ヘキサン
識別情報
CAS登録番号
110-54-3
PubChem
8058
ChemSpider
7767
UNII
2DDG612ED8
EC番号
203-777-6
国連/北米番号
1208
DrugBank
DB02764
KEGG
C11271
MeSH
n-hexane
ChEBI
ChEMBL
CHEMBL15939
RTECS 番号
MN9275000
バイルシュタイン
1730733
Gmelin参照
1985
InChI=1S/C6H14/c1-3-5-6-4-2/h3-6H2,1-2H3
Key: VLKZOEOYAKHREP-UHFFFAOYSA-N
特性
化学式
C6 H14
モル質量
86.18 g mol−1
外観
無色の液体
匂い
石油臭
密度
0.6606 g mL−1 [ 3]
融点
−96 - −94 °C
沸点
68.5 - 69.1 °C
水 への溶解度
9.5 mg L−1
log POW
3.764
蒸気圧
17.60 kPa (at 20.0 °C)
kH
7.6 nmol Pa−1 kg−1
λmax
200 nm
磁化率
−74.6·10−6 cm3 /mol
屈折率 (n D )
1.375
粘度
0.3 mPa·s
双極子モーメント
0.08 D
熱化学
標準生成熱 Δf H o
−199.4~−198.0 kJ mol−1
標準燃焼熱 Δc H o
−4180~−4140 kJ mol−1
標準モルエントロピー S o
296.06 J K−1 mol−1
標準定圧モル比熱 , C p o
265.2 J K−1 mol−1
危険性
GHSピクトグラム
GHSシグナルワード
DANGER
Hフレーズ
H225 , H302 , H305 , H315 , H336 , H361fd , H373 , H411
Pフレーズ
P201 , P202 , P210 , P233 , P240 , P241 , P242 , P243 , P260 , P264 , P271 , P273 , P280 , P281
主な危険性
生殖毒性 - 吸引後、肺水腫、肺炎[ 5]
NFPA 704
引火点
−26.0 °C (−14.8 °F; 247.2 K)
発火点
234.0 °C (453.2 °F; 507.1 K)
爆発限界
1.2–7.7%
許容曝露限界
TWA 500 ppm (1800 mg/m3 )[ 6]
半数致死量 LD50
25 g kg−1 (ラット, 経口) 28710 mg/kg (ラット, 経口)[ 4]
関連する物質
関連するアルカン
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
ヘキサン (英 : hexane )は、有機溶媒 の一種で、直鎖状アルカン である。常温では無色透明で、灯油 のような臭いがする液体 。水溶性は非常に低い(20℃で13 mg/L)。ガソリン に多く含まれ、ベンジン の主成分である。
構造異性体 の枝分かれアルカンとして、2-メチルペンタン 、3-メチルペンタン 、2,2-ジメチルブタン 、および 2,3-ジメチルブタン の4つが知られ、イソヘキサン と総称される(2-メチルペンタンのみを指す場合もある)。それらの異性体と区別するため、ヘキサンは特にノルマルヘキサン (n -hexane) と呼ばれることもある。また、これらの異性体を含めた炭素6個のアルカン群の呼称として、ヘキサン (hexanes:複数形) という言葉を使うこともある。
600〜700℃で熱分解 を起こし、水素 、メタン 、エチレン などを生ずる。
用途
極性 の低い溶媒 として、油脂 の洗浄・抽出 をはじめ様々な用途に用いられる。大豆 の脱脂 加工法の一つである溶媒抽出法 は、大豆を破砕した後にヘキサンを溶剤として使い油脂(大豆油 )を抽出するものである。ヘキサンには毒性があるものの、沸点が69度前後と低いため加熱すれば容易に除去できる。大豆油製造を行なった際の副生産物(油粕)である脱脂加工大豆は醤油 の醸造 や飼料 などに利用される。こうした点で、ヘキサンは食品添加物 として扱うことができるが、加工過程で完全除去される加工助剤であり表示されることはない[ 7] 。
一般用途では、ホームセンター などで「ブレーキクリーナー」「パーツクリーナー」という名称でイソヘキサンを主成分とするスプレーが販売されている。これらの商品はイソヘキサンの溶剤としての効力を高圧ガスの噴射力でさらに高めており、油脂や金属粉による汚れを効果的に除去できる。自動車整備用途だけではなく、機器や部材のグリスや油脂汚れの除去にも応用されるが、プラスチック やゴム を侵す作用がある。
安全性
ヘキサンは、引火点 が−22℃の引火性液体 である。空気中の爆発限界 濃度は1.1~7.5vol%であるので、使用する際は十分な換気が必要である。日本では、消防法 により危険物第四類(第一石油類 危険等級II 非水溶性)に指定されている。
慢性毒性として、アルカンの中でヘキサン(ノルマルヘキサン)は特異的に毒性を有する。代謝系でヘキサンが酸化され2,5-ヘキサンジオン が生成し、これが末梢神経 を侵すために歩行困難などの多発性神経症 が発症する。急性毒性としては500ppm以上の濃度のヘキサンに曝露することで頭痛や軽度の麻酔作用が現れることがある。
出典
関連項目