バニラ(英語:Vanilla)とは、コンピュータソフトウェア、まれにコンピュータのハードウェアまたはアルゴリズムなどで、改変・改修・カスタマイズなどが一切行われていない、提供された状態のまま(原型を留めたままの状態)を指す[1]。
バニラという表現は、業界でもデ・ファクト・スタンダードとして標準的に企業や個人で広く利用されている。語源は、アイスクリームの標準的な風味であるバニラ味からきている[2]。エリック・レイモンドのジャーゴンファイルによると、バニラは "default" (デフォルト)よりは "ordinary" (普通の・平凡な)の意に近いとしている[3]。
バニラの使用例
- 最も古い利用例の1つに、IBMのメインフレームのテキスト出版システムである "BookMaster" において、出版する書籍を指定する際のデフォルト設定を「バニラ」、好みに沿った出力設定を「モカ」と呼んでいた[4]。
- バニラという表現はまれにハードウェア部品でも使われる。例えば、1990年代のアップグレードされていないAmiga(ホームコンピュータ)を(プレーンの)バニラと呼んでおり[5]、後に周辺のPC部品にも同様に使われるようになった[6]。
- UNIXに基づくカーネルでの「バニラ・カーネル」とは、第三者による修正・変更のないカーネルを指す。例えば、Linuxカーネルのバニラはしばしば大きく改造され、Linuxディストリビューションごとに「風味」が違うものが存在する[7][8]。
- PCゲームにおけるバニラは、ユーザーによるゲームバランスを改変するMODが適用されていないものを指す。グラフィックMODなどゲームバランスに影響しないMODのみを入れた場合は、MODを適用していてもバニラと同様に扱われることも多い。
- Charles Winborneは、彼の書籍 "End of Ignorance" において「添付ファイルへのリンクのみの、ただのテキスト・ファイル」を「プレーン・バニラ・ウェブページ」と呼んでいる[9]。
関連項目
脚注