SS寒天培地(エスエスかんてんばいち、Salmonella-Shigella Agar)とは、サルモネラSalmonella属や赤痢菌Shigella属を糞便検体から分離するのに優れた選択分離培地である。
培地の組成
純水に溶解し、pH7.0になるように調整する。
なお、作成に当っては加温溶解としオートクレーブ等で滅菌してはならない。[1]
特徴
- SS寒天培地は、デオキシコール酸ナトリウムなどの胆汁酸塩・クエン酸塩・ブリリアントグリーンの相互作用によりグラム陽性菌を中等度発育阻止し、また、大腸菌(Escherichia coli)などの乳糖を分解する腸内細菌の発育を抑制しかつ、発育してもコロニーがレンガ色に着色する為、乳糖非分解菌である。
- Salmonella属やShigella属等の無色半透明のコロニーとは容易に分別できる。
- Salmonella属、Citrobacter属、Proteus属などの硫化水素産生が著名な菌属では、コロニーの中心部が硫化鉄により黒変する事により容易に判別できる。[1]
培養の方法
- 培地は、平板培地を用いる。
- 培地は使用する前に、無菌試験等を行ない問題の無い物を用いる。
- 検体を採取後できるだけ速やかに培地に画線塗末する。
- 平板培地を好気条件下において、35 ℃で18-24時間培養する。
- 24時間で菌の発育を認めた場合には、さらに24時間培養を行なう。[1]
主な菌の発育の性状
SS寒天培地における発育性状
菌名 |
性状
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Escherichia coli |
わずかに発育・桃色又は赤色
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Proteus |
無色・中心部が黒変・Swarming抑制
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Shigella属 |
無色半透明
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Salmonella属 |
無色・コロニー中心部が黒変
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Enterobacter・Klebsiella |
わずかに発育・桃色
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Pseudomonas |
わずかに発育・非定型
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グラム陽性菌 |
発育しない
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SS寒天培地の改良品
一部の組成を変更した、変法SS寒天培地等が販売されている[2]。
出典
関連項目