ケシ科
ケシ科(ケシか、Papaveraceae)は、双子葉植物に属する科。ケシ、ヒナゲシ、ハナビシソウ、ケマンソウ亜科、オサバグサ、クサノオウ、タケニグサ、ケナシチャンパギクなどを含む。 特徴一年草または多年草で、一部は小型の低木。葉は羽状裂(羽のような形に、切れ込み)のある葉の裂片周囲に鋸歯(又は、掌状に中裂 - 深裂と裂辺に浅裂と、鋸歯がある)がある(クサノオウ、タケニグサ、ケナシチャンパギク、カナダケシ)単葉で、複葉になることもある。茎から直に着く(ケシ、アツミゲシ、ハカマオニゲシ、アザミケシ、ヒナゲシ、オニゲシ、ナガミヒナゲシ)ものと、葉柄を持つ種(タケニグサ、カナダケシ、ケナシチャンパギク)がある。普通は互生であり、まれに対生、輪生で、根出葉(根生葉)を出す種(オサバグサ)も存在する。花は両性で、放射相称、十字相称または左右相称になり、単生するか総状花序または集散花序につく。萼は2個、まれに3個。花弁は普通4枚、またさらに多数のもの、あるいは全く無いもの(タケニグサ、ケナシチャンパギク)もある。雄蘂は2個、4個または多数ある。子房は上位で、普通1室であるが多数の室に分かれるものもある。胚珠は多数あり、子房の内側に突出する側壁上につけるが、底部に胚珠が1つあることもある。 果実は蒴果または痩果となり、大型に育つ種類(タケニグサ、ケナシチャンパギク)でも、種子は非常に小さく、いわゆるけし粒である。タケニグサ、ケナシチャンパギクの実生苗の子葉(双葉)は長さ3㎜、幅0.7㎜位で、0.2㎜位の太さの茎が4㎜位の高さになり、根も同じ位の0.2㎜位の太さと0.4㎜位の長さになります。1枚目の本葉は此の状態の時に、葉柄は0.1㎜位の太さに長さ3㎜位で、葉身は直径3㎜位の全縁又は、星形に切れ込みが有る物を出し、ドクダミ等に比べて発芽は遅く、晩春の此の状態から初夏に一気に1mを越える迄に大きく生長する。 北半球の暖帯から亜寒帯に多く、約40属800種ある[1]。医薬品で強力なオピオイド鎮痛剤の麻薬(モルヒネ)原料のアヘンを含むケシをはじめとして、プロトピンやサンギナリンなどの麻薬、麻酔薬である成分の各種アヘンアルカロイドを含み、重要な薬効成分であるのだが、そのままの使用では有毒になる物質を含む種が多い。これらの麻薬、麻酔薬になる成分を造ることができるのは、ケシ科の植物だけであるので、手術などの現代医学では必要不可欠の生物群である。日本の原産種ではオサバグサ、タケニグサ(ケナシチャンパギク・マルバタケニグサを含む)、クサノオウ(欧米に生育して居る物と異なり、受粉受精が起こりにくい特徴を持つ亜種である)、ヤマブキソウ、リシリヒナゲシ、コマクサなどが自生し、ナガミヒナゲシ、アツミゲシなどが帰化し野生化している。また、タケニグサの説明には、よく「日本、中国大陸・台湾に植生原産」と記されるが、日本原産の(Macleaya Cordata=竹似草・毛無占城菊=中国大陸・台湾には植生して居ない)と中国大陸・台湾原産の(Macleaya Microcarpa=小果博落廻=日本には植生して居ない)は、ケシ科タケニグサ属ではあるが、違う種類の植物である。 分類の経過近縁な群としてケマンソウ亜科(コマクサ、ムラサキケマンなど)があり、これはケマンソウ(キケマン)亜科として含める(新エングラー体系)。クロンキスト体系ではこの広義ケシ科をケシ目としている。現在のAGPIIIではケシ科に含めている。 花の形態が、キンポウゲ科に類似する(子房が多数の心皮からなり雄蘂も多数ある)ものと、フウチョウソウ科やアブラナ科に類似する(雄蘂が少数で子房が2心皮からなる)ものがあるため、ケシ科はこれら2つの群を進化的に結ぶものと考えられてきた(そのため新エングラー体系ではアブラナ科などもケシ目に入れている)。しかし近年の分子系統学的研究から、アブラナ目とは直接は関係ないことが明らかになり、APG植物分類体系ではケシ科をキンポウゲ目に入れている。 属
脚注
参考文献
関連項目 |