この項目では、言語の表記に使われる空白について説明しています。技術的な文字のスペースについては「空白文字 」を、その他の用法については「スペース (曖昧さ回避) 」をご覧ください。
「間隙 」はこの項目へ転送 されています。土壌の間隙については「土壌#間隙 」をご覧ください。
スペース (英 : space )は、ラテン文字 、ギリシア文字 、キリル文字 などにおいて、語と語の区切りを表すために空ける空白、またその他の字間の空白のことである。
ヘブライ語 やアラビア語 においては、早い時期から単語の区切りを表すのに空白が置かれていた。ラテン文字で最初に使われたのはアイルランド語 で、時期は600年 から800年 ごろと考えられている。それまでラテン文字では中黒 が使われていた。
ラテン文字におけるスペース
ラテン文字においては、語と語の間にスペースが置かれる。手書き文字では、間を空けるほか、筆記体 では続けて書かない。印刷・組版 などの場合、印字エリアの右端をそろえる「ジャスティフィケーション 」のためには、スペースを伸縮して調整する。
また様々な形式で文と文の間にスペースを置く。「フレンチ・スペーシング」では文と文の間に1文字分のスペースを置く。「ダブル・スペーシング」または「イングリッシュ・スペーシング」では2文字分のスペースを置く。また初期のタイプライター では「拡張スペース(1-1/3文字分のスペース)」を置くことがあった。近年ではスペースを置かないケースも増えている。
ドイツ語 では、語を強調するため、または強調して発音すべき語を表すために、ひとつの単語の中で字と字の間を空けるということが行われる。たとえば、das Kind において das を強調するには、d a s Kind のようにする。この場合には単語間のスペースでないので、ジャスティフィケーションのための伸縮の対象とならない。
文字ごとに幅の異なる書体(プロポーショナルフォント )の場合、逆に文字間隔を詰めることで、単語を形成する文字の連なりを自然に見せる技法「カーニング 」もある。
日本語におけるスペース
日本語 では字空き ともいい、文法 上、特別の意味が置かれない(カナで「アキ」とも)。しかし、段落のはじめに多くの場合字落とし(字下げ )が行われ、コンピュータによる電子組版 (DTP ) ではここに和字間隔 (全角スペース)を置くことが多い。JIS X 4051 「日本語組版処理の要件」では、「!」や「?」といった区切り約物 の後に文が続く場合も、間隔を空けること(全角アキ)が規定されている[ 1] 。
古文書 においては、貴人への敬意を表するために、人名や動詞 の前に空白を開けるといったこと(闕字 (けつじ))が行われる。「 上様」「登 城」などの表記がそれである。明治時代になって正式に廃止された。
日本語では基本的に文中でスペースを用いることはないが、スペースを含む固有名詞 はいくつか存在する。トヨタモビリティ富山 Gスクエア五福前停留場 や第一イン新湊 クロスベイ前駅 がその一例であり、これはスペースを入れることで単語の区切れを明確化したものである。
数字、計量単位
国際単位系 (SI)の記法を定めた国際単位系国際文書 は、次の3つの場合にスペースを挿入すると規定している。
数字
桁の多い算用数字 を書くときには、読みやすいように、整数部・小数部ともに3桁毎にスペースを挿入してよい[ 2] 。
Wikipedia:表記ガイド でも、科学技術分野においては、3桁毎にコンマ ( , )(日本、米国、イギリスなど)やピリオド ( . )(フランス、ドイツなど)を挿入せず 、半角スペースを入れることになっている(Wikipedia:表記ガイド#数字 )。この半角スペースは通常、en:thin space である。
25486 003 (二千五百四十八万六千三)
光速 :c = 299792 458 m/s
プランク定数:h = 6.626070 15 × 10−34 J s
ジョセフソン定数 :K J = 483597 .848416 983 ...× 109 Hz/V
単位記号の積
単位記号 の積を表現するときには、単位記号の間に1字分のスペースもしくは中黒 (・)を挿入すると規定している[ 3] 。この1字分のスペースは、通常は半角スペース(en:thin space )である。
粘度 :Pa s (パスカル秒) (Pa・s としてもよい。)
熱容量 :J K-1 (ジュール毎ケルビン)
角速度 :rad s-1 (ラジアン毎秒)
なお、SI接頭語 と単位記号 との間には、スペースを挟んではならない[ 4] (SI接頭語#SI接頭語の書体 )。
数値と単位記号の間
数値は、必ず1字分のスペース(通常は半角スペース(en:thin space ))を使って数字と単位記号 を離す[ 5] 。これは「℃(セルシウス度 )」、「%(パーセント )」の場合も同じである。
32.7 kg (32.7kg としない。)
36.5 ℃ (36.5℃ としない。)
なお、36.5 ° C (°とCが分離)としない。「℃」は一つの単位記号 である。
例外
このルールの唯一の例外は、平面角の度 (°)、分 (′)、秒 (″)の場合である[ 6] 。
数値と「°」(度)、「′」(分)、「″」(秒)で表される単位記号 との間にはスペースを挿入しない。
32.5° (スペースを入れた「32.5 °」としない。)
コンピュータにおけるスペース
コンピュータでは語間を表す以外にもさまざまな用途で用いられる。また、空白の大きさも様々に必要である。したがって、用途や大きさが違うことを区別する方法が必要である。現代の多くのコンピュータでは、おもに文字コード を使い分けることによって用途や大きさの違いを区別しているが、実際の空白幅はフォント にも左右される。
スペース( 欧文間隔、ラテン文字は通常半角 であることから半角スペースとも)(ASCII 20H) - ラテン文字の単語間のスペースを表すことに用いる。論理行 (改行コード で区切られた文字の連なり)が物理行 (見かけ上の1行)からはみ出す場合には、はみ出さないようにこのスペースで次の行に送る。このとき、スペースは見かけ上改行に置き換えられ、前の行の最後にも次の行の最初にもスペースは置かれない。等幅フォント 以外では半角幅であるとは限らず3分幅になっていることが多い。ASCII にあってJIS X 0213にない唯一の印字可能文字 である[ 7] 。
整形目的で挿入されるスペースをタブと呼ぶ。便宜上区別するため、タブ文字 (ASCII 09H) を用いたものはハードタブ、半角スペースを用いたものはソフトタブと呼ぶことがある。
キーボード にはスペースキー が存在し、多くの場合通常のキーよりも大きい。
日本語で使用されるスペースは日本語や中国語などのCJKの文字幅の間隔という意味を持った、和字間隔 という文字が別に定義されている。
ホワイトスペース - 半角スペースとタブと改行の総称。C言語 などいくつかのプログラミング言語 や、HTML などのマークアップ言語 で同等に扱われる。
記号
Unicode
JIS X 0213
文字参照
名称
U+0020
-
 
 
SPACE
U+00A0
1-9-2
 
 
ノーブレークスペース NO-BREAK SPACE
U+2002
-
 
 
 
EN SPACE
U+2003
-
 
 
 
EM SPACE
U+2004
-
 
 
THREE-PER-EM SPACE
U+2005
-
 
 
FOUR-PER-EM SPACE
U+2006
-
 
 
SIX-PER-EM SPACE
U+2007
-
 
 
図形間隔 FIGURE SPACE
U+2008
-
 
 
PUNCTUATION SPACE
U+2009
-
 
 
 
THIN SPACE
U+200A
-
 
 
HAIR SPACE
U+200B
-
​
​
ゼロ幅スペース ZERO WIDTH SPACE
U+3000
1-1-1
 
 
和字間隔 IDEOGRAPHIC SPACE
U+FEFF
-


ゼロ幅ノーブレークスペース ZERO WIDTH NO-BREAK SPACE
U+0009
-
	
	
タブ文字 CHARACTER TABULATION
その他
マイナスのスペースという概念が日本語の組版には存在し、マイナス2分幅などの幅がある。これは2分分後退することに用いる。たとえば、閉じ括弧「)」と開き括弧「(」が連続するときはこの括弧と括弧の間が2分幅になるのが正しいが、これを全角括弧「)」+マイナス2分幅のスペース+開き括弧「(」で表す[ 8] [ 9] 。
関連項目
脚注
^ 日本語組版処理の要件(日本語版)#3.1.6 区切り約物及びハイフン類の配置方法
^ 国際単位系(2019), p.119 「5.4.4 数字の形式および小数点」
^ 国際単位系(2019) 、p.116 「5.2 単位記号」
^ 国際単位系(2019) 、p.112 「3 SI単位の十進の倍量および分量
^ 国際単位系(2019) 、p.118 「5.4.3 量の値の形式」
^ #国際単位系(SI)第9版(2019) p.118 量の値の形式 「数値は、常に単位の前に来て、必ず1字分の空白を使って数字と単位を離す。このように量の値は、数字と単位の積で表される。数字と単位の間の1字分の空白は、(単位と単位の間の空白が掛け算を示唆するのと同様に)掛け算の記号とみなされる。この規則の唯一の例外は、平面角の度(°)、分(′)、秒(″)である。この三つについては、数値と単位記号 の間に空白は取らない。」
^ JIS X 0213のコード対応表
^ たとえばMicrosoft Word でも、等幅フォント(たとえばMS 明朝 )を用いて全角の閉じ括弧と開き括弧を「)(」のように入力すると、その間は2分幅に調整される。
^ 「W3C 日本語組版処理の要件(日本語版) 」の「3.1.2 句読点や,括弧類などの基本的な配置方法」の注1
参考文献
[1] BIPM 著、産業技術総合研究所 計量標準総合センター 訳『国際単位系(SI)第9版(2019)日本語版』産業技術総合研究所 計量標準総合センター、2020年3月。
空白類 記述記号 ハイフン類 音声記号 括弧類 準仮名・漢字 学術記号 単位記号 通貨記号
一般的な記号
この表には一部の環境で表示できない文字(一部の記号)があります(Help:特殊文字 )