尾索動物
尾索動物(びさくどうぶつ、Urochordata[1][2] または Tunicata[3])とは、脊索動物門の下位分類群のひとつで、ホヤ類、タリア類、オタマボヤ類の3つの動物のグループの総称。被嚢動物やホヤ動物とも。すべて、海中に住み、プランクトンを濾過して食べる動物で、脊椎動物に近縁のグループである。
ホヤ類は世界で2300種以上、タリア類、オタマボヤ類はそれぞれ数十種程度の現生種が知られている。 尾索動物は頭索動物(ナメクジウオ)のもつ13のHox遺伝子のうち4つを失っており、幼生期のボディプランが他の脊索動物とは異なる機構で形成される[4]。 またホヤ類は「他の脊索動物と分岐した後に、成体で脊索動物の特徴を失った」と考えられる[4]。 下位分類群
特徴次のような特徴を持つ:
ホヤ類では、オタマジャクシ型の幼生は成熟を前にして変態を行い固着性の成体となる。ホヤの幼生は海底にたどり着き、頭部を下にして付着すると、尾部は吸収され、同時に脊索や背側神経索も消滅する。また、頭部の構造も変化し、体全体を包む筋肉性の膜である被嚢(外套)があらわれる。この被嚢が、尾索動物の別名、被嚢動物の名前の由来である。ホヤ類の被嚢には入水口と出水口の2つの穴があり、被嚢を収縮させることで水流を起こし、被嚢内部のエラに酸素や餌となる微生物を含んだ新鮮な水流を送り込む。 タリア類でも、ホヤ類と同様に尾部が吸収され、体全体を包む被嚢が形成される変態が起こるが、ホヤ類のように海底に固着することはなく、一生をプランクトンとして過ごす。被嚢の出入口は体の前後方向にあり、外見は樽状である。被嚢の筋肉を収縮させることで、被嚢の中に水を通し、濾過して餌を摂ると同時に、ゆるやかな水流を起こして移動する。タリア類では特に、脊索の形成は痕跡的である。 オタマボヤ類では、成熟に伴うわずかな形態の変化はあるものの、基本的に成熟してもオタマジャクシ型を維持し、また脊索を終生維持しており、いわゆる幼形成熟(ネオテニー)をすると考えられている。これがオタマボヤの名前の由来である。オタマボヤ類は、被嚢は形成しないが、ゼラチン質を分泌し、体全体を包むカゴのようなものをつくり、その中で生活する。尾を振ることで内部に水流を起こし、微細なふるい状の分泌物に引っかかったものを餌にし、またその水流で移動する。 脚注
参考文献[キャンベル11版] キャンベル生物学 原書11版. 丸善出版. (2018/3/20). ISBN 978-4621302767 |