スイジガイ
スイジガイ
分類
学名
Harpago chiragra (Linnaeus , 1758 )
シノニム
Bothrodon pridii Kerr, 1927
Harpago chiragra chiragra (Linnaeus, 1758)
Lambis (Harpago) chiragra (Linnaeus, 1758)
Lambis chiragra (Linnaeus, 1758)
Lambis harpago Röding, 1798
Lambis undulata Röding, 1798
Pterocera chiragra (Linnaeus, 1758)
Pterocera kochii Freyer, 1855
Strombus chiragra Linnaeus, 1758 (バシオニム )
英名
Chiragra Spider Conch
スイジガイ (水字貝、学名:Harpago chiragra )は、ソデボラ科 (スイショウガイ科)に分類される巻貝 の一種。6 本の突起がある特徴的な貝殻 で知られる。和名 はこの形が漢字 の「水 」に似ることに由来する。
分布
インド西太平洋 の熱帯 域に広く分布する。日本では紀伊半島 以南の沿岸域で見られる。
形態
成貝は突起を含めて殻長24cm・幅16cmに達する。貝殻は厚くて硬い。殻口が大きく開き、螺塔の巻きは小さい。貝殻の表面は巻きに沿って大小の螺肋があり、黄白色の地に黒褐色の縞模様が走る。殻口は光沢のあるピンク 色で、6つの大きな突起の他に水管と目 を外に突き出すための3つの小さな溝がある。
幼貝には突起が無く、同じ科のマガキガイ などに似るが、成貝になると6本の長く尖った角 状の突起ができる。
生態
浅い海のサンゴ礁 や岩礁の砂礫底に生息する。貝殻の配色は鮮やかだが、海中では貝殻の表面に多くの付着生物がつくので、転石などに紛れこみ易い。殻口から水管と目を潜望鏡のように突き出す。移動時には近縁種と同様に蓋を杖のように使って移動する。
分類
アフリカスイジガイ
殻口の黒味が強いスリランカ産の個体
スイジガイ属には本種のほか以下のものが知られる。
フィリピン西部からアフリカ東岸に分布。殻口の皺が非常に強く発達し、皺の間の溝が黒く、殻口全体に赤味が少ない。一般にスイジガイより小型。
西太平洋(東部ポリネシア まで)に分布。殻口内面の皺が強く、皺の間が黒くなる。アフリカスイジガイに似るが、皺のある部分以外の殻口内面は赤味が強い。スイジガイの雄の一型と言われたこともあるが、遺伝子解析の結果からは別種と見なされるという[ 1] 。一般にスイジガイより小型。
インド 南部~スリランカ には、大型になり、殻の内面の皺が弱く、殻口周縁部が強く黒味を帯びる個体群が知られるが区別はされていない。
利用
静岡県磐田市 ・松林山古墳 出土のスイジガイ製の貝釧(東京国立博物館 )
殻が固くて丈夫なことから、装飾品や貝細工の材料として利用される他、食用にもなる。
沖縄諸島 や先島諸島 では、先史より装飾品として利用され、現在も土産 物として販売されている。
また、火難除けや魔除け として家の玄関や家畜小屋に吊す風習があり、民家の玄関に今も時折見られる。
沖縄県 の名護市 と宮古島市 においては、シンボル(市の貝)として採用されている。
本州においても古墳 の副葬品 としてスイジガイ製の貝釧 [ 2] (かいくしろ)が出土している。
脚注
^ Irwin, A. R.; Bouchet, P.; Crame, J. A.; Harper, E. M.; Kronenberg, G. C.; Strong, E. E.; Williams, S. T. (2024-07-04 (on line)). “Molecular phylogenetics of the superfamily Stromboidea (Caenogastropoda): New insights from increased taxon sampling”. Zoologica Scripta 53 (6). doi :10.1111/zsc.12685 .
^ “貝釧(かいくしろ)とは ”. コトバンク. 2019年11月9日 閲覧。
参考文献
ウィキメディア・コモンズには、
スイジガイ に関連するカテゴリがあります。