虹の岬の喫茶店
『虹の岬の喫茶店』(にじのみさきのきっさてん)は、森沢明夫による日本の小説。2012年にラジオドラマ化、2014年に『ふしぎな岬の物語』のタイトルで映画化された。 千葉県鋸南町の明鐘岬に実在する喫茶店をモチーフに執筆された作品で、映画のロケも同地を中心に千葉県各所で行われた[1][2][3]。 登場人物
主要人物
岬カフェの客
ラジオドラマNHKラジオ第1放送の『新日曜名作座』にて2012年11月25日から2013年1月6日まで全6回放送された。 映画
『ふしぎな岬の物語』(ふしぎなみさきのものがたり、英題:Cape Nostalgia )のタイトルで、2014年10月11日に公開された。主演女優・吉永小百合が、初めて映画の企画者を担当した作品[5]。監督は成島出。 第38回モントリオール世界映画祭で審査員特別賞グランプリとエキュメニカル審査員賞[注 1]を受賞した[6]。 劇中詩で金子みすゞの「鯨法会」(部分)と「海の果て」が朗読される。 ストーリー(映画)虹の絵が飾ってある「岬カフェ」に父娘がやってきて、娘が「虹をのぼって行けばママに会えるのかな」という。店主の悦子は娘をハグして「大丈夫」といえば暖かくなってくると教える。男は陶芸家でカップを置いていく。「おいしくなれ」と魔法をかけるコーヒーが評判で常連が多い。45歳になる甥の浩司は花畑での結婚式を台無しにしたり、掘建て小屋に住んでいる変人。泥棒にご飯を食べさせ、どうせなら夫の最後の絵を持っていってくれという。泥棒はお礼に柳刃包丁を研いで行く。漁師の徳さんの娘・みどりが東京から帰り、追いかけてきた夫を浩司が柳刃で脅して助け、「私、浩司さん昔好きだったんだ。悦子さんの代わりでもいいよ」の言葉で倒れてしまう。徳さんは末期の胃がんで入院し、みどりはコーヒーの煎れ方を教わる。不動産屋のタニさんは転勤話があって浩司からたき付けられるが、悦子にプロポーズできずに大阪に異動。徳さんが亡くなって休業していたら、父娘が来て虹の絵を返してほしいというおじさんがいるという。悦子がはっとして亡夫の写真を見せるとこの人だというので渡す。夜になり、茫然自失状態で失火。浩司に引き取った事情を話し、みんないなくなったと嘆く。仮店舗ができて皆大喜び。離島にコーヒー用の水を取りにいくボートに浩司がみどりと乗って妊娠したことを悦子に告げる。海の向こうには大きな虹が架かっている。 キャスト
製作主演の吉永小百合が50余年の映画人生で初めて企画から携わり[5]、映画化候補作品として挙げられた数10冊の小説の中から、吉永が「これならきっと素敵で温かい物語になる」と監督の成島出と共に選んだ作品で[8]、撮影後もプロデューサーとして編集作業などに立ち会った[9]。2014年2月にクランクインし、喫茶店の店主を演じる吉永はその2か月前からコーヒー点前の練習に取り組み、またキャッチボールシーンのために投球の自主トレーニングをするなど役作りに励んだ[10][11]。冨田役を演じた米倉斉加年は2014年8月26日に死去し、本作が遺作となった[12]。 スタッフ
封切り・受賞第38回モントリオール世界映画祭ワールドコンペティション部門に出品され[13]、審査員特別賞グランプリとエキュメニカル審査員賞を受賞[6]。現地へ赴き、公式上映前の舞台挨拶に立った吉永は練習を重ねたという流暢なフランス語でスピーチを披露した[14][15]。審査員賞特別グランプリは2011年の『わが母の記』以来3年ぶり、エキュメニカル審査員賞は2006年の『長い散歩』以来8年ぶりとなる[16]。 日本におけるロードショー公開は2014年10月11日で、全国286スクリーンで公開され、土日2日間の動員は15万2,311人、興収は1億7,680万6,300円で、公開初週の映画ランキング(興行通信社調べ)では動員1位を記録した[17][18]。なお興収では1位を『近キョリ恋愛』に譲り2位となった[18]。客層はシニア層が多く男女比が半々となり、夫婦で観る例も目立っている[18]。 第38回日本アカデミー賞では以下の部門賞を受賞した[19]。
テレビ放送
注釈
出典
外部リンク
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