SonicStage
SonicStage(ソニックステージ)は、かつてソニーが開発していたWindows用音楽管理・再生ソフトウェア。後の「x-アプリ」の前身となったソフトウェアに当たる。本項目では先代に当たるOpenMG Jukebox(オープンエムジー・ジュークボックス)についても記載する。 概要SonicStageは、Windows PCでの音楽CDからの楽曲取り込みや音楽配信サイトでの楽曲購入、PC内に取り込んだ楽曲の管理から、ウォークマンやメモリースティック、携帯電話への転送といった機能を持つソフトウェアであり、Windows Media PlayerやiTunesと同じメディアプレーヤーのジャンルに属する。 1999年に前身のOpenMG Jukeboxが登場してから、2009年にx-アプリに移行するまでの約10年間、ソニーにおけるメディアプレーヤーの中心的ソフトウェアとして、幅広く利用された。 歴史OpenMG Jukebox及びATRAC3の誕生SonicStageの原型は1999年12月21日発売のメモリースティックウォークマン「NW-MS7」に付属されていたOpenMG Jukeboxである。同製品は当時新開発されたコーデック、ATRAC3を唯一の対応フォーマット(以降2003年頃までのネットワークウォークマンはNW-E7/NW-E10を除きすべてATRAC系コーデックのみの対応)としていたため、楽曲の管理、メモリースティックへの転送及び既存のMP3ファイルのATRAC3への変換機能を備えたソフトウェア群としてリリースされた。翌2000年からは同社製PCのVAIOの一部機種にもプリインストール及び一部他社製のOpenMG機器にも付属されるようになった。 なお、SonicStage(Ver.1.x/2.x/3.x)及びSonicStage CP(Ver.4.x)のプロセス名が「Omgjbox.exe」なのは、このOpenMG Jukeboxの名残である。 SonicStageの登場2001年10月、Windows XP搭載VAIOのプリインストールソフトとして初代SonicStage(ソニックステージ、Ver.1.0)が登場した。当初はOpenMG Jukeboxから派生した上位版としてVAIOのプリインストールのみSonicStage、ネットワークウォークマンをはじめとする機器への付属は従来のOpenMG Jukeboxと分けられていたが、その後1年程度で全てがSonicStageへと置き換えられた。ただし、この頃まではまだ単体での配布はなされていなかった[1]。 転機は2004年に訪れ、同年7月にHDD搭載のネットワークウォークマン「NW-HD1」が発売されたが、引き続きMP3形式の非対応やSonicStage(Ver.2.x系)の操作性の不評などにより販売面で苦戦した。このことから同年秋に方針転換し、以降発売する機種はMP3形式に完全対応するとともに同時期のVer.2.3からSonicStage単体での無償配布が始まった。当初はmora経由でSonicStage 2.3 for Moraとなっていたが、翌2005年のVer.3.0からは通常版が配布されるようになった。 2005年にリリースされたVer.3.x系は上記の失敗をもとに多くの改善がなされ、コピー制限の緩和やレスポンス向上、対応コーデックの増加などが実施されたため一定の評価を得た(特に後述のCONNECT Player登場後は評価が高まった)。 CONNECT PlayerとSonicStage CP2005年11月に発売されたウォークマン(従来のネットワークウォークマンから改名)「NW-A3000/A1200/A1000/A608/A607/A605」では、これまでのSonicStageとは異なる新しいソフトウェアとして「CONNECT Player」(コネクト・プレーヤー)が採用され、当初はSonicStageからCONNECT Playerへ比重を移していくとみられた[2]。しかし、CONNECT Playerは操作性や動作の不安定さに対する苦情が国内外で多発したためSonicStageの開発続行が表明され[3]、SonicStage CPの開発へ繋がった。 2006年5月より提供されたSonicStage CP(ソニックステージ・シーピー、Ver.4.x系)では新たにアーティストリンクやふりがなの付与などのCONNECT Player固有だった機能に完全対応した(CPはCONNECT Playerの略)。これにより事実上CONNECT PlayerはSonicStageに吸収される形で消滅した(単体配布はされず、翌2007年にはアップデートサービスも終了した)。このSonicStage CPでは新たにAACにも対応するなどさらなる対応コーデックの増加も実施された。 なお、本バージョンまでは全世界共通で展開された。以降は国内向け/海外向けそれぞれ別の展開となる(後述)。 また、翌年の2007年3月には初の動画対応ウォークマン・NW-A800シリーズが登場し、以降も動画対応機種がリリースされた。しかし、SonicStageに動画や画像、ポッドキャスト等の管理・転送機能が搭載されることはなかった(後継のx-アプリにおいて実装された)ため、動画等の転送・管理には「Media Manager for WALKMAN」や「Image Converter 3」等との併用を強いられた。 海外戦略の転換とSonicStage Vソニーは2007年8月30日に行なったプレスカンファレンスで「WALKMAN goes OPEN」戦略[4]を打ち出し、日本国外向けのウォークマンについては転送にSonicStageを使用せず、Windows Media PlayerもしくはWindows ExplorerでのD&D転送を用いる方針を打ち出した[5]。それとともに従来は全世界共通で型番の頭が「NW-」だったのが以降発売の海外向け機種の型番の頭は「NWZ-」となった。これはMDが普及しなかった海外ではATRAC形式の普及率が国内よりも低いため[6]で、これにより海外でのATRAC形式の音楽配信サービスの展開も終了した[7]。 そのため、2007年秋以降は、SonicStageは事実上国内市場向け専用のソフトウェアとなり、当時のオーディオ事業本部長が今後も国内向けに開発継続することを明言[6]していた。この時点ではまだ国内向けモデルはD&D転送に対応していなかった(2009年発売モデルからは国内向けモデルもD&D転送に対応)ため、以降は後述のように海外向けとは切り離されて発展していった。 一方、同時期の日本市場ではKDDI/沖縄セルラー電話のauのサービスLISMOとの連携である「au×Sony "MUSIC PROJECT"」が発表され、新たに発表された携帯電話用のデータ管理ソフトLISMO PortのコンポーネントとしてSonicStage for LISMOが2008年2月1日から提供された(2012年現在はx-アプリベースとなっている)。これは当時のSonicStage CPとは全く異なるUIや仕様であり、同年にリリースされるSonicStage Vへと繋がった。これらは、全世界で提供されていたSonicStage CPまでのバージョンとは異なり、国内専用のソフトウェアとして進化したものである。 2008年10月より提供されたSonicStage V(ソニックステージ・ファイブ、Ver.5.x系) では上記のSonicStage for LISMOのUIをベースとしており、UIの変更や対応機器の絞り込み、一部機能の削減などこれまでで最も大幅な変更が実施された。また、対応機器の絞り込みにより初めて旧バージョン(Ver.1.x~4.x)とは別のソフトウェアとしてインストールされる仕様となった。同様にこれまでのバージョンアップとは異なりライブラリのデータも引き継がれずソフト内の一機能として旧バージョンのデータを読み込む機能が搭載された。そのため、SonicStage Vで非対応の機器向けに、前バージョンであるSonicStage CP(Ver.4.4)の提供も継続され、晩年は2本立てでの展開となっていた。 なお、SonicStage CPまでのプロセス名は先代のOpenMG Jukeboxの名残で「Omgjbox.exe」であったが、このSonicStage Vで初めて「SonicStage.exe」に改められた。 開発の終焉、x-アプリへの移行その後SonicStage Vはマイナーバージョンアップを2回重ね、2009年6月11日にリリースされたSonicStage V Ver.5.2がSonicStageシリーズの最終バージョンとなった。また、2009年8月11日にはVer.3.3以降に搭載されていたジャケット写真/関連情報の自動取得サービスが終了し[8]、これにより事実上SonicStageの開発及び新規バージョンのリリースは終了した。そのためSonicStageは全バージョンWindows 7以降のWindows OSには正式対応していないが、機種によりWindows 7や8のパソコンでも動く場合もある。 一方で、SonicStage VのUIや機能をベースに、動画・写真・ポッドキャストの管理機能の追加を中心におまかせチャンネル、歌詞ピタなどの新機能の追加及びSonicStage Vで削減された一部機能の復活など機能面を大幅に拡充した新(事実上SonicStage Vの後継)ソフトウェアの「x-アプリ」(エックスアプリ、x-APPLICATION)が2009年10月7日に提供が開始された。それに伴いSonicStage Vの公開は同日をもって終了[9]し以降はx-アプリがメインとなった(事実x-アプリはSonicStage Vとの共存はできない仕様となっているほか、内部バージョンはSonicStage(最終版が5.2)を受け継ぎ6.0からのスタートとなっている)。以降の詳細はx-アプリの項目を参照。 上記のx-アプリの提供が開始された2009年10月7日以降も、x-アプリ及びSonicStage Vが非対応の機器(主に2005年モデル以前のウォークマン・MD機器等、後述)向けに旧バージョンであるSonicStage CP(Ver.4.4)の公開・提供は継続されていたが、x-アプリ非対応のウォークマン最終機種(NW-A3000/A1000/A600シリーズ)の生産終了から6年が経過したことによる修理受け付けの終了(部品の保有期間は基本的に生産終了後6年)や先述の通りWindows 7及びWindows 8などの新OSを保証しておらず、2012年10月のリニューアルに伴い音楽配信サービスmoraの利用が不可能となった[10]ことなどから、2013年3月29日をもって提供が終了した[11]。最終的にSonicStage CP(Ver.4.4)は約5年2カ月の長期に渡り提供されていたことになり、これは歴代SonicStage及びx-アプリの中で最も長い(2012年現在)。これにより名実ともにSonicStageは11年5カ月(OpenMG Jukebox時代も含めると13年3カ月)の歴史に幕を閉じた。 概説UIと機能SonicStageはWindows Media Player・iTunesなどと同じくジュークボックスと呼ばれるジャンルに属するソフトウェアで、CD・ファイルや配信サイトからの楽曲取り込み、管理・再生、外部機器との相互転送といった機能が統合されている。ユーザインタフェース(UI)は、この「取り込み」・「管理」・「転送」という3つの機能をウィンドウ上部で明示的に切り替えて使うようデザインされている。
ライブラリ機能はCDの「アルバム」やユーザーが作成した「プレイリスト」を基本単位として扱う設計思想がとられており、1曲単位で楽曲を販売する音楽配信よりもCDからのリッピングを主体とした使い方に適する。標準状態のライブラリはアーティスト名の頭文字 (A-Z) 順に整理され、SonicStage CP以降のバージョンでは日本人名・グループ名もジャストシステムによるローマ字変換辞書によって自動振り分けがなされる。ユーザー別の楽曲管理には対応しておらず、ライブラリは同じPC上の全ユーザーで共有される。 転送機能が対応する機器はウォークマン、PlayStation Portable、携帯電話などを中心に多岐にわたり、このうち単体録音に対応する機器からは音源の吸出しができる場合もある。転送操作に関するUIはフラッシュメモリや光磁気ディスクを使用する機器に適する「持ち出し」型の利用に比重が置かれており、HDD内蔵プレーヤーなど数十GB以上の容量を持つ機器に適する「同期」型の利用を支援する機能は少ない。 SonicStage上での音楽再生時には、以下の機能が利用できる。
なお、かつてのバージョンはグラフィックイコライザー、ビジュアライザー、ボーカルキャンセラー、ピッチシフト機能を持っていたが、2004年のバージョン2.0よりこれらの機能は消滅している。このためそれ以降のバージョンにおいてはエフェクト再生機能の類は充実しておらず、上記以外の主要機能ではクロスフェード再生などがサポートされていなかった。また、SonicStage CP以降のバージョンでは飛躍的に改善されつつあるが、楽曲を管理するデータベースが膨大になると動作が不安定、あるいは重くなる事象がみられる[13]ほか、ポッドキャスティングや動画等新しいコンテンツへのサポートが遅れていること[13]などがSonicStageの課題点であった。これらの課題点は後継ソフトのx-アプリではある程度の改善がなされている。 対応フォーマット・規格最新版のSonicStageは以下のフォーマットのオーディオファイルに対応している。
このほか、ファイル取り込み時にはm3u形式のプレイリストファイルを利用して取り込み対象を指定することも出来る。デジタル著作権管理(DRM)方式はOpenMGのみに対応しているため、Windows Media Rights ManagerやFairPlayなどにより暗号化がかけられたファイルは取り込みができない。 対応するサンプリング周波数は基本的に32kHzまたは44.1kHz、48kHzだが、WAVファイル取り込みの場合のみ最大96kHzまで対応する。一方、ATRAC3/ATRAC3plusでは44.1kHz以外はサポートしていない。これはMDのサンプリング周波数がCDと同じく44.1kHzであり、多くの機器へ転送できる仕様にするためである。圧縮にATRAC3またはATRAC3plusを用いるATRAC Advanced Losslessも同様で44.1kHz以外はサポートしていない。 なお、SonicStageでエンコードしたMP4ファイルの拡張子は3GPP準拠の「3gp」となる。また、ATRAC系コーデックのファイルはOpenMG Audioコンテナ(*.oma)となり、古いOpenMGコンテナ(*.omg)やATRAC3コンテナ(*.aa3)のファイルは作成できない。このうちOpenMGコンテナの既存ファイルについては、転送の高速化のためにOpenMG Audioコンテナに変換することもできる。かつてのバージョンではOpenMG系コンテナのファイルについて必ず暗号化をかけた状態で生成する制限がついていたが、2005年夏のバージョン3.2からはDRMのかかっていないファイルを生成できるようになった。この場合もOpenMG Audioコンテナを使用するためか、拡張子は「*.oma」である。 音楽配信においてはコーデックにATRAC3/ATRAC3plus、コピー防止技術にOpenMGを使用した「レーベルゲートMQ」方式のサービスに対応していた。2006年12月現在、最新の日本語版SonicStageから直接アクセス可能な音楽配信サイトはmora、Yahoo!ミュージックダウンロードの2サイトのみだが、同方式のサイトであればこれ以外であってもウェブブラウザ経由で購入可能であった。日本では各レコード会社直営の音楽配信サイトにこの方式が多い。 以前はATRAC3/ATRAC3plus形式のファイルを他形式へ変換する機能がなく、ソニー以外のプレーヤーに買い替えた際にATRACファイルを活用できなかった。しかし現在は、DRMのないATRACファイルはSonicStage(Ver.4.x)でWAVに変換できるほか、北米ソニーが無償配布する専用ソフトでMP3に直接変換できる[14]。また、波形編集ソフト「Sound it!」(Ver.5.0以降)でも、MP3・WAV・WMA等との相互変換・保存ができる。 Hi-MDウォークマン、ダイレクト録音に対応したネットワークウォークマンなどで録音したデータは転送機能によってSonicStageのライブラリに取り込み、PC上で再生したり、他形式に変換して活用することが可能である。ただし通常フォーマットのMDの場合には一般のHi-MD機器経由では吸い出せず、専用機能を持つ「MZ-RH1」が必要となる。また、Net MD機能で他のPCから転送した楽曲については「MZ-RH1」を使用した場合でも吸出しはできない。 CD-R/RWへの書き込み機能では通常の音楽CD(CD-DA)に加え、より多くの曲が収録可能なATRAC CD、MP3 CDも作成できる(5.x系は非対応)。いずれもタグ情報を反映する形での書き込みが可能である。これらのCDをSonicStage上で再生することはできない。 旧来のATRAC(ステレオ292kbps、モノラル146kbps)は前身のOpenMG Jukebox及び後身のx-アプリも含めてサポートされず、対応機器も存在しない。Net MDでSPモードで転送する場合は、一度ATRAC3 132Kbpsに変換したものをMD機器内で再度ATRAC 292kbpsに変換する形をとる。また「MZ-RH1」を使用しての吸出しでも、SPモードのMDはWAV(PCM)又はATRAC3 256Kbpsに変換しての取り込みとなる。 対応OSSonicStageの対応OSはWindows Vista、Windows XP、およびWindows 2000 Professional、Windows Me、Windows 98 SEである。ただし、SonicStage CP Ver 4.3以降は9x系(Me、98SE)、SonicStage Vでは2000にそれぞれ対応しなくなった。また、Windows NT、Windows 95などには対応しない。なお、Microsoft Windows以外のOSで利用できるバージョンは用意されていない。また、メーカー非保証だがWindows Server 2003やWindows 7でも動作する。利用時には管理者権限を必要とする。 導入方法SonicStageの配布手段は当初、ソニー製PC・VAIOシリーズへのプリインストールや、ウォークマンなど対応ポータブルオーディオ機器へのCD-ROM同梱のみに限られていたが、2004年末のバージョン2.3からはインターネット上で無償公開され、誰もがダウンロードできるようになった。 新しいバージョンのSonicStageが公開されると旧バージョンは削除されるため、インターネット経由では基本的に最新バージョン以外を入手することは出来ない[15]。日本語版以外のSonicStageは各国のソニー系サイトで配布されている場合があるが、扱えるファイルの文字コードは各言語版で違うため、日本語ファイルの利用に制限があることが多い。なお、ネットワークウォークマンのサポートページより入手できる版は、日本語版OSしかインストールできないが、日本のVAIOユーザー向けに専用サポートサイトで頒布されているSonicStageに限り、OSがどの言語版であっても日本語版としてインストールされる。 各バージョンの詳細OpenMG Jukebox
OpenMG JukeboxはSonicStageの前身に当たるソフトで、1999年から2001年に渡りリリースされた。最終バージョンは2.2である。 初期のシャープ製OpenMG機器にはOpenMG Jukebox for SHARPという名のバージョンが添付されており、ヘッドホン型メモリプレーヤー「WA-HP1」の付属品はバージョン1.1、Net MDレコーダー「IM-MT880」の付属品はバージョン2.2となっていた[16]。
SonicStage 1.xSonicStage 1.xは2001年から2003年に渡ってリリースされたバージョン群である。もとはWindows XP対応のVAIOを発売する際、従来のOpenMG Jukeboxをリニューアルしたのが始まりである。
SonicStage 2.xSonicStage 2.xは2004年にリリースされたバージョン群である。これらは使い勝手の悪さや動作の緩慢さ、またHDD型ウォークマン登場に端を発するソニーのポータブルオーディオ全体の混乱期とも重なったこともあり、一般的にあまり高い評価は受けていない。
SonicStage 3.xSonicStage 3.xは2005年から2006年にかけてリリースされたバージョン群である。これらでは2004年のポータブルオーディオにおける失敗(ウォークマン#種類を参照)から決定された方針変更をもとに数多くの改良が行われた。このうち主要なポイントとしては「対応コーデックの追加」、「コピープロテクションの緩和」、「動作速度の向上」があげられ、これらはいずれも大幅な改善が行われている。これらの改善と下記のCONNECT Playerの不評から特にバージョン3.2以降は評価が高まった[13]。 なお、バージョン3.3と同時期にはウォークマン新機種向けに新ソフト「CONNECT Player」が日欧でリリースされた。今後は徐々にSonicStageから比重を移していくとされていたが、CONNECT Playerの完成度が非常に低く各国のユーザーから苦情が多発したため[22]、ソニーはSonicStageの開発続行を発表した。
なお、2005年12月22日には米Apple Computerのインタラクティブメディア担当副社長であったティム・シャーフを米ソニーが引き抜き、同社のソフトウェア開発担当上級副社長に据えたと発表された[28]。この人事が今後のSonicStage開発に及ぼす影響が注目された。 SonicStage 4.xSonicStage 4.xは2006年から2008年にかけてリリースされたバージョン群である。4.xはSonicStage CPという別称が示すとおり前年にウォークマンAシリーズ専用にリリースされたCONNECT Playerの機能を完全に取り込んだもので [13]、対応フォーマット拡充も引き続き行われている。なお、UIデザインは3.xからほとんど変更されず、従来空色だった配色がCONNECT Playerに近い青紫に変更された程度である。 次のバージョンであるSonicStage Vからは対応機器や機能、UI面などで大幅な変更が加えられた上に2007年秋以降は海外向け機種がD&D転送へ切り替わったため、OpenMG Jukeboxからの系統のSonicStageとしては事実上最後のバージョンとなった。 なおバージョン4.0から4.3についてはm3u形式プレイリストファイルの読み込みに関する脆弱性が報告されていた[29]。が、12月4日付で脆弱性を修正するパッチがリリースされた[30]。
SonicStage 5.xSonicStage 5.xは2008年10月よりリリース開始されたバージョン群である。5.xでは、UIが一新され名前もSonicStage Vに変更になった。 先述の通り本バージョンから国内専用のソフトウェアとなったことから、UIや機能面は先にリリースされたSonicStage for LISMOをベースにする形となり、基本的な仕様はSonicStage for LISMOと同じとなった。ソニーのコーポレートカラーのソニーブルーで纏められているほか、楽曲サーチ機能のディスカバリーゾーンやアルバムリスト表示など表示方法や楽曲の検索方法に独自色が打ち出されている点などが違いとなる。また、データベースがUnicode対応となった。 また、転送対応機器が後述のように大幅に絞り込まれたほか、Windows 2000にも非対応となった。このほかにも一部機能が削除されている。 上記のように大幅な変更が加えられていることから、SonicStage VはバージョンこそSonicStage CPに連なる5.xを付けられてはいるが、事実上は別ソフト扱いであり4.xのSonicStage CPとは異なる別ソフトとしてインストールされSonicStage CPとの共存が可能となっている(ただし、同時起動は不可)。そのためかSonicStage CPのライブラリデータは使用されず、5.xでは機能として旧バージョンのライブラリデータを読み込む機能が設けられている。また、旧式のVAIOに搭載されているDo VAIO機能にも連動できなくなった。 SonicStage Vの事実上の後継であるx-アプリが2009年10月7日に提供開始されたのに伴い、それ以降は提供されていない。
転送対応機器以下に記すように、Ver.4.x系であるSonicStage CPまでは非常に多様な端末に対応していた。OpenMG Jukebox時代の対応機器についても引き継いでいた[17]ため、OpenMG Jukeboxの初期バージョンをバンドルして1999年に発売された初のATRAC3対応機器「メモリースティック ウォークマン」(NW-MS7)も利用可能であった。 しかし、後述のようにVer.5.x系であるSonicStage Vのリリースの際に、転送に対応する機器が大幅に絞り込まれた(ウォークマンについては2006年5月以降に発売された機種のみ)ため、以降も2013年3月29日までSonicStage CPの提供も継続され(異なるバージョンのSonicStageの同時提供は初)、転送する機器によって異なるバージョンのSonicStageを使い分ける必要性があった。これは後継のx-アプリについてもほぼ同様の仕様であるため、2013年4月以降は実質的にこれらの機器の(新規の)PCでの利用は事実上不可能となる。 なお、SonicStageは先述の通りWindows 7の発売以前に実質的な開発が終了しているため、全バージョンでWindows 7以降のWindows OSに正式対応していない(SonicStage CP (Ver4.4) 動作するために必要な環境について)。つまり、後継ソフトであるx-アプリに非対応の機器(主に2005年以前発売のウォークマン及びNet MD、Hi-MD機器)ユーザーがアップグレードや買い換えなどでOSをWindows 7やWindows 8とした場合、事実上それらのウォークマンへの楽曲転送手段はソニーからは断たれ、ジャストシステム製BeatJamのアップデート(ジャストシステム製品の Windows 7 対応状況)を待つほか無い。 ただし、Net MD・Hi-MDについては、当時唯一の現行機種であり事実上の最終機種であるHi-MDウォークマン、MZ-RH1が2010年10月のx-アプリ Ver.2.0のリリースの際に対応機器に追加されたためそれ以降のバージョンでWindows 7に正式対応となった。ただし、Windows 8への正式対応は見送られている(2009年9月以前発売のウォークマンやRolly、myloも同様)。 また、2012年10月以降はリニューアルに伴い全バージョンでmoraの利用が不可能となった。これはmoraが配信フォーマットをATRAC3 132kbpsからAAC 320kbps、DRMフリーに変更したことによるもの(原則的にSonicStage CP以前のバージョン及び2005年以前発売のウォークマンはAAC非対応)で、今後moraの利用には4.0以上のx-アプリが必要となる[10]。 2012年現在までにSonicStageまたはSonicStage for LISMOから直接転送が可能となっている機器を以下に示す。ウォークマンの新機種の発売前後に新しいバージョンがリリースされることが多く、新型の機器はそれ以降のバージョンで正式対応となるため、利用機器の発売以前にリリースされたバージョンでは一部の機能に支障が出る場合もあるので注意が必要。以下の一覧はそれぞれの最終バージョンの物(SonicStage CP Ver.4.4及びSonicStage V Ver.5.2)である。このほか、C404Sやpremini-IIなど一部の旧型の携帯電話にもSonicStageから転送したメモリースティック内の音楽を再生できる機種があるが、それらはSonicStageからの直接転送には対応せず、メモリーカードライターや光学ドライブ等の外部装置を併用する必要があるため以下のリストには含めていない。同様に、ATRAC CDの再生に対応するCDウォークマン(D-NE730・D-NE830・D-NE920・D-NE20)も除外した。メモリースティック上の音楽を再生できる機器の一覧はメモリースティックオーディオを参照。 正式対応機器(SonicStage CP以前)
前述の通り2009年以降発売のウォークマンはSonicStage V・x-アプリがリリースされた後の発売のため正式対応していない。
正式対応機器(SonicStage V)先述の通りSonicStage Vでは対応機器が絞り込まれたため、以下の機器のみが利用可能である。また、2010年以降発売のウォークマンは後継ソフトのx-アプリがリリースされた後の発売のため正式対応していないが、たとえ2010年以降発売モデルや2012年モデルであっても難なく使える。
実質的に使用できる機器
SonicStageは転送が可能な機器について「OpenMG 対応の機器・メディア」としており[43]、メーカー側がSonicStageへの対応を謳っていない機器であっても実質的に転送動作ができる。 なお、一般論として検証されていない機器・ソフトウェアの組み合わせで使用した場合は不測の事態が起きる可能性が十分にあり、また機器側からは保証外の行為となるため各メーカーによるいかなるサポートも受けられないことには留意する必要がある。
派生ソフトウェアSonicStage for LISMO
→「LISMO」および「LISMO Port」も参照
SonicStage for LISMOは日本の携帯電話キャリアであるau(KDDI/沖縄セルラー電話)とのコラボレーション「au×Sony "MUSIC PROJECT"」により開発された特殊バージョン。KDDIの「LISMO」サービス向けソフトウェア群「LISMO Port」に含まれるコンポーネントとして無償提供されている。当初は対応携帯電話端末(LISMO「オーディオ機器連携」対応、いわゆるKCP+機種)にあわせて2007年12月以降に提供される予定であった[46]が、端末側の発売が遅れたため翌2008年1月以降に日程が順延され、最終的にはKCP+初号機であるW56T、W54Sの2機種の発売にあわせて2008年2月1日に提供が開始された。 このソフトウェアは従来のLISMO用ソフトウェア「au Music Port」の上位バージョンとして位置づけられており、通常のSonicStageをベースに、携帯電話で使われる「着うたフル」の音声ファイルやビデオクリップを扱うための各種機能などが追加されたものとなっている。DRMやコーデックを各機器の対応する規格に相互に自動変換する機能を持つため、PC上のライブラリや音楽配信サービス(mora for LISMO)から携帯電話に楽曲を転送したり、逆に携帯電話から「着うたフル」を吸い出してウォークマンに転送する、などの利用ができる。バージョン2.0からはLISMO Music Storeにも対応するようになり、PCにダウンロードした着うたフルを着うたに登録できるようになった。またLISMO Videoの開始に伴いLISMO Video Storeにも対応するようになった。ダウンロードしたビデオファイルを携帯に転送して携帯で映画などを楽しむことができる。 SonicStage for LISMOはSonicStage CPとの共存が可能である[47]。基本機能面でSonicStage CPと比較すると、CD作成機能がない[48]、転送が可能なウォークマンの機種が少ない、CDからのエンコード時にATRAC系コーデック以外が選択できないなど制約が多く、SonicStage CPと置き換えて利用することのできるソフトウェアではない。ライブラリは当初は互換性があると報道されていた[47]が、公開されたバージョンではSonicStage CPから独立した別のデータベースに保存される仕様となっている。 また、2008年にリリースされたSonicStage V(SonicStage Ver.5.x)とも共存が可能。当初はライブラリはSonicStage for LISMOとは別になっていたが、2008年12月8日にリリースされたSonicStage for LISMO Ver.3.0よりSonicStage VとSonicStage for LISMOは同じデータベースを使用しライブラリを共有して扱う仕様に変更された。 UIのデザインはLISMOのイメージカラーである黄緑色を基調とした配色に変更され、画面上部にはイメージキャラクター・リスモくんが登場する遊び心の強いアニメーション表示部が設けられた。また、従来様々な場所に散らばっていた機能切り替えは左側ペインに集約され、ライブラリ画面の表示モードは全楽曲の一覧表示、楽曲のジャケット表示、アルバム単位のジャケット表示の3種類に絞られた。ジャケットの表示サイズが大きくなり、右上に常にキーワード検索枠が表示されるなどWindows Vistaのエクスプローラに準じたデザインとなっている。また、アルバムのジャケット画像へマウスカーソルを乗せると楽曲一覧がフロート表示されるようになり、従来のライブラリ内とアルバム内の切り替え表示は廃止された。これらのUIや機能の仕様は既存のSonicStage CPよりもau Music Portに似通っており、SonicStage for LISMOがau Music Portの代替・後継ソフトとして開発された経緯による特異なものと思われる。 2009年10月19日にリリースされたLISMO Port Ver.4.0からは後継ソフトx-アプリがベースのx-アプリ for LISMOへと変更されたためSonicStage for LISMOとしての提供は終了した。 その他
他のOpenMG系音楽ソフトウェアこれらのソフトウェアはSonicStageと同様に、ソニーによって開発されているOpenMG暗号化コンポーネント「OpenMG Secure Module」に転送動作において依存する構造となっており、コピーコントロールもその当時のソニーの基準と同じか、より厳しいものが多い。 一般
Net MD・MSオーディオ用2000年代前半には家電各社からNet MDやメモリースティックオーディオに対応する機器が販売されており、当時は楽曲管理ソフトウェアを独自開発する企業もあった。なお、シャープの初期モデルはOpenMG Jukeboxを、シャープの後期モデルと松下電器産業(現:パナソニック)はBeatJamを同梱していた。 その他のウォークマン用転送ソフトウェアSonicStageでは非対応である、動画や静画、ポッドキャストを扱えるウォークマンの登場により、これらのファイルを管理・転送するためのソフトウェアが開発された。後にx-アプリで一括管理が可能になったため、ソフトウェアの開発は終了した。
脚注
関連項目
外部リンク
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