小川 糸(おがわ いと、1973年[1] - )は、日本の小説家、作詞家、翻訳家。音楽制作ユニットFairlifeのメンバー。作詞家としてのペンネームは、春嵐(しゅんらん)。
山形県山形市出身。2008年から2012年までアミューズ所属。夫はFairlifeメンバーとしても共に活動する編曲家の水谷公生。
経歴
山形県山形市に生まれ育ち[3]、1992年に進学校の山形県立山形東高等学校を卒業の後[4]、清泉女子大学[5]への進学を機に上京。国文学科で古代文学を専攻し『古事記』を研究、またサークル万葉集研究会で活動する[6]。大学在学中、後に夫となる音楽プロデューサー・水谷公生と出会う[7]。
大学卒業後はマーケティング会社に就職し商品開発に携わるが、本の世界にいたいと数ヶ月で退職。編集プロダクションに転職し情報誌のライターとして仕事を始めるものの、1号を発行して休刊伴いリストラとなる。住むところを失ったことで、水谷公生のもとで同居を開始。会社勤めに嫌気が差し就職せずにアルバイトをするかたわらで、「物語を書く人になりたい」という気持ちが強まって創作活動を開始する[8]。小説誌に応募して受賞したのを機に短編3編を執筆、その後も文学賞への応募や出版社へ持ち込むなど執筆を続ける[9]。
2000年には水谷公生と結婚[10]。2004年に浜田省吾、水谷公生とともに音楽制作ユニット「Fairlife」を結成して「春嵐」(しゅんらん)のペンネームで作詞を担当し、作詞家として活動を開始。同年に1stアルバム『Have a nice life』、2007年に2ndアルバム『パンと羊とラブレター』をリリースする[11]。CDジャケットのイラストを依頼した縁で、2007年にはイラストレーターのコイヌマユキとともに絵本『ちょうちょ』を発表する[9]。家事やレコーディングのため家を訪れるスタッフのための食事作りをしながら雑誌への応募など小説を書き続けるものの芽が出ることはなく、創作活動開始から10年以上デビューのきっかけを見出すことができずにいた[4][10]。
「もうこれでだめだったらあきらめよう」と好きな料理を題材として執筆した小説『食堂かたつむり』が[4]、2006年の第1回ポプラ社小説大賞にて入選こそ逃したものの編集者の目に留まり、編集者と二人三脚で作品を完成させて2008年1月に出版、念願の小説家デビューを果たす[12][13]。同作はTBSテレビ『王様のブランチ』のBOOKコーナーにて絶賛を受け「第7回輝く!ブランチBOOK大賞・新人賞」を受賞、おもに20代から30代の女性読者からの支持を受けて売上部数82万部を超えるベストセラーとなり、2010年に富永まい監督、柴咲コウ主演により映画化される[14][15][16]。また、2011年7月にはイタリアの文学賞であるバンカレッラ賞(Premio Bancarella)料理部門賞を、2013年にはフランスのウジェニー・ブラジエ小説賞を受賞している。
2010年12月に発表された小説『つるかめ助産院』はNHKでドラマ化され、仲里依紗主演で2012年8月から10月まで放送された。
2016年に故郷・山形県に開校した山形県立東桜学館中学校・高等学校の校歌を作詞した[17]。
2017年には『ツバキ文具店』が2017年本屋大賞[18]にて第4位となり、NHKにて多部未華子主演でテレビドラマ化された[19]。ツバキ文具店の続編に当たる『キラキラ共和国』が2018年本屋大賞にて第10位。『ライオンのおやつ』が2020年本屋大賞で2位となり、2021年にNHKBSにてドラマ化された[20]。
長年好きだったドイツ・ベルリンにて2017年春より生活を開始。東京との二拠点生活を送りながらを執筆活動を行っていたが2020年3月末に帰国[21][22]。
2021年、『とわの庭』で第34回山本周五郎賞候補[23]。
作品リスト
| この節の 加筆が望まれています。 (2017年4月) |
小説
エッセイ等
日記エッセイシリーズ
絵本・児童書
翻訳
アンソロジー
「」内が小川糸の作品
雑誌
- 青春と読書 (集英社)
- 2012年10月号(2012年9月) 巻頭インタビュー 生まれてきてよかった、そう思える作品を書きたい
- 2014年10月号(2014年9月) 特集インタビュー 『にじいろガーデン』 手間をかけて、愛情をかけて、作り上げていくのが家族
- AEAJ Vol,74(2014年12月 日本アロマ環境協会) "香り"のスペシャルインタビュー 小川糸さん
- 文蔵 2014年12月号(2014年11月 PHP研究所) インタビュー あるがままの家族に、ゲストを招き入れるような場所を舞台に
- 波 2015年2月号(2015年1月 新潮社) 『サーカスの夜に』刊行記念インタビュー サーカスに魅せられて
- 週刊朝日 2016年1月29日号(2016年1月 朝日新聞出版) 平成夫婦善哉 [水谷公生・小川糸]夫妻《対談》
- 小説幻冬 2016年11月号(2016年10月 幻冬舎) 幻冬舎のとっておき『ツバキ文具店』
- 書店員による書評、小川糸×萱谷恵子×しゅんしゅん 三氏による鼎談、等
その他
メディア・ミックス
映画
テレビドラマ
- NHK
-
ラジオドラマ
脚注
- ^ 小川糸『あつあつを召し上がれ』|新潮社
- ^ “作家の読書道 第88回:小川糸さん その1「読むより書くのが好き」”. WEB本の雑誌. 本の雑誌社/博報堂 (2009年2月25日). 2017年4月1日閲覧。
- ^ a b c “私の母校 青春スクロール 山形県立山形東高校5(山形市)迷いながらも希望を持って” (PDF). ジュニア朝日 (朝日学生新聞社). (2016年10月30日). http://asagaku.com/chugaku/scroll/img/2016/10/1030.pdf 2017年4月2日閲覧。
- ^ “「東京人〜清泉教育のあゆみ〜」増刊号刊行のお知らせ(3/15)”. 清泉女子大学. 2017年4月1日閲覧。
- ^ “作家の読書道 第88回:小川糸さん その3「大学の専攻は古代文学」”. WEB本の雑誌. 本の雑誌社/博報堂 (2009年2月25日). 2017年4月1日閲覧。
- ^ “義母とは7歳違い “26歳差婚”に周囲から犯罪者扱いの有名人とは”. dot. (朝日新聞出版). (2016年1月25日). https://dot.asahi.com/articles/-/109047?page=1 2017年4月1日閲覧。
- ^ “作家の読書道 第88回:小川糸さん その4「編プロでなんとリストラに!」”. WEB本の雑誌. 本の雑誌社/博報堂 (2009年2月25日). 2017年4月1日閲覧。
- ^ a b “作家の読書道 第88回:小川糸さん その5「作家を目指してコツコツと書く」”. WEB本の雑誌. 本の雑誌社/博報堂 (2009年2月25日). 2017年4月1日閲覧。
- ^ a b “義母とは7歳違い “26歳差婚”に周囲から犯罪者扱いの有名人とは”. dot. (朝日新聞出版): p. 2. (2016年1月25日). https://dot.asahi.com/articles/-/109047?page=2 2017年4月1日閲覧。
- ^ “小川 糸”. アーティスト一覧. アミューズ オフィシャル ウェブサイト. 2012年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年4月1日閲覧。
- ^ “作家の読書道 第88回:小川糸さん その6「話題作『食堂かたつむり』、そして新作『喋々喃々』」”. WEB本の雑誌. 本の雑誌社/博報堂 (2009年2月25日). 2017年4月1日閲覧。
- ^ 小川糸(インタビュアー:加藤泉)「第85回 〜今、注目の作家 小川糸登場!〜」『本の泉(有隣堂)』、2009年11月5日。http://www.yurindo.co.jp/static/izumi/back/20091105.html。2017年4月1日閲覧。
- ^ “映画『食堂かたつむり』”. TBSテレビ. 2017年4月1日閲覧。
- ^ “柴咲コウ、日本版『アメリ』のヒロインに!”. シネマトゥデイ. (2009年6月2日). https://www.cinematoday.jp/news/N0018304 2017年4月1日閲覧。
- ^ 小川糸(インタビュアー:田口祥子、上赤理紗)「読書のいずみ-座・対談 小川糸さん」『全国大学生活協同組合連合会』、2013年6月28日。http://www.univcoop.or.jp/fresh/book/izumi/info1310_03.html。2017年4月2日閲覧。
- ^ 校章・校歌・制服 - 山形県立 東桜学館 中学校・高等学校
- ^ “【「本屋大賞2017」候補作紹介】『ツバキ文具店』――手紙の代書を請負う「代書屋」の心温まる物語”. BOOKSTAND (博報堂ケトル/博報堂). (2017年3月6日). http://bookstnd.webdoku.jp/news/2017/03/06/080000.html 2017年4月1日閲覧。
- ^ “多部未華子主演で小川糸「ツバキ文具店」がドラマ化!”. ザテレビジョン (KADOKAWA). (2017年3月8日). https://thetv.jp/news/detail/103024/ 2017年4月1日閲覧。
- ^ 土村芳:29歳で余命宣告を受けた主人公「精いっぱい心を込めて」 「ライオンのおやつ」実写化MANTANWEB(2021年04月08日
)
- ^ 待田晋哉 (2017年11月16日). “互いを理解 真の家族へ…小川糸さん”. YOMIURI ONLINE (読売新聞). https://web.archive.org/web/20171118051707/http://www.yomiuri.co.jp/life/book/news/20171107-OYT8T50010.html 2018年3月23日閲覧。
- ^ オンライン, クロワッサン (2021年7月1日). “常に身軽に、今住みたい場所へ。小川糸さんの軽やかで縛られない暮らし方。 | くらしにいいこと”. クロワッサン オンライン. 2021年8月4日閲覧。
- ^ 山本周五郎賞|新潮社
参考文献
関連項目
外部リンク