第一工業製薬
第一工業製薬株式会社(だいいちこうぎょうせいやく、英: DKS Co. Ltd.)は、産業・工業用の薬剤、添加剤、助剤などを製造販売している日本の化学品メーカーである。本社は京都府京都市南区(登記上の本店は下京区)に所在。 界面活性剤をはじめ、高分子材料、ウレタン、樹脂薬剤などを扱う。非イオン界面活性剤、カルボキシメチルセルロース(CMC)、シュガーエステルなどの分野で高いシェアを持つ。 概要京都・西本願寺前の香老舗 薫玉堂 の新規事業部門として1909年(明治42年)に創業され、絹糸紡績向けのアンモニウム石鹸の製造販売を開始した。 1914年(大正3年)、匿名組合負野薫玉堂解舒液部は合名会社負野工業製薬所に改組され、1915年(大正4年)に国産の「玄武印マルセル石鹸」を創製した。京都御所に掲げられた大正天皇の即位の礼の四神を表象した五色の旗になぞらえて、『青龍』『朱雀』『白虎』『玄武』の図案を商標登録した。業務用石鹸洗剤「ゲンブ」をはじめ、繊維工業用薬剤「モノゲン」、非イオン界面活性剤「ノイゲン」、水溶性高分子「セロゲン」なども、「玄武」の名に由来する。 昭和30年代には、家庭用合成洗剤「ナンバーワン」、台所用液体洗剤「アルコL」、「アルコカラー」などを発売していた。 1969年(昭和44年)にミツワ石鹸・旭電化工業(現・ADEKA)との共同出資で日本サンホームを設立、それぞれの家庭用洗剤事業を移管した。1972年(昭和47年)には日本進出を果たしたP&G[2]と提携して、プロクター・アンド・ギャンブル・サンホーム(P&Gサンホーム、現・P&Gジャパン)を設立したが、製造は従来の三社が行っていた。 高級アルコール系のウール・おしゃれ着用中性家庭用洗剤の「モノゲン」は1935年(昭和10年)に「DK300番」の商品名でスタートして、1937年(昭和12年)には「モノゲン」に改称される。「モノゲン」は全ての合成洗剤(高級アルコール系、化学系、石油系、洗濯用、台所用など)を通じて日本初の製品である。発売当初はペーストタイプだった。その後粉末タイプが発売され、1964年(昭和39年)に従来の「モノゲン」を改良してほとんどの繊維にも使える「モノゲンユニ」にリブランドされた。この間に日本サンホーム→P&Gサンホーム→P&Gへと社名を変え、ウールマークの認定も受け、液体も発売される。1998年(平成10年)、「モノゲンユニ」は「モノゲン ドライ&ウール」としてリニューアルされた。渡って親しまれて来た長寿製品だったが、後発メーカーの台頭などで売り上げの低迷、さらにP&Gのグローバル戦略上の理由で、2006年(平成18年)をもって販売を打ち切り、クリーニング店専売商品(粉せっけん等)を除く家庭用品事業から撤退した。 「モノゲン ドライ&ウール」の販売打ち切り後、P&Gのウール・おしゃれ着洗剤としての後継商品はP&Gオリジナルの粉末タイプ「ルミネス」だったが、短期間で製造・発売中止、その後2011年9月にP&Gオリジナルで液体タイプの「ボールド 香りのおしゃれ着洗剤」が発売された。 家庭用品が最盛期の頃は「ゲンブ・マルセル本舗・第一工業製薬」や、「モノゲン・第一工業製薬」の呼び名でも親しまれて来た。さらにテレビ番組のスポンサードでは「モノゲン」と表記されていた。 「モノゲン」の名前の由来は第一工業製薬の創業者の一人である小野茂平(もへい)のローマ字「M.ONO(モノ)」と「玄武のゲン」から来ており、第一工業製薬の代表的ブランドになった。ほかにも「モノゲンオール」(弱アルカリ性洗濯洗剤)、「モノゲンブリーチ」(塩素系漂白剤)、「モノゲンソフター」(柔軟仕上げ剤。「モノゲン」が発売された頃は「バンソフター」の名称だった)などがあった。 現在では工業用途の化学品製造販売を専業としている。繊維をはじめ医薬や電子材料に使用される界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステルや配合剤などの食品添加物、CMCやポリビニルピロリドンやポリアクリルアミドなどの高分子材料、ポリエーテルやプレポリマーなどのポリウレタン原料、難燃剤、各種樹脂原料や樹脂添加剤などを事業の柱にしている。 高等専門学校の教育内容に信頼を寄せているため、高等専門学校卒業生を多く採用している。全社でダイバーシティ推進に力を入れ、日本の高等専門学校を卒業したラオス出身者やモンゴルにある新モンゴル高専の卒業生を採用している[3]。 沿革
関連項目
脚注
参考文献
外部リンク |