パノララ
あらすじ田中真紀子は友達のイチローの実家の木村家に、ひとり暮らしのために間借りする。そこの三兄弟の末娘の絵波が、映画を撮りたいが為に、吉永隼人の映画作り集団のところに、初めは自分の実の父親であることを疑って、真紀子と共に行く。木村夫妻の妻は、女優の志乃田みすずで、若いときに吉永隼人と共演していて、そのころに今の夫の将春のところから家出して、絵波を産んで木村家に帰ってきた経緯があるのだ。 しかし、その映画作り集団は、吉永隼人を教祖としたカルト集団的になっていて、有名人の志乃田みすずの娘の絵波をよく思わない者もいた。それなのに、絵波の作った映画が吉永隼人に評価されて映画祭に出品されることになったため、カルト集団の中の大学生ヤマモトが、絵波を付け狙ってきて、駅のホームで殺傷してしまう。その一日を、真紀子は、多元宇宙の渦に巻き込まれたかの如く、ほんの少しだけズレた昨日の今日として、何日も何日も繰り返して味わう。次の日起きても昨日の朝からスタートする。しかも、身体は自由に動かず、そうやってはいけないと思っても思いだけで、身体は昨日と同じように動いてしまうのだ。 その地獄のようなパラレルワールドの渦から、イチローの姉の文さんが救い出す。救い出されたあとの世界は、結局、飼い亀が二匹になっていたり、O線が地下鉄になっていなかったり、少し異なる世界になっている。そのためとパラレルワールドの渦体験の精神的影響のためか、真紀子は、兵庫の実家の両親の束縛から逃れて、自分の道を歩くことを宣言出来るようになる。 登場人物
題名について不可解な題名は、「パノラマ」写真の言い間違えから来ている。「パノララ」は造語で、作中、主人公田中真紀子の上司の林さんの先輩で、俳優かつ映画監督の吉永隼人の息子の青空くんが、「パノラマ」を舌足らずで言ったことばだが、実は真紀子の持っていたパノラマ写真は、普通の写真機の性能上、現実そのものを写し出せなかった。つまり、時間がずれてカメラをパンして取られる合成写真のため、風景が止まっているならともかく、現実の風景は刻々と変わり行くため、現実ではない「パノラマ」じみた写真がとれるのである。なお、このような偽パノラマ写真像という意味が、この「パノララ」という題名の意味に込められているかどうかは、定かではない。[独自研究?] 脚注出典
参考文献関連項目外部リンク
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