ダブリン・ピアース駅
ダブリン・ピアース駅(ダブリン・ピアースえき、愛: Baile Átha Cliath Stáisiún na bPiarsach、英: Dublin Pearse Station)は、アイルランドの首都ダブリン2区ウェストランド・ロウにある、アイルランド国鉄の駅である。通称はピアース駅(愛: Stáisiún na bPiarsach、英: Dublin Pearse)であり、単に「ピアース」と呼ばれる場合もある。 概要2016年には900万人の乗客が利用した、ダブリンの主要駅のひとつである。かつては南方へ向かう列車のターミナル駅だったが、現在ではその役割を2つ北のコノリー駅に譲っている。もっとも当駅を経由する列車は全列車が停車するため、現在でもこの駅からウェックスフォード、ロスレアへ向かう長距離列車のインターシティや、ダブリン通勤列車(コミューター)、ダブリン高速輸送(DART)などの近郊列車が運行されている。 歴史駅舎はチャールズ・ブラッカー・ヴィニョールの設計によるものである。南側からの線路が通りの上に高架化されたため、線路はビルの2階に敷かれた。カンバーランド通りまでのホームを覆う2スパン構造だった[1]。 ピアース駅は1834年12月17日、ダブリン&キングスタウン鉄道(D&KR)の終着駅であるウェストランド・ロウ駅として開業した[2]。 1857年、軌道はアイルランドの標準に合わせて1,435mmから1,600mmに変更された[3]。 屋根の交換を含む1880年代に様々な変更を確保し、その後、4つのプラットホームに増設され、さらに5つのプラットホームになった[1]。 1891年には、終着駅から通過駅と改修工事がなされた[4][5]。 1966年にイースター蜂起50周年を記念して「ウェストランド・ロウ駅」からパトリック・ピアースにちなんで「ダブリン・ピアース駅」に改称された[6][注釈 1]。 この時点で、駅には5つのプラットホームがあった[5]。通常利用されていたのは、通過式ホームの3・4番線のみであり、頭端式ホームの1・2・5番線は、『マイケル・コリンズ』や『アンジェラの灰』、『ノラ』、『名犬ラッシー』などの映画撮影に利用されたり、2番線は臨時列車に利用されたりしていた。1番線は近代列車では利用できず、駐車場に改修された。2008年までには、すべての頭端式ホームが撤去、または埋められ、3・4番線が1・2番線と振り替えられた。 2007年に大規模な改修工事が開始された。第1段階として、1・2番線に自動券売機が設置され、駅の正面口が変更された。コンビニエンスストアのスパーは駅から完全に取り外され、ターンスタイルが取り除かれた。上述したように3・4・5番ホームが撤去され、看板と監視カメラが両ホームに追加され、2番線では、より広い待合室が追加された。南口(ピアース通り・トリニティ生物科学方面)が2013年4月9日に開業した[7]。 「アイルランド国鉄市内再信号化計画」が完了したことにより、ダブリン通勤列車北部線(ドロヘダ方面)と西部線(メイヌース方面)の停車数が増加した[8]。南西部線(ニューブリッジ方面)からの列車は、ピアース駅にも乗り入れている。ダブリン市内の鉄道信号を改善し、1時間に8本から20本の列車を両方面に運行することが可能となった。2015年3月に着工され、2016年7月17日に試運転が行われた[9]。 築130年の屋根の老朽化により、1,000万ユーロの屋根葺き替え計画が2018年8月に開始され、2020年6月に完了した[10]。 駅構造すべてのプラットホームは屋内にあり、単式ホームを2つ向かい合わせた相対式ホーム2面2線を持つ高架駅である。 すべての営業列車が停車するアイルランド国鉄の主要駅であり、一部の列車にとっては終端駅でもある。 駅から南方面には車両基地であるダブリン・ピアース検車区があり、当駅を発着する列車が多く設定されている。 改札口は2階にあり、地上との間にはエスカレーターとエレベーターが設置されている。出入り口は計2つのうち、1つはウェストランド・ロウ、1つはダブリン大学トリニティ・カレッジの生物医学研究所前となる。トイレ(車椅子対応)はコンコースにあり、無料のWi-Fiスポットも利用できる。発車標はメインコンコースに設置されているほか、各プラットホームにも設置されている[11]。 駅構内にはカフェが2店設置されている。また、2番線にはピアノも設置されており、NHK BS1の「駅ピアノ・空港ピアノ・街角ピアノ」にて放送されているダブリン・コノリー駅のピアノと同じである[12][13]。 のりば以上のように、屋内、屋外の全ホームを合わせて4面7線のホームがあり、アイルランド国鉄の駅では2番目に多いホーム数である。
利用状況早朝は、ダブリン近郊からの通勤・通学客の利用が多い。夕方になると、ダブリン近郊への通勤・通学客の利用が多くなる。当駅はダブリン大学トリニティ・カレッジ、アイルランド王立音楽院の最寄駅であり、また当駅発車のバスでアート&デザイン国立大学、シティ・カレッジなどへの通学生がいる。 年度別1日平均乗降人員各年度の1日平均乗降人員は下表の通りである。
駅周辺駅の周辺にはバスの停留場があり、市内の西側方面などが発着する。 駅の所在地がのダブリン市の中心部にあるため、政府庁舎などの行政機関があり、ダブリン大学トリニティ・カレッジの旧図書館(ケルズの書博物館)、アイルランド国立美術館、アイルランド国立博物館、ショッピングセンターなどの施設もある。 今後の計画運輸局(National Transport Authority)は、スペンサー・ドックにある新しいドックランズ駅を経由し、ダブリン・ヒューストン駅を北部のダブリン高速輸送(DART)路線に接続するDART地下トンネル(DART Underground)を計画した。この計画の一環として、現在のピアース駅の地下に2つのプラットホームを追加した地下駅がDART地下鉄路線の停車駅として進めていた。これにより、ピアース駅は地下のDART線と地上のDART線の間の重要な交換地点となる予定だった。2015年9月にDART地下トンネルの計画は、無期限に保留された[21]。 隣の駅アイルランド国鉄
脚注注釈出典
関連項目外部リンク
|