ナタルマ
ナタルマ(Natalma、1957年 - 1985年)は、アメリカ合衆国で生産、カナダで調教されたサラブレッドの競走馬、および繁殖牝馬。歴史的種牡馬ノーザンダンサーの母として知られ[1]、2007年にはカナダ競馬の殿堂入りしている。 概要父は20世紀を代表するアメリカの名種牡馬ネイティヴダンサー、母はマームード産駒のステークス勝ち馬アルマームードである[2]。アルマームードの第3子としてヴァージニア州で生まれたこの牝馬はサラトガのイヤリングセールで売りに出され、カナダのビール醸造業者であったエドワード・プランケット・テイラーに35000ドルで購入された。 同馬はナタルマと名付けられ、1959年に競走馬としてデビューした。同年のスピナウェイステークスではゴールに1位で入線したものの、3着に降着されている。翌年、ケンタッキーオークスへの出走を目指して調教していた最中に膝を骨折、大競走への出走を断念して引退、7戦3勝と平凡な成績で競走生活を終えた。その後、テイラーが所有するオンタリオのウインドフィールドファームで繁殖入りした。 繁殖入り初年度の種付け相手は、同年に種牡馬入りしたテイラー所有のネアルコ産駒、ニアークティックであった。ナタルマはこの年ニアークティックの仔を身籠り、翌年1961年の5月27日に鹿毛の牡馬を出産した。この仔馬が後にノーザンダンサーと名付けられ、ケンタッキーダービーに勝ち、さらに種牡馬として20世紀最大級の成功を収めるに至った。これにより、ナタルマの血脈はノーザンダンサーを介して多数の名馬に受け継がれていった。ノーザンダンサーの活躍により、日本にもナタルマの産駒であるノーザンダンサーの全弟、半弟が種牡馬として輸入されている。 ノーザンダンサー以外にも1981年までに15頭の競走馬を産み、そのうちの3頭がステークス競走で勝ちを挙げている。
また、競走馬として成績を出せなかったものの、後に名馬の母、または祖先となった産駒も存在する。代表的な馬にノーザンダンサーの全妹にあたるArctic Dancer(アークティックダンサー)がおり、同馬はバックパサーとの間にアメリカ・カナダで殿堂入りした牝馬ラプレヴォヤンテを儲けている。このほか、1974年生まれのSpring Adieu(スプリングアディユ・父バックパサー)は名種牡馬デインヒルの祖母に、1978年生まれのRaise the Standard(レイズザスタンダード・父ホイストザフラッグ)は、成功種牡馬エルモキシーの母、さらにフランスの名種牡馬マキャベリアンの祖母になっている。また、レイズザスタンダードからはナタルマの牝系が後世に伝えられ、4代先には仏1000ギニーを制したBluemambaや仏グランクリテリウムを制したウェイオブライト、5代先には凱旋門賞馬バゴが出ている。(その他ナタルマ以下の牝系図はアルマームード#おもな牝系図を参照。) 1985年、ナタルマはウインドフィールドファームのメリーランド支場で疝痛を発症、手当ての甲斐もなく、1月29日に安楽死処分が施された。遺骸は同牧場の墓地に埋葬された。 ナタルマはノーザンダンサーの母として、競走成績以上に多大な評価を与えられている。1965年にはウッドバイン競馬場に「ナタルマステークス」が創設され、2007年にはカナダ競馬名誉の殿堂に殿堂馬として選定された。 血統表
脚注
外部リンク
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