては、最も長く活動していた人物である。 略歴1967年1月14日に、アメリカのニュージャージー州・ベイヨンにて生まれる。14歳の頃に、リーロイ・ライトの下でギターを始める。ストーン・ヘンジなど、幾つかのバンドを経験した後、19歳となった1987年、ジェイク・E・リーの後任のギタリストを探していたオジー・オズボーンのバンドのオーディションにテープを送る[1]。オジーとの初ライブはイギリスの刑務所だったという。 1988年発売の「ノー・レスト・フォー・ザ・ウィケッド」以降、オジーの5枚のスタジオ・アルバムに参加し、ギタリストとしてだけでなく作曲においても貢献する。この業績により、ザックは一気に一流ギタリストの仲間入りを果たす。 1991年、「ノー・モア・ティアーズ」のアルバムに参加。このアルバムを最後に引退を宣言していたオジーのツアーにも参加をする。 1994年、オジーのバンドを脱退。自身のソロプロジェクトとして「プライド・アンド・グローリー」を結成する。後にこれが「ブラック・レーベル・ソサイアティ(通称BLS)」[2]へ発展する事になる。 2001年、オジーのバンドに復帰。来日ツアーにも同行した。 2006年、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームに、手形とサインが採録された。 2009年、脚の激痛を訴え緊急入院、診察の結果血栓症であることが判明。悪化すれば生命の危機も有り得るとの診断結果のため、一時活動休止を余儀なくされるが、後に投薬治療と禁酒を行うことで回復。同年、オジー・オズボーンバンドから離脱(後任はガス・G)。同年12月、エピフォンから発売された「Zakk Wylde Graveyard」のプロモーションで来日。 2016年1月、NAMMショーにてザックの為に製作されたギターブランド「Wylde Audio」がシェクターより世界70カ国以上で販売される事が発表された[3]。 2022年12月、南米3か国で行われたパンテラ再結成ツアーにギタリストとして参加した。 音楽性
最も尊敬するギタリストはランディ・ローズであるが、オールマン・ブラザーズ・バンドやレーナード・スキナードなど、ブルースやカントリー(サザン・ロック)などからの影響も大きく、ペンタトニック・スケールを基調としたブルース色の強い、豪快な演奏が身上である。 デビュー当初、オジーオズボーンのギタリストとしての活動が中心であった時期はバリバリのロックギタリストとして知られていたが、オジーオズボーンバンドの脱退時に結成した プライド&グローリー では、ブルースやカントリー(サザン・ロック)などの要素を多分に含んだ楽曲を発表した。 デビュー当時から、ベルボトムを穿き足を大きく開き、長い金髪を振り乱し、仁王立ちして威風堂々とギターを弾く姿が彼のスタイル。揺れ幅の大きいビブラートやパンチの効いたピッキング・ハーモニクスが大きな特徴。また、チキン・ピッキングと呼ばれる、ピックと他の指を同時に使って演奏するテクニックに長けており、彼の大きなトレードマークとなっている。 その他、影響を受けたギタリストとして雑誌のインタビューに、ジミ・ヘンドリックスやエドワード・ヴァン・ヘイレン、マイケル・シェンカー、アル・ディ・メオラ、ジミー・ペイジ、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、トニー・アイオミ、ロビン・トロワー、フランク・マリノ&マホガニー・ラッシュなどを挙げている。 ギターのチューニングは変則チューニングを多用する。一般的な全弦半音下げに止まらず、全弦一音下げ、全弦二音下げなども珍しくない。一番低いものでは、6弦のみではあるが四音半下げ(E音=ミをG音=ソまで下げるチューニング)で弾いている曲もある。 ギターのみならず、ソロ作ではボーカルも取る。また、幼少期にピアノを習っていた事があるためレコーディングやライブでも演奏することもあり、実際にオジー・オズボーンの『Dreamer』やBLSの『In This River』のPVなどでピアノを弾く姿を観ることが出来る。オジーの『ブラック・レイン』(2007)では、キーボードも務めた。 使用機材ギター彼が使用するギターは、ギブソンのギブソン・レスポール・カスタムがほとんどである。レコーディングではサスティナー搭載モデルもしばし使用する。同社から自身のシグネイチャー・モデルのレスポール・モデルも製作・販売されており、ライブ等で主に使用されるのはこのモデルである。また、同社からはトレードマークのサークル模様を施し、フロイド・ローズ・トレモロユニットを搭載した「フライングVカスタム」が製造されており、こちらもライブなどで使用している。 親交の深かったダイムバッグ・ダレルが、2004年に凶弾に倒れてからは、ダレルを偲んで彼のシグネチュアモデル(Razorback)も使用するようになった。これは、ダレルが自身の新しいモデルを製作する際に、親友であるザックとエドワード・ヴァン・ヘイレンに送った(残した)物で、それぞれのトレードマークとされている模様が施されている[4]。 近年、幼少の頃からのヒーローであるランディ・ローズモデルのギターも使用している。 自身が使用するギターには、ほぼすべてのギターにEMG社製のアクティブサーキットを使用したピックアップが使用されている。パワフルでノイズが少ない独特の音質が気に入っている、とのこと。EMGが搭載されていないギターにも後に搭載する改造を行っている。 2015年からは自身のブランド「Wylde Audio」のギターを使用している。 アンプオジーのバンド加入当時は、リー・ジャクソンの改造によるマーシャルの100Wアンプとメタルトロニクスのスピーカーユニットを使用していたが、後にマーシャルのJCM800 2203に変更。これは、現在ではザックのトレードマークとなっている。 2002年には、ザック・ワイルドモデル「Marshall JCM800ZW」が、マーシャル社から発売されている[5]。真空管は、グルーブチューブ社製のパワー管GT-6550Rとプリ管GTECC83S、GT-12AX7-CまたはMを主に使用している。 スピーカーユニットは、エレクトロヴォイス社のEVM-12L "Black Lable" で、これをザックのために制作されたマーシャル製キャビネットに搭載している。彼は自身のスピーカーキャビネット群をウォール・オブ・ドゥーム(滅びの壁)と呼んでいる。 エフェクターオジーのバンド加入当時は、ラック式のエフェクターを多用していたものの、現在はほとんど使用していない。ライブでは、ワウとロトバイブ、オーバードライブ、コーラスの4つだけしか使用しないことも多い。 ワウには、ピックを数枚重ねてテープで重ねたものをペダルの下に挟み、自分のお気に入りの音(いわゆる「半踏み」の音)が出る位置でペダルを止められるように工夫していた。 ジム・ダンロップ社より、ザック・ワイルドモデルのエフェクター、ZW-44 [WYLDE OVERDRIVE]とZW-38 [BLACK LABEL CHORUS]、ワウペダルZW-45 [ZAKK WYLDE SIGNATURE WAH]がMXRブランドで発売されている。また、ZW-44 [WYLDE OVERDRIVE]は生前のダイムバッグ・ダレルも使用していた。 2023年 MXR WYLDE AUDIO Stomp Box発表 人物
ディスコグラフィオジー・オズボーン
プライド&グローリー
ブラック・レーベル・ソサイアティソロ・アルバム
映画出演
来日公演単独公演
フェス脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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