ソト語(ソトご、英: Sotho, Sesotho)は、バントゥー語群に属する言語。南アフリカ共和国・レソト両国の公用語である。北ソト語[1]との区別のため、「南ソト語」と称される場合もある。
概要
アフリカ中南部で話されているバントゥー語群の南東グループ(Nguni)に属しており、ツワナ語、北ソト語、ロズィ語に近い。
レソトでは英語と並ぶ公用語であり、1993年のレソト政府による国勢調査によると、人口の約85%に相当する約149万3000人が話していることが分かっている。
南アフリカ共和国ではアパルトヘイト政策が撤廃された1994年に公用語に加わり、11の公用語の一つとなっている。2001年の国勢調査によると、人口の約8%に相当する約400万人が母語としており、フリーステイト州の州都ブルームフォンテーン周辺では大半が話者となっており母国語である。また、国勢調査の対象とはなっていないが、多言語使用が進んでいるヨハネスブルグやソウェト、ツワネなどを中心に、少なくとも500万人以上がソト語を第二言語、または第三言語としている。
方言
この言語には他の言語には見られない、独特の方言が用いられている。レソトでは語彙の変化がはっきりと分かる。この方言は様々な表現に使用されている。19世紀には本格的な国家が誕生し、それに伴って氏族の間で用いられた。現在、方言はあまり用いられていない。
音韻
9つの母音があり、母音・子音・ふるえ音・破擦音は非常に高く、鼻音化している。
文法
- 格のシステムは持たない(主に、主語と目的語の関係は語順によって示す)
形態論
名詞クラスは以下の通りである。
The Sesotho noun prefix system
クラス
|
接頭辞
|
綴
|
例
|
備考
|
1.
|
[mʊ]
|
mo-
|
[mʊtʰʊ] motho ('人')
|
人間
|
2.
|
[bɑ]
|
ba-
|
[bɑtʰʊ] batho ('人々')
|
1a.
|
—
|
[n̩tʼɑtʼe] ntate ('父親')
|
親族関係
|
2a.
|
[bo]
|
bo-
|
[bon̩tʼɑtʼe] bontate ('父達')
|
3.
|
[mʊ]
|
mo-
|
[mʊnʷɑnɑ] monwana ('指')
|
非人間
|
4.
|
[mɪ]
|
me-
|
[mɪnʷɑnɑ] menwana ('指達')
|
5.
|
[lɪ]
|
le-
|
[lɪt͡sʼɑt͡sʼi] letsatsi ('day')
|
人間と非人間
|
6.
|
[mɑ]
|
ma-
|
[mɑt͡sʼɑt͡sʼi] matsatsi ('days')
|
7.
|
[sɪ]
|
se-
|
[siˌpʰiʀi] sephiri ('秘密')
|
人間と非人間
|
8.
|
[di]
|
di-
|
[dipʰiʀi] diphiri ('秘密(複数)')
|
9.
|
[N]-
|
(variable)
|
[n̩tʰɔ] ntho ('thing')
|
雑多
|
[tʰɑpʼɛlɔ] thapelo ('prayer')
|
10.
|
[di]
|
di[N]-
|
[din̩tʰɔ] dintho ('things')
|
[ditʰɑpʼɛlɔ] dithapelo ('prayers')
|
14.
|
[bʊ]
|
bo-
|
[bʊhɔbɛ] bohobe ('bread')
|
抽象名詞
|
[bʊbɪ] bobe ('ugliness')
|
15.
|
[hʊ]
|
ho-
|
[hʊt͡sʼɑmɑjɑ] ho tsamaya ('to go')
|
動名詞
|
16.
|
[fɑ]
|
fa-
|
[fɑt͡sʰɪ] fatshe ('down')
|
”fa-”クラスにはfatsheのみが存在する。
|
17.
|
[hʊ]
|
ho-
|
[hʊlɛ] hole ('far away')
|
|
[hʊsɑnɪ] hosane ('tomorrow')
|
|
18.
|
[mʊ]
|
mo-
|
[moʀɑhʊ] moraho ('behind')
|
|
[mʊse] mose ('overseas')
|
統語論
基本的には、主語-述語動詞-目的語という語順だが、強調の為に倒置される事がある。
脚注
- ^ ペディ語は北ソト語の方言であり、北ソト語全体を指して「ペディ語」と呼ぶのは誤り。
関連項目
外部リンク
|
---|
Working | |
---|
Transnational | |
---|
National | |
---|