コイ科
コイ科(学名:Cyprinidae)は、コイ目に所属する魚類の分類群の一つ。淡水魚のグループとしては最大の科であり、コイやヒメハヤなど約3000種が属する。1,950種が記載されるハゼ科(スズキ目)と並び、脊椎動物全体で最大の科でもある。多数の水産重要種を含み、アクアリウムなどで飼育される観賞魚も多い。ゼブラフィッシュ(Danio rerio)など、一部の魚種は生物学における重要なモデル動物として利用されている。名称は古代ギリシア語でコイを意味するキュプリーノス(κυπρῖνος)にちなむ。 概要本科に所属するパーカーホ(Catlocarpio siamensis)は、コイ目中の最大種である。タイに分布する本種は少なくとも体長2.5mに達し、3mに及ぶこともある[1]。インドのブラマプトラ川に生息する Tor putitora も最大で2.7mに達するとみられるほか、2mを超える大型種はアジアから他に2種が知られる。コロラド川に分布する Ptychocheilus lucius は、北アメリカにおける最大のコイ科魚類である。ほとんどの一般的なコイ科魚類は体長5cm未満で、ミャンマーの河川から知られる Danionella 属の2種(D. translucida および D. mirifer)は体長1cm強で成熟する超小型種である。 本科の咽頭歯は1-3列で、各列とも8本を超えることはない。多くの種類では唇は薄く、ひだや突起はない。口ヒゲの有無はさまざま。上顎はほぼ完全に前上顎骨のみによって縁取られ、前に突き出すことが可能である。200本以上の鰓耙をもつ種類(Pectenocypris balaena)が知られる。 コイ科魚類の最古の化石は、アジアにおける始新世の地層から産出する。ヨーロッパおよび北アメリカからはやや遅れ、漸新世のものがもっとも古い。北アメリカには始新世に他の骨鰾類は既に存在していたが、コイ類は分布していなかったとみられている[1]。魚類化石があまりみられない台湾島から、鮮新世の数種の化石(咽頭歯)が報告されている。 かつては餌をとるときに素早く遊泳し頭部が可動性をもつグループと、比較的ゆっくり泳ぎ頭部が固定されたグループという、シンプルな2亜科に分割されていたが、現在ではより詳細に分けられている[1]。コイ目の魚は全て卵生であり、巣作りや卵を保護する習性をもつものも少数ながら存在する。 コイ科魚類はメキシコ南部までの北アメリカ・アフリカ大陸・ユーラシア大陸に幅広く分布する一方で、南アメリカやオセアニアには生息しない[1]。ほぼすべてが淡水産であるが、ウグイ亜科のごく一部に汽水域に進出する種類が知られる。 主な種として以下のものが挙げられる。
分類
系統次のような系統樹が得られている[2]。
出典・脚注
参考文献
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