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トランスクルージョン

B が文書 A の中にトランスクルードされている。

トランスクルージョン: Transclusion)とは、参照によってある文書を別の文書に掲載すること、参照読み込み。動詞形はトランスクルード(英: Transclude)。

トランスクルージョンはハイパーテキストを成す機能のひとつ(さらにいえばその一形態)である。たとえば、日本に関する記事Aに、人口推移を表すデータを記事Bから引用するとする。このとき、記事Aにデータをコピー&ペーストするのではなく、記事Aに記事B上のデータを直接表示できるようにする。このような参照関係は両記事をリンクする役割も持つ。

この用語はテッド・ネルソンが造り、著書『リテラリーマシン』で「ハイパーテキスト」や「ハイパーメディア」と共に使われた[1]

技術的課題

文脈中立性

トランスクルージョンは、トランスクルードされた部分が自己充足的であるときに最もうまく機能する。つまりその文章の意味と妥当性は、前後の文脈とは独立しているほうがよい。たとえば、「前節で説明したように」といった言葉は問題がある。トランスクルードされた文章は別の文脈に埋め込まれるため、このような言葉があると混乱が生じる。

パラメータ化

状況によっては、トランスクルードされた文章は文脈中立性を厳密に保持していなくとも「パラメータ化」によってトランスクルード可能な形にできる。パラメータ化とは、トランスクルードされた文章の一部(プレースホルダー)を文脈(パラメータ)に応じて変化させることである。

Webにおける利用

HTML

HTMLによるトランスクルージョンは、いまのところ限定的である。直リンクによる画像等メディアファイルのトランスクルードは簡単だが、テキストのトランスクルードは難しい。HTML文書全体を入れ子にすることは可能だが、文書から一部テキストのみ抜粋して表示する方法は標準化されておらず、JavaScriptプログラミングを要する。

ただしこのことは、インターネットにおける帯域や計算資源への負荷、一般用途における「文脈中立性」「パラメータ化」の費用対効果を鑑みれば必ずしも不完全・不適切とはいえない。HTMLが現にハイパーテキストとして最も成功し普及していることと併せて留意すべきであろう。

なお、プログラムによりサーバ側でHTML文書に他文書の一部を挿入することもできるが、この場合はハイパーテキストの本質によらない単なる動的マージであり、こうして生成されたHTMLに挿入された情報は「参照」ではなくコピーである。

参考文献

  • Nelson, Theodor H.、ハイテクノロジー・コミュニケーションズ『リテラリーマシン : ハイパーテキスト原論』アスキー、1994年。ISBN 4756104185NCID BN11723912 

脚注

出典

関連文献

関連項目

外部リンク

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