しまんとは、四国旅客鉄道(JR四国)および土佐くろしお鉄道が、高松駅 - 高知駅・中村駅・宿毛駅間を予讃線・土讃線・中村線・宿毛線経由で運行している特急列車である。
概要
香川県高松市と高知県を結ぶ列車で、本四備讃線を経由せず、本州に乗り入れていない。瀬戸内海や太平洋、吉野川沿いの大歩危・小歩危を走る風光明媚な列車としても名高い。
1988年(昭和63年)4月10日に瀬戸大橋線が開通したことにより、高松駅 - 高知駅・中村駅間を結んでいた特急「南風」のうち、高松駅発着のまま残された列車が「しまんと」として運転開始した。1989年以降、急行列車の「土佐」「あしずり」を編入している。
列車名は高知県南西部を流れる四万十川が由来となっている。
運行概況
2024年(令和6年)3月16日現在、高松駅 - 高知駅間で3往復(下り3・5・7号/上り2・4・6号)、高松駅 - 中村駅間で下り1本(1号)、高松駅 - 宿毛駅間で上り1本(8号)の計4往復が運転されている[1]。所要時間は高松駅 - 高知駅間が最短2時間11分(上り)・高松発中村行きが4時間(下り)・宿毛発高松行きが4時間22分(上り)である[2]。
JR四国は、土讃線の特急列車を岡山駅発着の「南風」にシフトさせているため、宇多津駅・多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が2往復設定されている[注 3]。併結時の原則として、編成の岡山・高松側に「しまんと」、高知側に「南風」が連結される。このため、高知方面行きでは「南風」が先に宇多津駅に入り、「しまんと」が駅手前で信号待ちを行う。
なお、ゴールデンウィーク・お盆休み・年末年始といった多客時には、「しまんと」編成も「南風」に変更して1列車全車両を岡山駅発着とし、代わりに高松駅 - 宇多津駅・多度津駅間で定期「しまんと」と同じダイヤで走る臨時「しまんと」と接続させる場合もある(この場合は宇多津駅または多度津駅で乗り換えとなる)。
高知駅発着の列車は「あしずり」と同一ホームで接続を行う(下り3号・7号/上り6号が該当)。また、2016年(平成28年)3月26日のダイヤ改正以降は7号の運行の時間が遅くなり「南風」21号と併結するようになっため、大杉駅に全列車停車するようになった。
2024年(令和6年)3月16日のダイヤ改正で、8号の発駅が高知駅から宿毛駅に変更され、「しまんと」は2年ぶりに宿毛線に乗り入れとなった[3]。
2024年12月13日、2025年3月ダイヤ改正において2往復が減便および「南風」との併結列車が消滅することがJR四国から発表された[4]。
停車駅
高松駅 - 坂出駅 -(宇多津駅)- 丸亀駅 - 多度津駅 - 善通寺駅 - 琴平駅 - 阿波池田駅 - 大歩危駅 - 大杉駅 - 土佐山田駅 - 後免駅 - 高知駅( - 旭駅 - 朝倉駅 - 伊野駅 - 佐川駅 - 須崎駅 - 土佐久礼駅 - 窪川駅 - 土佐佐賀駅 - 土佐上川口駅 - 土佐入野駅 - 中村駅 ← 平田駅 ← 宿毛駅)
- ( )は一部の列車が停車[1]。
- 宇多津駅:下り1・5号/上り2・8号が通過。
- 土佐上川口駅:下り1号が停車。
- 高知駅→中村駅間は1号のみ運転。
- 宿毛駅→高知駅間は8号のみ運転。
- 停車駅の詳細は以下の表を参照。
2024年3月16日現在の停車駅[1]
運行本数 |
号数
|
JR四国 |
土佐くろしお鉄道
|
予讃線 |
土讃線 |
中村線 |
宿毛線
|
高松駅
|
坂出駅
|
宇多津駅
|
丸亀駅
|
多度津駅
|
善通寺駅
|
琴平駅
|
阿波池田駅
|
大歩危駅
|
大杉駅
|
土佐山田駅
|
後免駅
|
高知駅
|
旭駅
|
朝倉駅
|
伊野駅
|
佐川駅
|
須崎駅
|
土佐久礼駅
|
窪川駅
|
土佐佐賀駅
|
土佐上川口駅
|
土佐入野駅
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中村駅
|
平田駅
|
宿毛駅
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下り1本 |
1号
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● |
● |
→ |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
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下り2本 上り2本 |
3・7号 4・6号
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● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
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下り1本 上り1本 |
5号 2号
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● |
● |
─ |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
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上り1本 |
8号
|
● |
● |
← |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
● |
← |
● |
● |
● |
●
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停車本数 |
下り
|
4 |
4 |
2 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 |
0
|
上り
|
4 |
4 |
2 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
4 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
1 |
0 |
1 |
1 |
1 |
1
|
凡例
使用車両・編成
2024年3月16日現在の編成図[5]
しまんと
|
← 宿毛・中村・高知 高松 →
|
|
|
- 全車禁煙
- 編成および座席種別は変更する場合がある。
- 凡例
- 指=普通車座席指定席
- 自=普通車自由席
- ()=バリアフリー対応設備設置車
|
高松運転所・高知運転所および土佐くろしお鉄道中村車両基地に所属する2700系気動車が使用されている。2019年(令和元年)9月3日より下り1号/上り10号に2700系が投入され(9月27日までは1号は水曜日から土曜日まで、10号は火曜日から金曜日まで2700系気動車で運転)、さらに2020年(令和2年)7月18日より下り7号/上り2号に、2021年(令和3年)3月13日から全ての列車で2700系が使用されるようになった。
かつて使用されていた車両
-
2000系試作編成(TSE)
「しまんと」51号
-
2000系「しまんと」
(2014年3月)
-
N2000系先行試作車「しまんと」
(1996年)
-
キハ185系「しまんと」
(1989年)
-
キハ181系
「しまんと」(1989年)
-
キハ181系「しまんと」
(1992年)
多客期の臨時列車
運休[注 5]となる多客期に高松駅 - 宇多津駅・多度津駅間で運転される臨時「しまんと」には2700系気動車以外が充当されることもあり、多くはキハ185系気動車[注 6]を使用しているが、1998年(平成10年)には8000系電車(S編成)も使用されたほか、2016年(平成28年)夏季には8600系電車[6][7]、2018年(平成30年)のゴールデンウィークには2600系気動車も使用された[8]。
沿革
民営化後の運行展開
- 1988年(昭和63年)4月10日:瀬戸大橋線開通により、従来高松駅 - 高知駅・中村駅間を結んでいた特急「南風」が岡山駅発着となり、高松駅発着列車をエル特急「しまんと」と改称。当初は3往復。
- 1989年(平成元年)
- 3月11日:2000系試作車「TSE」が高松駅 - 高知駅間臨時列車1往復に投入。
- 7月22日:急行「土佐」「あしずり」を格上げして1往復増発され、4往復になる。
- 1990年(平成2年)11月21日:「土佐」1往復の格上げを含めて計2往復を増発され、6往復になる。
- 1991年(平成3年)11月21日:1往復増発して、7往復になる。
- 1993年(平成5年)3月18日:使用車両が2000系に統一。
- 1997年(平成9年)
- 1998年(平成10年)3月14日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が2往復設定される。
- 1999年(平成11年)3月13日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結していた2往復が「南風」単独になり、1往復減便されて6往復になる[11]。
2000年代の動き
- 2001年(平成13年)3月3日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が下り3本/上り2本設定される。上り1本減便となり、下り6本/上り5本になる。
- 2002年(平成14年)3月23日:「南風」との増解結駅を宇多津駅に変更する。
- 2003年(平成15年)10月1日:宇多津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が上り2本増え、下り3本/上り4本になる。下り1本減便となり、5往復になる。
- 2005年(平成17年)
- 3月2日:土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故により宿毛駅 - 中村駅間が運休になる。
- 6月13日:東宿毛駅 - 中村駅間で運行を再開(東宿毛駅は臨時停車扱い)。
- 11月1日:宿毛駅 - 東宿毛駅間で運行を再開(東宿毛駅の臨時停車扱いを終了)。
- 2007年(平成19年)3月18日:下り1本が中村行きとなる。
- 2008年(平成20年)3月15日:喫煙ルームを除き全席禁煙になる[12]。
2010年代の動き
- 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正により次のように変更[13]。
- 高知駅5時発の2号を新設。
- 「南風」26号と併結する6号が廃止となり、「南風」併結列車が3往復になる。
- エル特急の呼称を廃止。
- 喫煙ルームが廃止される。
- 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正により次のように変更[14]。
- 6号の時刻を繰り下げる。これに伴い、併結する「南風」が20号から24号となる。
- 下り1号(高松発中村行き)/上り10号(宿毛発高松行き)をそれぞれ「あしずり」と系統分離。これに伴い、「しまんと」は全列車が高知駅発着となる。
- 2013年(平成25年)3月16日:9号と「南風」25号の併結作業を宇多津駅から多度津駅に変更[15]。
- 2014年(平成26年)3月15日:1号と「あしずり」3号が統合され、「しまんと」の中村駅乗り入れが復活[16]。
- 2016年(平成28年)3月26日:7号の運行時刻を約2時間繰り下げ、「南風」17号と併結となる。これに伴い、全列車が大杉駅に停車となる[17]。
- 2019年(平成31年・令和元年)
2020年代の動き
脚注
注釈
- ^ 括弧内は「南風」連結列車の号車。
- ^ ただし、気動車を使用。
- ^ 宇多津駅下り1本/上り2本(下り3号/上り4・6号)、多度津駅上り1本(7号)。
- ^ 2700系で運転の列車の多くに増結の必要が生じた場合は、「あしずり」「しまんと」のうちグリーン席がなく全区間単独走行する列車を代走することがある。
- ^ 「しまんと」編成も含めて1列車全車両を岡山駅発着の「南風」とするため。
- ^ 2017年(平成29年)には踏切事故により車両不足に陥り、代走として復刻カラー編成が使われたという事例がある。
- ^ 高知駅 - 宿毛駅間は「あしずり」18号となる。
出典
参考文献
関連項目
外部リンク