主要動主要動(しゅようどう)とは、地震における中盤の大規模な地震動のこと。地震波のS波と表面波(レイリー波・ラブ波)によって引き起こされる揺れのことである。また、主要動が到達するまでの間は、P波のみによる振動が継続し、その地震動は初期微動という。 概要地震動は地震波により引き起こされ、地震波はP波・S波・表面波から構成されている。P波・S波・レイリー波・ラブ波の速度はそれぞれ異なっており、P波は5〜7km/秒、S波は3〜4km/秒である。そのため、観測地点から見ると、地震波はまずP波から到達し、次いでS波・ラブ波・レイリー波の順となる。表面波のうち、レイリー波はよく観測されるが、ラブ波は表層地盤の状態に左右され、ほとんど発生しないこともある。地震動もそれぞれの地震波によって引き起こされるため、まずP波による揺れ、次いでS波・ラブ波・レイリー波それぞれによる揺れが起きる。 S波はねじれ波(たわみ波もしくは剪断波とも呼ぶ)であり、その揺れはP波によるものより大きい。また、地震の波形を観測したとき、波形のうち主要動が占める部分が大半を占める。そのため、この揺れを主要動と呼称する。S波や表面波は地震波(地震動)の周期が比較的長いため、主要動はユサユサという大きな揺れであり、人間の体感でも感じ取りやすい。また、建物などを大きく揺らす周期と一致することが多く、主要動の特に強い揺れ(加速度が大きく、振幅が大きい揺れ)によって、建物が破壊的なダメージを受けることがある。 ただ、主要動の周期(または周波数)、加速度、振幅などの成分は地震によって多種多様である。また、1つの地震の地震波の波形の中にもさまざまな周期や加速度があり、その中でも最も卓越するもの(大きな割合をしめるもの)が、その地震の性質、つまり被害の傾向を決める。規模(マグニチュード)が大きな地震であっても、例えば主要動の周期が「やや短周期」であれば家屋の被害が大きくなり、「短周期」であれば体感震度が大きい割に計測震度が小さくなる。(詳しくは地震動を参照) 主要動を構成するS波と表面波は、S波のほうが減衰しやすい。そのため、震源から遠く離れた地点ほど、S波の影響が小さくなる代わりに表面波の影響が大きくなり、ユサユサとした周期の長い揺れになる傾向がある。また、震源の深さが数kmの直下型地震のように震源が浅い地震では、S波を凌ぐ強い表面波が発生する傾向にある[1]。 脚注
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