のんのんばあとオレ
『のんのんばあとオレ』は、漫画家の水木しげるの自伝的エッセイ。また、このエッセイを原作としたNHKのテレビドラマ、および漫画。 概要筑摩書房のちくま少年図書館シリーズとして1977年(昭和52年)10月25日に初版が発行された。現在はちくま文庫におさめられている。 楽しみが多くて勉強どころではなかった水木の少年時代のこと、のんのんばあが語って聞かせてくれたお化けや妖怪の世界のこと、隣町のガキ大将との熾烈な攻防戦のこと、のんのんばあの死のことなど、主に水木の少年時代の楽しく、また切ない思い出がつづられている。 のんのんばあ「のんのんばあ」とは、少年時代の水木しげる(本名・武良茂)の家にお手伝いに来ていた「景山ふさ」という老婆のこと。境港では神仏に仕える人を「のんのんさん」と呼び、ふさは拝み屋の妻だったため「のんのんばあ」と呼ばれた。のんのんばあはしげる少年にお化けや妖怪の世界を語って聞かせ、後年の妖怪漫画家・妖怪研究家への素地を作ったとも言える人物である。のんのんばあは1933年(昭和8年)に肺結核で死去した。 テレビドラマ
のんのんばあとオレ1932年(昭和7年)。鳥取県の境町で暮らす村木茂は小学校4年生。住み込みのお手伝いであるのんのんばあの語る妖怪やお化けの世界に魅せられている。学校では居眠りをしたり、空想の世界にひたったりして先生や母から怒られてばかりだが、毎日楽しく遊び回っていた。 ある日、茂は千草という少女に出会う。彼女は肺病のため東京から境港に療養に来ていた。不治の病を嘆き拗ねていた千草だったが、茂やのんのんばあの語る不思議な世界に引き込まれ、いつしか茂と千草は仲良くなっていた。 夏休みに入ったある日、茂は兄・弟と一緒に米子の街に「ドーナツ」を買いに行く。千草に食べさせてやろうかと一瞬迷う茂だったが、結局自分がドーナツを食べてしまう。あとになって千草の好物がドーナツだと知り、後悔の思いから彼女に食べさせようとドーナツを買ってきた茂だったが、千草は病が進行して危篤に陥っていた。茂は、千草を励ますために彼女と約束していた十万億土の絵を必死になって描き上げるが、時すでに遅く、千草は茂への感謝の言葉を口にしながら息を引き取っていた。 千草の早すぎる死を悲しむ茂を、のんのんばあは「しげーさん(茂さん)の心には千草さんの魂が入ったのだよ。たくさんの人の魂が心に宿るから人は優しくなれるのだよ」と励ますのだった。 続・のんのんばあとオレ1934年(昭和9年)。小学校6年生になった茂は、次のガキ大将候補となる。ライバルのかっぱと、住んだら不幸になると評判の「たたりものけの家」での肝試しで勝負を決めようとするが、二人とも奇怪な妖怪に襲われ、たたりものけの家を逃げ出してしまい、勝負なしとなる。結局ガキ大将を決める勝負は腕力での直接対決となるが、勝負の前日に食べた牡蠣が原因で食中毒にかかってしまい、不戦敗となった。茂を敵前逃亡と見なした新しいガキ大将・かっぱは、茂に「相手なし(仲間はずし)」を宣告する。茂は傷ついた心を隠して、大好きな絵に打ち込み始める。 ある日、たたりものけの家に猪熊鷹寅という粗暴な男が越してくる。彼は人買いの仲介をしていた。茂は、猪熊と一緒に暮らす7歳の孤児・吉川美和と仲良くなる。美和は自然界の声を聞くことができる不思議な力を持っており、茂はそんな美和と親しくなっていくが、美和は神戸の芸者置屋に売られていく運命にあった。 一方、町の子供達はかっぱの横暴に耐えかね、茂に決起するよう懇願する。無駄な戦いはしたくない茂はかっぱを説得しようとするが、彼は暴力で対抗し、遂に力での勝負となる。卑怯な暴力で茂を圧倒するかっぱだったが、自分の味方が誰もいないことに気づいて逃走し、茂はガキ大将となった。 ついに美和が神戸に売られていく日がやってきた。美和は猪熊の家を抜け出し、茂とお化けの世界について語り合った弓ヶ浜に来ていた。美和を探しに来た茂とのんのんばあは、沖合に無数の光の球が浮かび、美和がその光と語り合っている姿を見る。光の球は美和の亡くなった母の魂で、みんなに迷惑をかけないために神戸に行くよう美和を諭した。美和は茂とのんのんばあに感謝しながら境港を去っていくのだった。その後、美和がいた間は大人しくしていたたたりものけが暴れ出したのか、猪熊一家は相次いで大怪我をして家を引き払った。 ガキ大将となった茂は、平和主義でいくことを仲間に宣言し、軍事教練も相手なしもやめにすること、かっぱとも自由に遊んでよいことを告げる。そして、いつか画家になる日を夢見て、絵の勉強に打ち込むのだった。 スタッフキャスト
備考
関連商品書籍
映像ソフト東映からDVD2点が2011年1月21日に発売。
脚注
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