インドサイ
インドサイ(印度犀、Rhinoceros unicornis)は、哺乳綱奇蹄目サイ科インドサイ属に分類される奇蹄類[6]。インドサイ属の模式種[4]。 分布インド北東部、ネパール[3]。パキスタン、バングラデシュ、ブータンでは絶滅[3] 形態頭胴長(体長)310 - 420センチメートル[5]。尾長60 - 80センチメートル[5]。肩高170 - 200センチメートル[5]。体重1,500 - 3,500キログラム[5]。メスよりもオスの方がやや大型になる[5]。耳介の外縁や尾の先端を除いて、体毛はない[5]。皮膚は分厚く、肩や腰、四肢の基部では襞状になる[5]。皮膚には鋲のような隆起が点在する[5]。体色は暗灰色で、襞の縁はピンク色を帯びる[5]。 頭部は長い[5]。頭部には1本のみ30 - 60センチメートルの角がある[5]。種小名unicornisは「1つの角がある」の意。下顎の犬歯が発達する[5]。 出産直後の幼獣は体長96.5 - 122センチメートル、肩高56 - 67センチメートル、体重40 - 81キログラム[4]。 生態沖積平野にある丈の長い草原や沼沢地に生息するが、河川沿いにある低木林や乾燥林などにも生息する[5]。夜行性で、主に薄明薄暮時に活動する[4]。通常は単独で生活する[5]。縄張りには通路があり、この通路に侵入した他個体は攻撃される[5]。角ではなく、下顎の犬歯を使い攻撃する[5]。水場は複数の個体が共有するが、ここで争うことはない[5]。行動圏内の水場などの決まった場所に糞をし、高さ70センチメートルまで積み上がることもある[5]。 草や木の枝、果実、ホテイアオイなどの水生植物、タケノコなどを食べる[5]。チトワン国立公園では183種の食物を食べ、そのうち草本が70 - 89 %を占めていたという報告例がある[4]。捕食者として、トラが挙げられる[4][7]。 繁殖様式は胎生。妊娠期間は462 - 491日[4][5]。1回に1頭の幼獣を産む[5]。子が生まれると次の子を産むまで母子で行動するが、子が2歳を迎えた頃から発情期に入る。野生下ではオスは生後10年、メスは生後6年半で性成熟するとされる[4]。飼育下ではオスが生後7 - 9年、メスが5 - 7年で性成熟した例がある[5]。飼育下での最高寿命は47年[4][5]。 人間との関係角は解熱剤・強精剤・エイズの薬の原料になると信じられている[5]。中華人民共和国やベトナムでは、角が権威の象徴とされることもある[3]。 角目的の乱獲やスポーツハンティングなどにより、生息数は1900年代初頭には約200頭まで激減した[3]。2019年現在は生息数は増加傾向にあるが、カジランガ国立公園に多くの個体(全生息数の70 %以上)が生息するためカジランガ国立公園に何らかの事態(災害や感染症の伝搬、密猟の横行など)が発生すれば種として絶滅の危険性が高くなるという問題がある[3]。生息する保護区では農地開発や土砂堆積・放牧による生息地の破壊、外来種による植生の変化などによる影響が懸念されている[3]。 保護の対象とされているが、角目的の密猟は継続されている[3]。1975年のワシントン条約発効時から、(1977年からはサイ科単位で)附属書Iに掲載されている[2]。1905年には本種の保護のため、カジランガ国立公園が設立された[3]。 1960年代における生息数は600 - 800頭、1970年代における生息数は1,000 - 1,100頭、1990年代における生息数は約2,000頭、1997年における生息数はインド約1,600頭・ネパール約500頭と推定されている[5]。2018年における生息数は、3,588頭(インド2,939頭、ネパール649頭)と推定されている[3]。 チトワン国立公園での2000年における生息数は544頭だが、2000年代は政情不安による密猟の横行から生息数が激減し2005年における生息数は372頭、2018年における生息数は592頭と推定されている[3]。 日本ではさい科(サイ科)単位で、特定動物に指定されている[8]。 参考文献
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