三文オペラ『三文オペラ』(さんもんオペラ、原題:Die Dreigroschenoper)は、ベルトルト・ブレヒトの戯曲。クルト・ヴァイルが作曲を手がけた音楽劇であり、1928年8月31日にシッフバウアーダム劇場の開場に合わせて初演された。何度も映画化されている。元々はジョン・ゲイの『ベガーズ・オペラ』を、ブレヒトのパートナーだったエリザベート・ハウプトマンが英語からドイツ語に翻訳した上、ブレヒトがこれを改作したものである。タイトルどおりセリフ入りオペラとしてクラシック系の音楽家で上演されることも、ジャズバンド編成と地声の歌手でミュージカルとして上演されることもあり、CDも両方が発売されている。 劇中歌「メッキー・メッサーのモリタート」は「マック・ザ・ナイフ」というタイトルで大ヒットし、スタンダード・ナンバーとなった。 あらすじ第1幕物語はジョナサン・ピーチャムの店から始まる。彼はロンドン中の乞食達を牛耳る元締めで、乞食としての訓練を施す見返りとして物乞いで得た金の上前をはねて稼いでいる。冒頭のシーンでは新顔の乞食フィルチがピーチャムの縄張りで物乞いをしていたところ絞り上げられ、彼の口利きで物乞いをさせてもらう代わりに稼ぎの半分を彼に収める羽目になる。ふと、ピーチャムは娘のポーリーが前の晩、家に帰らなかった事に気づく。ピーチャムは娘がメッキーと付き合っている事に気づき、そして娘を自分の所有物の様に考える彼は二人の間を裂き、メッキーを葬ろうを考える。場面は変わり、メッキーが自分のアジトでポーリーとの結婚の準備をしている。ここには彼と彼の手下が盗んだ食べ物、家具、装飾品が揃っている。誓いの言葉は交わさないが、それでもポーリーは満足だ。皆が宴の席に着く。そこに警視総監のタイガー・ブラウンが現れ、手下達はビビるがこれも宴の一部。ブラウンはかつてイングランドの植民地戦争でメッキーに支え、数年に渡りメッキーが逮捕を逃れる手助けをしていた。家に帰ったポーリーは反抗的な態度でメッキーとの結婚を宣言する。彼女は両親の咎めに感情的になり、うかつにもメッキーとブラウンの関係を漏らしてしまう。 第2幕ポーリーはメッキーに父親が彼を逮捕させようと企んでいると警告する。彼はピーチャムの影響力を知りロンドンを離れる計画を立て、不在中ポーリーが仕事を仕切れる様に彼のビジネスの一部始終を教える。街を離れる前に彼は行きつけの売春宿に寄り、そこでかつての恋人ジェニーと再会する。彼らは一緒にかつての日々に想いをはせるが、ジェニーはメッキーのことを垂れ込むようにピーチャムに買収されていた。そしてメッキーは逮捕される事になる。ポーリーはメッキーのかつての恋人ルーシー・ブラウン(タイガー・ブラウンの娘)と鉢合わせとなり二人は激しいなじりあいとなる。そしてその後、ルーシーはメッキーの脱獄を手助けする。これを知ったピーチャムはブラウンに迫り、メッキーを逮捕しなければ、女王の戴冠式のパレードの最中にロンドン中の乞食を集めてデモ行進をすると脅迫する。 第3幕ジェニーがピーチャムの元を訪ね、メッキーを垂れ込んだ報酬を要求するが、ピーチャム夫人は払おうとしない。ジェニーはメッキーがスーキー・ダウドリーの家にいる事を漏らす。ブラウンがスーキーの家に着く頃にはデモ行進の準備がすっかり整い、恐れをなしたブラウンにはメッキーを逮捕、処刑するしか選択肢はなかった。監獄に戻ったメッキーは絞首台の準備が進む中、出獄するための賄賂の金をかき集めようとする。ポーリーにも手下達にも、それだけの金を工面することは難しく、またそのつもりもない事を知り、メッキーは死を覚悟する。彼は自分の運命を嘆き、マルクス主義者の如く自問する。「泥棒と株を買うことは何が違うのか?」「銀行を襲うのと銀行を作ることの違いは何なのか?」「人殺しと人を雇う事の違いは?」メッキーは皆に赦しを乞う。と、ここで突然ピーチャムが「このオペラでは正義よりも慈悲が重んじられるのだ」と宣言。ブラウンがメッセンジャーとして馬にまたがって現れ、メッキーが女王より恩赦を与えられ、称号と城を与えられたと告げる。そして最後は全員で懇願するのである。「人生はこんなにも厳しい、悪事には寛容であれ!」 登場人物
日本語訳
映画化作品
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