ワンダー・バー
『ワンダー・バー』(Wonder Bar) は、1934年のアメリカ合衆国のプレコードの映画。ブロードウェイ・ミュージカル『ワンダー・バー』の映画化である。 ロイド・ベーコンが監督、バスビー・バークレーがミュージカル・シーンの監督を務めた[2]。 アル・ジョルソン、ケイ・フランシス、ドロレス・デル・リオ、リカルド・コルテス、ディック・パウエル、ガイ・キビー、ルース・ドネリー、ヒュー・ハーバート、ルイーズ・ファゼンダ、フィフィ・ドーセイ、マーナ・ケネディ、ヘンリー・オニール、ロバート・バラット、ヘンリー・コルカー、スペンサー・チャーターズが出演した。当時この作品は際どいとされ、ヘイズ・コードにほぼ反していた[3]。題名はドイツ語で「wonderful」を意味する「wunderbar」をもじったものである。 概要パリのナイトクラブ「ワンダー・バー」での日常を描く。ロマンスと、死に至るシリアスな対立という2つのストーリーを中心に進む。時々織り込まれる豪華なミュージカル・シーンが作品を盛り上げる。 プラット(ヒュー・ハーバート)ともう1人のビジネスマン(ホバート・カバナー(クレジット無し))はしばしば泥酔する。マネージャーであるアル・ワンダー(アル・ジョルソン)の店内で行なわれるショーでのMCが冴えわたる。ドイツ陸軍士官フォン・フェリング(ロバート・バラット)をめぐって物語はシリアスになっていく。株で儲けようとしたフェリングは多くの投資で失敗し、自殺前に一夜限りの関係を求めてワンダー・バーに行く。アルはフェリングの計画を知る。 一方で複雑な恋愛模様が繰り広げられる。バーの売りはイネス(ドロレス・デル・リオ)率いるラテン・ダンス・グループである。アルは密かにイネスに恋しているが、イネスはハリー(リカルド・コルテス)に夢中である。しかしハリーは、著名なフランス人銀行家ルノー(ヘンリー・コルカー)の妻であるリアーヌ(ケイ・フランシス)と不倫している。イネスはハリーとリアーヌがアメリカに駆け落ちしようとしていることを知り、クライマックスを迎える。嫉妬に狂ったイネスはハリーを殺害する[4]。 配役
プレ・コードジョルソンとハル・ルロイによるブラックフェイス・ミンストレル・ショーのフィナーレ「Goin' to Heaven on a Mule」は人種的ステレオタイプで描かれていた。 ダンスをしているカップルのもとにハンサムな男性が近づき、ダンスを求める。カップルの女性は自分が誘われたと思い同意するが、実は誘われたのはカップルの男性の方であった。それを見ていたアルは「男は男」と言う。このシーンはプロダクション・コードにより描写が禁止になるところであった。このシーンはドキュメンタリー『セルロイド・クローゼット』の冒頭で取り扱われた。 制作バスビー・バークレーによる振付および監督のミュージカル・シーンは作品に広がりを持たせている。音楽はゲザ・ハーゼック、カール・ファーカス、ロバート・カッチャーによりオリジナルのブロードウェイ・ミュージカルのために作曲され、アール・ボールドウィンにより映画版のために編曲された。多くのミュージカル曲は、バンド・ディレクターが率いるビッグバンド、予告編によると「250名以上の世界一の美女」とされる豪華な衣装の多数のショーガールたちなど、1930年代の典型であった。 評価この年、ワーナー・ブラザース最大のヒット作となった。ワーナー・ブラザースの記録によると、アメリカ国内で$1,264,000、国外で$771,000を得た[1]。 関連項目脚注
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