アメリカン・イディオット
アメリカン・イディオット(American Idiot)は、アメリカ合衆国のパンクバンド、グリーン・デイ(Green Day)の7作目のスタジオ・アルバムである。全14曲所収(アメリカ本国では13曲)。 概要テーマは「反戦」。アルバム製作中に起こったイラク戦争に対するメンバーの激怒がロックという形で表現されている。本来は、全く別のコンセプトで作られる予定(シガレット・アンド・ヴァレンタインというタイトルであったとされる[1])であったが、マスターテープの盗難に遭った。しかし、それらは再録せず一から作り直している。全米(Billboard 200など)・全英(UK Albums Chartなど[2])、ともに1位を獲得。また、全米で6xプラチナム(600万枚)、全英で7xプラチナム(210万枚)を獲得するなど、大きな売上をあげた。 『ウォーニング』以来4年ぶりとなる、バンド史上最長のインターバルを挟んで発表され、グリーン・デイの第二章の始まりを告げるアルバムとされる。短い曲を繋ぎ合わせた組曲形式の楽曲が2曲収録され、グリーン・デイの新境地を開いたアルバム。ローリング・ストーンの今作のレヴュー[要曖昧さ回避]が「Tell the truth: did anybody think Green Day would still be around in 2004?:正直に言うと、一体誰が2004年までグリーン・デイが生き残っていると想像しただろうか?」(この年は、1994年に発表したメジャーデビュー・アルバム『ドゥーキー』から10年目にあたる年である)という一文で始まっているように、今作を発表する以前のグリーン・デイに対する音楽関係者の評価は、グラミー賞は獲得したもののそれほど高くなかった。しかし今作は、アルバム全体がひとつのコンセプトを帯びて制作されている「パンクオペラ」として、今まで批判的だった人達を脱帽させる形となった。2005年には、グラミー賞 最優秀ロック・アルバム賞を受賞している。 また、2006年にはアルバムからの2ndシングル「ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス」でパンク史上初のグラミー賞の最高賞「最優秀レコード賞」を輩出した。 『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』に於いて、225位にランクイン[3]。また、『ローリング・ストーン誌が選ぶ 2000s・ベストアルバム』では、22位にランクイン[4]。 2024年には、発売20周年を記念したコンピレーション・アルバム「アメリカン・イディオット:20周年記念デラックス・エディション」が発売された。 コンセプト夢を見て故郷を飛び出した主人公、ジーザス・オブ・サバービア(Jesus of Suburbia)と彼のもうひとつの人格、セイント・ジミー(St.Jimmy)との葛藤の日々を描く。アルバムの大部分の作詞を手がけたバンドのボーカリスト、ビリー・ジョー・アームストロングは、本作のコンセプトについて"自己破滅するのか、自分の倫理を選ぶのか、その選択"と述べている[5]。 パンクオペラ収録曲「ジーザス・オブ・サバービア」「ホームカミング」は複数の曲を繋げて構成される形式の組曲となっており、これらは「パンクオペラ」と称されることがある[6]。本作収録の2曲は、それぞれ5部の構成を持った組曲となっている。 収録曲作詞はビリー・ジョー・アームストロング、作曲はグリーン・デイ。ただし、組曲、ホームカミングのうち、"Nobody Likes You"はマイク・ダーント作詞、"Rock and Roll Girlfriend"はトレ・クール作詞。
シングル・カット
担当
ミュージカル→詳細は「アメリカン・イディオット (ミュージカル)」を参照
2009年9月に、本作の楽曲を中心とするミュージカル『アメリカン・イディオット』が公開された。本作からの楽曲のほか、次作21世紀のブレイクダウンからの楽曲などが使用されている。2010年4月には、ニューヨークの有名劇場街、ブロードウェイに進出した。また、同時にミュージカルのサウンドトラック「アメリカン・イディオット(ブロードウェイ・ミュージカル・キャスト・ヴァージョン)(American Idiot: The Original Broadway Cast Recording)」も発売された(日本盤は6月発売)。 2011年2月、第53回グラミー賞にて上記のアルバムで「最優秀ミュージカル・ショー・アルバム賞(Best Musical Show Album)」を受賞した。 脚注
外部リンク |