ユージン・ファーマ(Eugene F. Fama、1939年2月14日 - )は、マサチューセッツ州ボストン生まれのアメリカの経済学者。
シカゴ大学ブース・ビジネススクールの教授(Robert R. McCormick Distinguished Service Professor of Finance)であり、専門は金融経済学、とくにポートフォリオ理論と資産価格である。効率的市場仮説を明確に示したことで有名である。2013年にノーベル経済学賞を受賞。
略歴
- 1939年 マサチューセッツ州ボストンで生まれる。
- 1960年 マサチューセッツ州メドフォードのタフツ大学を卒業(B.A.:Magna Cum Laude with honors in Romance Languages)。
- 1960年~1963年 シカゴ大学グラジュエイト・スクール・オブ・ビジネスに通う。
- 1963年 経営学修士(MBA)を取る。
- 1963年~1965年 シカゴ大学グラジュエイト・スクール・オブ・ビジネスの助教授となる。
- 1964年 Ph.D.を取得する(学位論文“The Behavior of Stock Market Prices”)
- 1965年 学位論文をジャーナル・オブ・ビジネスに載せる。
- 1966年~1968年 シカゴ大学グラジュエイト・スクール・オブ・ビジネスの准教授となる。
- 1968年~1973年 シカゴ大学グラジュエイト・スクール・オブ・ビジネスの教授となる。
- 1973年~1984年 シカゴ大学グラジュエイト・スクール・オブ・ビジネスのTheodore O. Yntema Professor of Financeとなる。
- 1982年~ Dimensional Fund Advisorsの理事、投資戦略委員会の調査管理者およびメンバーとなる。
- 1984年~1993年 シカゴ大学グラジュエイト・スクール・オブ・ビジネスのTheodore O. Yntema Distinguished Service Professor of Financeとなる。
- 1989年 計量経済学会のフェローとなる。
- 1989年 アメリカ芸術科学アカデミーのフェローとなる。
- 1993年~ シカゴ大学グラジュエイト・スクール・オブ・ビジネスのRobert R. McCormick Distinguished Service Professor of Financeとなる。
- 2001年 アメリカ・ファイナンス学会のFirst elected fellowとなる。
受賞
- 1982年 ベルギー国科学賞(Chaire Francqui)を受ける。
- 1992年 ジャーナル・オブ・ファイナンスにおける1992年の論文に対してスミス=ブリーデン賞を受ける(ケネス・R・フレンチと共著“The Cross-Section of Expected Stock Returns”)。
- 1998年 ジャーナル・オブ・ファイナンス・エコノミックスからFama-DFA賞を受ける(“Market Efficiency Long-Term Returns and Behavioral Finance”)。
- 2003年〜2005年 トムソン・ロイター引用栄誉賞
- 2005年 ドイツ銀行金融経済賞を受ける。
- 2006年 CFA協会から、ポートフォリオ理論と資産価格の研究によってニコラス・モロドフスキー賞を受ける。
- 2007年 モルガン・スタンレー・アメリカン・ファイナンス・アソシエイション賞を受ける。
- 2009年 ファイナンスでオナシス賞を受ける。
- 2013年 ノーベル経済学賞を受ける。
業績
効率的市場仮説
- 効率的市場とは「価格が利用可能な情報を常に完全に反映している市場である」と定義される。
- 2つの重大な概念がある(“Efficient Capital Markets: A Review of Theory and Empirical Work”, Journal of Finance, 1970)。
- 効率性の段階
- ウィーク型・・・以前の価格は市場予想の助けにならない。
- セミストロング型・・・公に公開された情報は既に市場に反映されている。
- ストロング型・・・会社内のみで握っている未公開情報を含む全ての情報は、既に株価に反映されている。
- The Joint Hypothesis Problem
ファーマ=フレンチの3ファクターモデル
- 1993年、ユージン・ファーマとケネス・フレンチは、特定の企業の期待収益が資本資産価格モデル(CAPM)での予測値よりも高いことを知って、それらの要素をベータに加えた3ファクターモデルを提案した。
ファーマ=マクベス2段階回帰
- "Risk, Return, and Equilibrium: Empirical Tests" (with James D. Macbeth)に示された理論。
カバーなし金利平価のパズル
1984年の論文では、先物為替レートの期待変化と実際の為替レートの変化が理論的には正の相関をもつはずであるのに、負の相関をもつという実証的事実を発見する[1]。これは「カバーなし金利平価のパズル」または「フォーワード・プレミアム・パズル」などと呼ばれる。
調査取締役としての仕事
- Dimensional Fund Advisors, Inc.の取締役として活躍している。
家族・趣味
- 結婚して4人の子どもがいる。孫は現在10人いる。
- 趣味はウインドサーフィン、ゴルフ、テニス、バイク、昔の映画、オペラである。
主な著作
- The Theory of Finance (with Merton H. Miller), Holt, Rinehart and Winston, 1972
- Foundation of Finance, Basic Books, New York, 1976
- "Risk, Return, and Equilibrium: Empirical Test"(with James D. Macbeth), Journal of Political Economy, 1973
- "Disappearing Dividends: Changing Firm Characteristics or Lower Propensity to Pay", Journal of Financial Economics, 2001
- "The Equity Premium", Journal of Finance, 2002
- "New List: Fundamentals and Survival Rates", Journal of Financial Economics, 2004
- "Profitability, Investment, and Average Return", Journal of Financial Economics, 2006
- "Disagreement, Tests, and Asset Pricing", Journal of Financial Economics, 2007
出典
関連項目
外部リンク