警察庁
座標: 北緯35度40分31.9秒 東経139度45分4.6秒 / 北緯35.675528度 東経139.751278度
警察庁(けいさつちょう、英語: National Police Agency、略称: NPA)は、日本の行政機関のひとつ。警察制度の企画立案、国の公安に係る事案についての警察運営、サイバー犯罪の捜査、警察活動の基盤である教養・通信・鑑識等に関する事務、警察行政に関する調整等を行う国家公安委員会の特別の機関である[4]。 1954年(昭和29年)に公布、施行された警察法により設置された。 沿革
組織警察庁の内部組織は、内部部局(長官官房、5局(3部))、附属機関、地方機関で構成され、法律の警察法、政令の警察庁組織令、内閣府令の警察法施行規則[注釈 2]、警察庁訓令である警察庁の内部組織の細目に関する訓令(昭和32年警察庁訓令第4号)[19]が階層的に規定している。なお付属機関の内部組織の詳細は国家公安委員会規則で定めている。 国の警察組織は、内閣総理大臣の所轄の下に警察庁を管理する国家公安委員会が置かれ、委員は5人、国務大臣である国家公安委員会委員長は内閣総理大臣が任免する。国家公安委員会には、警察庁長官、警視総監の任免権、道府県警察本部長の任免権、国家公安委員会規則制定権等があるが、国家公安委員会には独立した事務局がないことから、警察庁長官官房が事務を取り扱っている。したがって、国家公安委員会の人事権等の多くの権限は、事実上警察庁が取り仕切っている[20]。 日本の警察は、警察庁が都道府県警察の指揮を執る事実上の国家警察である。警察庁長官の都道府県警察に対する指揮監督権は、都道府県警察本部長をはじめ国家公務員である警視正以上の地方警務官の任免権や都道府県警察に要する経費の支弁などを通じて、警察庁は都道府県警察を事実上指揮下に置いている[20]。警察庁長官の指揮監督権に加え、都道府県警察本部長および人事を担当する警務部長は例外なく警察庁出身の地方警務官であることから、都道府県警察のすべての業務は警察本部長および警務部長を通じて、警察庁の意向を通すことが可能である。警察庁長官の指揮監督制度、都道府県警の活動の一部に国の予算が使われる国庫支弁制度、警視正以上の警察官を国の職員とする地方警務官制度等により、一定の範囲で都道府県警察の運営に国が関与していることから、日本警察が国家警察である所以である[21]。 地方警務官制度の建前としては、国家公安委員会が都道府県公安委員会の同意を得て人事を行うとされているが、これまで一度も都道府県公安委員会が拒否権を発動した事例はなく、都道府県警察の幹部人事はすべて警察庁人事での決定を追認している[22]。そのため、報道機関も警察庁人事として報じている[23]。 公安警察に関する予算は国庫支弁となっており、都道府県警察の公安部門は警察庁の直接指揮下にある[24]。 幹部長は警察庁長官で、国家公安委員会が内閣総理大臣の承認を得て任免する。全警察職員の最高位に位置する警察官であるが、階級がない。警察法第62条の規定により唯一階級制度の枠外に置かれている。警察法第34条で、「長官は警察官とし、警察庁の次長、局長及び部長、管区警察局長その他政令で定める職[注釈 3]は警察官をもつて、皇宮警察本部長は皇宮護衛官をもつて充てる」となっている。2022年4月の改正まで、情報通信局長は警察官以外の職とされ、通信系の技官が就任していたが、情報通信局の廃止に伴い局長及び部長のすべてに警察官を充てることになった。 長官警察庁長官は、国務大臣を委員長とする国家公安委員会の管理に服し、警察庁の庁務を総括し、所部の職員を任命し、及びその服務についてこれを統督し、並びに警察庁の所管事務については都道府県警察を指揮監督する。他の省の事務次官に相当する。 次長警察庁次長1人(階級は警視監)は、長官を助け、庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。 内部部局内部部局は、以下のとおりである[19]。中央合同庁舎第2号館の2階および16-20階に所在している。○○官については複数置かれている場合に限り括弧書きで人数を示す。
附属機関地方機関6局1支局2部制。都道府県警察は警察庁の地方機関ではなく、各都道府県が設置している。 管区警察局→詳細は「管区警察局」を参照
都道警察情報通信部管区警察局の管轄下にない都と道の警察通信事務[注釈 5]を行う。指導・監察・教育訓練は行わない。(警察法第33条)
警視庁・北海道警察本部・方面本部・警察署・交番、駐在所を結ぶ、警察電話・警察無線・通信指令システム・衛星映像や映像配信システム・情報管理システム等各種情報通信システムを構築する機関。犯罪の取締りのための技術支援も行う。職員は警察庁技官や警察庁事務官など。部長は技官。 機動警察通信隊
各管区警察局及び都・道警察情報通信部、府県情報通信部、各方面情報通信部。
出動現場等において、警察事務の執行のため必要な通信を確保すること。警察通信施設の臨時の設置、運用、警察官への技術指導などを行う。
情報通信部長の命の下、機動通信課長(都警察は機動通信第一課長)が務める。
地震などの自然災害、航空機などの大規模事故、大型会議などの警衛・警護、誘拐などの重大事件。 業務委託機関
所管法人内閣府の該当の項を参照 財政2024年度(令和5年度)一般会計当初予算における警察庁所管予算は、2806億4468万9千円である[3]。このうち、付属機関の分は、皇宮警察本部82億9606万1千円、科学警察研究所19億9559万円となっている。警察大学校は予算上、独立の区分はない。 職員一般職の在職者数は2023年7月1日現在、警察庁全体で8,210人(男性7,168人、女性1,042人)である[25]。 行政機関職員定員令に定められた警察庁の定員は8,054人(警察庁の職員の定員)となっており、警察庁の定員のうち、2,312人は警察官の定員とされている[1]。 組織別の定員は、警察庁の定員に関する規則(昭和44年国家公安委員会規則第4号)[2]により、内部部局は長官官房781人、交通局180人、警備局(外事情報部及び警備運用部を除く。)172人、外事情報部264人、警備運用部137人、サイバー警察局246人で合計2,624人(1,448人は、警察官)となっている。付属機関は警察大学校193人、科学警察研究所129人、皇宮警察本部937人(うち、897人は、皇宮護衛官)で合計1,259人(うち、80人は、警察官、897人は、皇宮護衛官) となっている。管区警察局、東京都警察情報通信部及び北海道警察情報通信部は合計で4,171人(うち、784人は、警察官)となっている。内部部局の定員を各局部単位で法令で規定しているケースは警察庁だけである。 2024年度一般会計予算における予算定員は特別職5人、一般職8,687人の合計8,692人である[3][注釈 6]。また行政機関職員定員令の国家公安委員会(警察庁職員)の定員と予算定員の警察庁の定員の差異は、地方警務官の定員は、警察法第57条第1項に基づき警察法施行令第6条により631人と定められており、これが予算定員にのみ含まれていることが主な原因である。 警察庁の警察職員は団結権も否定されており、職員団体を結成し、又はこれに加入してはならない(国家公務員法第108条の2第5項)。 警察庁の職員は、大きく警察官と一般職員の二種類に分かれる。 警察官としては、
などが勤務している。なお、2022年3月までは全員が行政官であり、実務に携わる捜査員はいなかったが、サイバー捜査隊が2022年4月に設置されたことから初めて実務に携わる捜査員が置かれるようになった。 一般職員には、
などがいる。 なお、他の官庁からの出向者もいるが、警察庁への出向時には警察官又は警察庁事務官・技官に転官する。 ※都道府県警察に所属する警察官でも、階級が警視正[注釈 7]以上になると警察法第55条により身分が国家公務員になる。このような警察官を地方警務官という。 幹部2024年(令和6年)10月1日現在[26]
階級→「日本の警察官」を参照
関連事件・不祥事重要事件
サイバー攻撃被害2010年9月16日夜から17日の未明まで、同庁のウェブサイトが全く繋がらなかったり、違うページへの切り替えが遅くなったりする状態が続いた。大量のデータを標的に送りつけて機能をマヒさせるサイバー攻撃を受けた可能性がある。 統一教会捜査への政治的圧力→詳細は「旧統一教会問題 § 警察捜査と政治の関係」、および「世界平和統一家庭連合 § 警察捜査への政治圧力」を参照
1995年のオウム真理教事件以降、警視庁公安部は、日本人の過酷な被害が絶えない統一教会(現・世界平和統一家庭連合、旧・世界基督教統一神霊協会)への捜査に着手しようとしていたが頓挫した。有田芳生によれば、2005年頃に当時の公安関係者に頓挫した理由を聴き取りしたところ「政治的圧力」があったとのことである[30]。また元朝日新聞記者・佐藤章によると、ある警察庁最高幹部の妻が同教会信者として多額の献金や借財を強いられ困窮したのを契機に、大がかりな捜査に着手しようとしていたところ、当時の小泉内閣の安倍晋三内閣官房長官により人事で捜査のフォーメーションを崩され頓挫したとされる[31]。 弁護士・山口広(全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人)によると、2009年の新世事件では警察官僚出身の自民党議員の圧力を受け、東京松濤の教団本部に家宅捜索に入れなかったとのことである[32][33]。さらに2010年代以降を通じて、被害届が受理されても検挙件数はゼロだったことが明らかになっている[34][35]。 その他→「警察不祥事」を参照
→皇宮警察本部については「皇宮警察本部 § 不祥事」を参照
脚注注釈出典
関連項目
外部リンク
|