株式会社ポートサービスとは、横浜港にて船舶を運航する海運会社である。山下公園を拠点に横浜港内で水上バスの「シーバス」やレストラン船の「マリーンルージュ」を運航している。
沿革
1953年(昭和28年)7月、藤木企業の交通船[2]・繋離船事業を分社化して設立された[3]。当初の社名は株式会社ジャパンポートサービスであったが、1957年(昭和32年)に株式会社ポートサービスに商号変更した[4]。
運航路線
定期航路
臨時航路
桜のシーズンになると、大さん橋発着で大岡川の桜並木を見物する「横浜大岡川桜満開クルーズ」が運航される。昼の便のほか、夜桜を楽しむ夜の便もある。なお、大岡川は川幅が狭いため、2021年に就航した新造船、シーバスACEで運航される。
1989年(平成元年)の横浜博覧会会期中は、会場内の「海のゲート」付近に設置されていた浮桟橋(現在の臨港パーク潮入りの池そばの海上)にも、観光船 あかいくつ号・シーバス・マリーンシャトルが寄港していた[10][11]。
港湾作業船
横浜港および川崎港で、交通船(沖合に停泊している船舶に船員を輸送する作業船)[12]や繋離船(船舶を岸壁に接岸させたり離岸させたりする作業船)の業務を行う[13]。
所属船舶
- マリーンルージュ[14]
- 1992年(平成4年)1月竣工、就航。金川造船建造。
- 661総トン、全長56.00m、型幅9.80m、型深さ3.80m、ディーゼル2基、機関出力1,300ps、航海速力12.0ノット、旅客定員400名。
- 主にランチクルーズやディナークルーズを目的として造られた高級感重視のレストラン船。船内は3階建てで、目的、規模に応じたクレスト、カレント、イザベラ、セレッソの大小4つのダイニングと、ルミエールやスカイデッキなどの眺望のためのスペースがある。ランチクルーズ、ディナークルーズ共に本格的なフランス料理のフルコースが楽しめるが、遊覧のみの乗船も可能。この他、貸切運航(150名以上)も行っている。サザンオールスターズの「LOVE AFFAIR~秘密のデート」の曲の歌詞にもなったレストラン船。
- シーバス5[15]
- 1989年2月竣工、墨田川造船建造。
- 46総トン、登録長22.51m、型幅5.00m、型深さ1.93m、ディーゼル1基、機関出力350ps。
- SEABASS ZERO
- SEABASS ACE
- 「シーバス」シリーズは3隻が在籍。みなとみらい大橋や高島貨物線の橋梁もくぐれるよう、河川を航行する水上バスのような低い船高を持つ。横浜駅東口~ハンマーヘッド~ピア赤レンガ(~山下公園は2022年現在改修工事のため運休中)の定期航路のほか、工場夜景クルーズやイルミネーションクルーズ、シーバス羽田クルーズなど様々な企画クルーズも運航している。
過去の船舶
- イーグル[16]
- 竣工・建造不詳、木造船。
- 22.72総トン、登録長17.00m、幅3.39m、深さ1.55m、ディーゼル1基、機関出力225ps、最大速力10ノット、旅客定員45名。
- ストーク[16]
- 竣工不詳、南国特殊造船建造、木造船。
- 24.71総トン、登録長12.92m、幅4.12m、深さ1.99m、ディーゼル1基、機関出力225ps、最大速力10ノット、旅客定員46名。
- 第五富士[16]
- 1951年(昭和26年)12月竣工、南国特殊造船建造、木造船。
- 20.37総トン、登録長13.64m、幅3.68m、深さ1.43m、ディーゼル1基、機関出力80ps、最大速力8ノット、旅客定員68名。
- よこはま[16]
- 1959年(昭和34年)7月竣工、就航。中村工業建造。
- 54.02総トン、登録長18.88m、幅5.06m、深さ1.80m、ディーゼル1基、機関出力90ps、最大速力9ノット、旅客定員257名。
- かながわ[16]
- 1961年(昭和36年)3月竣工。三津浜造船建造。
- 99.00総トン、登録長24.05m、幅5.00m、深さ2.50m、ディーゼル1基、機関出力180ps、最大速力10ノット、旅客定員329名。
- やました[16]
- 1961年11月竣工、鈴木造船鉄工所建造。
- 28.79総トン、登録長14.31m、幅3.90m、深さ1.70m、ディーゼル1基、機関出力60ps、最大速力8ノット、旅客定員70名。
- いせざき[16]
- 1961年12月竣工、鈴木造船鉄工所建造。
- 28.90総トン、登録長14.31m、幅3.90m、深さ1.70m、ディーゼル1基、機関出力60ps、最大速力8ノット、旅客定員70名。
- とびうお[16]
- 1962年(昭和37年)6月竣工、新明和工業甲南工場建造。軽合金製水中翼船。
- 4.50総トン、登録長8.50m、幅2.40m、深さ1.00m、ガソリンエンジン1基、機関出力225ps、最大速力40ノット、旅客定員13名。
- はごろも[16]
- 1962年7月竣工、鈴木造船鉄工所建造。
- 28.20総トン、登録長14.31m、幅3.90m、深さ1.70m、ディーゼル1基、機関出力60ps、最大速力8ノット、旅客定員67名。
- みずえ[16]
- 1963年(昭和38年)10月竣工、喜多造船所建造。
- 33.45総トン、登録長16.26m、幅4.00m、深さ1.78m、ディーゼル1基、機関出力120ps、最大速力9ノット、旅客定員125名。
- しんよこはま[17]
- 1970年(昭和45年)2月竣工、就航。三陸造船鉄工建造。
- 197.65総トン、全長34.50m、型幅6.80m、型深さ2.50m、ディーゼル1基、機関出力400ps、航海速力9.00ノット、旅客定員540名。
- のちに、「かもめ」に改名[18]。
- あかいくつ号[17]
- 1979年(昭和54年)1月竣工、就航。金川造船建造。
- 298.15総トン、全長37.00m、型幅7.90m、型深さ2.90m、ディーゼル1基、機関出力1,000ps、航海速力12.70ノット、旅客定員566名。
- 引退後、関西港湾サービスに売船、「ペガサス」に改名[14]。
- マリーンシャトル[14]
- 1985年(昭和60年)6月竣工、就航、2021年(令和3年)7月運航終了[19]。金川造船建造。
- 764総トン、全長49.90m、型幅10.20m、型深さ3.80m、ディーゼル1基、機関出力1,600ps、航海速力12.0ノット、旅客定員634名。
- 主に横浜港周辺の見学を目的として作られた遊覧船。修学旅行や遠足等での利用も多い。船内は3階建てで、劇場のような形式のビューシートやオープンデッキなど眺望重視の船室が多く、船内のモニターでは横浜港の案内ビデオが放映されていた。また、カジュアルレストラン「プラネット」があり、別料金で食事も楽しめた。定期航路としては山下公園、ピア赤レンガ、みなとみらい(ぷかりさん橋)に寄港し、横浜港周辺を周回遊覧していた。2階前方ビューシートは前方に向かって斜めになっているので、横浜港の臨場感が後方の席でも味わえた。
- シーバス[15]
- 1985年11月竣工、墨田川造船建造。
- 43総トン、登録長20.20m、型幅4.74m、型深さ1.42m。
- 最初に運行開始したシーバス。白地に青と緑のラインが描かれている。
- 2022年11月6日をもって運航終了。[20]
- シーバス2[15]
- 1986年7月竣工、墨田川造船建造。2021年に運航終了。
- 42総トン、登録長21.01m、型幅5.00m、型深さ1.93m。
- 2隻目のシーバス。シーバスよりも船体を延長している。白地に赤とオレンジのラインが描かれている。
- 2018年4月から2021年3月24日までは京急電鉄のラッピングが施されていた。[21]
- シーバス3[15]
- 1987年10月竣工、墨田川造船建造。
- 42総トン、登録長21.01m、型幅5.00m、型深さ1.93m、ディーゼル1基、機関出力350ps。
- 3隻目のシーバス。白地にグレート黒のラインが描かれている。
- 2019年9月9日の台風で、山下公園に係留中、高潮によって浸水・沈没し、廃船となった。[22]
発着場
- かつての発着場
脚注
注釈
- ^ 英語表記は“SEA BUS”(海上バス)ではなく“SEA BASS”(魚のスズキ)となっており、横浜駅東口の帷子川河口(淡水)と海(海水)を行き来できることを表現している[5]。
出典
参考文献
- 藤木企業株式会社『藤木企業株式会社創立50周年記念誌』1997年。
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
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外部リンク