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ギアリング級駆逐艦

ギアリング級駆逐艦
基本情報
種別 駆逐艦
命名基準 海軍功労者
運用者
建造期間 1944年 - 1951年
就役期間 アメリカ合衆国の旗 1945年 - 1987年
計画数 152隻
建造数 94隻
前級 アレン・M・サムナー級
次級 ノーフォーク級(DL)
フォレスト・シャーマン級(DD)
要目
基準排水量 2,450トン
満載排水量 3,480トン 〜
※装備による
全長 118.93m
最大幅 12.46m
ボイラー B&W製(39.7kgf/cm², 454℃)×4缶
主機 GE蒸気タービン×2基(30,000 hp (22 MW))
推進器 スクリュープロペラ×2軸
速力 最大34.5ノット
航続距離 6,490海里 / 11ノット
5,690海里 / 15ノット
4,380海里 / 20ノット
乗員 336名
兵装 #兵装・電装要目を参照
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ギアリング級駆逐艦英語: Gearing-class destroyer)は、アメリカ海軍駆逐艦の艦級。アレン・M・サムナー級の航続性能を強化した改良型であり、またフレッチャー級の最終発展型である。

第二次世界大戦終了直前の1945年3月から就役を開始しており、152隻建造予定だったが戦争終結・建造中止のため98隻で打ち止めとなった。ほとんどの艦は戦後に就役しており、改修を受けながら長く用いられ、アメリカ海軍には1970年代まで在籍していた。またその後も西側諸国に広く供与・売却されており、最後の艦は2014年にようやく退役した。

なおネームシップの艦名は、3代にわたって海軍軍人であったヘンリー・シャルファン・ギアリング(3世まで)から採られている。

設計

サムナー級は重兵装で好評であったものの、このために却って凌波性と航続性能が低下したという問題があった。これを解決するため、本級では船体を4.3メートル延長し、前部機械室と後部缶室の間に燃料庫を設置した。これによって燃料搭載量が増加(538トンから708トンへ)したことにより航続距離は延伸され、後部船体が延長されたことから耐航性も改善、また機械室と缶室の間に中間区画が設置されることになったため抗堪性も向上した[1][2]

主機関はサムナー級のものが踏襲されており、主ボイラーはバブコック・アンド・ウィルコックス(B&W)社製の重油専焼式水管ボイラーを4缶、主機はゼネラル・エレクトリック(GE)社製のオール・ギヤード蒸気タービンを2基搭載した(一部他機種あり)。同出力ではあるが、船体長が長くなったことから速力の向上も期待されたものの、こちらは却って低下する結果となった。これは重兵装化による艦の質量増大が、船体長延長による造波抵抗の低減で補えないほどであったためと考えられており、34ノットという速力は、列強の同世代駆逐艦中最低の数字であった[3]

装備

新造時の兵装は、原型となったサムナー級のものがおおむね踏襲されており、主砲としては、38口径5インチ両用砲を3基の連装砲塔に配して、艦前部に2基を背負式に、後部に1基を搭載している。ボフォース 40mm高角機銃に関しても、当初は連装砲架2基と4連装砲架2基の計12門であったものが、日本軍特別攻撃隊の脅威の深刻化に伴って、後部長魚雷発射管が4連装砲架に交換されている点も同様である。ただし本級の竣工は1945年から1946年と終戦を跨いでいることから、中期建造艦では当初から上記のような装備要領となっており、後期建造艦では長魚雷発射管をもたない艦もあった[1]

戦後の改装

護衛駆逐艦 (DDE)

エパーソン(DD-719)、バジロン(DD-824)は建造途中の1948年1月、艦種記号をDDE(護衛駆逐艦)に改めて、対潜艦として就役した。Mk.38 38口径5インチ連装砲2番砲塔を搭載しない代わりに、旋回型のヘッジホッグ対潜迫撃砲またはMk.108対潜ロケット砲1基を搭載している。他に就役後同様の改装が施され、艦種記号をDDEに改めている艦として、ロイド・トーマス(DD-764)、ニュー(DD-818)、ホルダー(DD-819)、リッチ(DD-820)、ロバート・L・ウィルソン(DD-847)、ウィテク(DD-848)、フレッド・T・ベリー(DD-858)、ノリス(DD-859)、マカフェリー(DD-860)、ハーウッド(DD-861)がある。 なお、いずれの艦も後のFRAM改装後、艦種記号をDDEからDDへ再変更している。

レーダー哨戒駆逐艦 (DDR)

ダンカン(DD-874)及びグッドリッチ(DD-831)、ハンソン(DD-832)、スタイネーカー(DD-863)、ダイス(DD-880)、ファース(DD-882)の6隻はレーダーピケット艦任務に従事することからDDR(レーダー哨戒駆逐艦)に艦種変更されている。 特にダンカンは後部兵装を撤去しAN/SPS-8英語版高角測定レーダーTACANを搭載している。 なお、後に艦種記号をDDRからDDへ再変更している。

FRAM改装

上:建造当初のギアリング級駆逐艦サースフィールド。
下:FRAM-I改装後のギアリング級駆逐艦ローワン。
船体の上部構造物の形状が大きく変わっているほか、マスト上に追加されたレーダーアンテナ類や兵装類の変化がよくわかる。

1950年代冷戦のグローバル化が進み、また各種の技術進歩によって海洋戦の様相が一変する一方、アメリカ海軍の主力艦艇は依然として第2次大戦期に建造されたものによって占められていたことから、艦隊全体の近代化・艦齢延長を狙ったFRAM改装が計画された。駆逐艦に対するFRAMの場合、300隻に及ぶと予測されたソ連の潜水艦隊への対抗策としての対潜戦能力向上が主眼とされており、その程度によって、FRAM Mk.I(FRAM-I)、Mk.II(FRAM-II)の2パターンがある[4]

FRAM-Iは、主としてギアリング級を対象としたものであり、75隻が改装を受けた[5]。改装範囲は多岐に渡り、船体・主機・兵装の換装が行われている。艦橋などの構造物は新しく作り直され、CICは拡大、蒸気タービン・ボイラー等、主機もそれぞれ新しいものに換装されている。また、艦齢も8年延長された[4]

対空捜索レーダーAN/SPS-29ないし改良型のAN/SPS-37(一部艦はAN/SPS-40)に、ソナーもより新型で低周波・大出力のAN/SQS-23に換装され、一部艦では可変深度ソナーも搭載された。兵装は、対艦用の533mm5連装魚雷発射管、対空用の40mm機銃ないしMk.33 3インチ連装砲はいずれも撤去され、3基のMk.38 5インチ連装砲も1基が撤去された。新しく対潜兵装として、Mk.44短魚雷を発射できるMk.32 3連装短魚雷発射管、同魚雷をロケットで遠距離に投射できるアスロック8連装発射機、同魚雷を無人対潜ヘリコプターでさらに遠距離に投射できるQH-50C DASHの運用設備(格納庫と発着甲板)が設置された。QH-50C DASHは、艦により遠隔制御される無人対潜ヘリコプターで、Mk.44対潜魚雷を2本搭載可能であったことから、この導入によって、攻撃可能範囲が大幅に拡大された。

FRAM-I改装艦も、その兵装配置からグループA(FRAM Mk.IAまたはFRAM-IA)とグループB(FRAM Mk.IBもしくはFRAM-IB)に大別される。FRAM-IA改装艦は、3番(後部)砲塔が撤去されており、元々3番砲塔があった後部甲板にMk.32 3連装短魚雷発射管2基を装備しているほか、2番砲塔の後方左右(艦橋のすぐ下)に2基のヘッジホッグを装備している。FRAM-IB改装艦は、2番砲塔を撤去して空いたスペースにMk.32 3連装短魚雷発射管とヘッジホッグを2基ずつ装備している[6]

またFRAM-II改装は、主としてフレッチャー級およびサムナー級を対象に計画されたものであるが、本級に対しても一部適用されている。これはおおむねFRAM-Iに準じるものの、より漸進的なものに留められており、魚雷・機関砲は撤去されたが5インチ砲は3基維持され、対潜兵装の内アスロックは搭載されなかった。艦齢延長も5年に留められている[4]

兵装・電装要目

兵装・電装の変遷例
初期建造艦 1950年代 FRAM-I
兵装 Mk.38 38口径5インチ連装砲×3基 Mk.38 38口径5インチ連装砲×2基
40mm4連装機銃×2基 Mk.33 50口径3インチ連装砲×3基 アスロック8連装発射機×1基
40mm連装機銃×2基
20mm単装機銃×11基
533mm5連装魚雷発射管×2基 Mk.32 3連装短魚雷発射管×2基
爆雷投射機(K砲)×6基 ヘッジホッグ対潜迫撃砲×2基
爆雷投下軌条×2基 (爆雷26個)
艦載機 QH-50 DASH×2機
※後にSH-2F LAMPSヘリコプター×1機
FCS Mk.37 GFCS×1基
Mk.51 GFCS×4基 Mk.63 GFCS×3基
Mk.100 UBFCS×1基 Mk.105 UBFCS×1基
レーダー SC 対空捜索用 AN/SPS-6 対空捜索用 AN/SPS-29 / 37 / 40 対空捜索用
SG 対空捜索用 AN/SPS-10 対水上捜索用
ソナー QGA 探信儀 AN/SQS-4 探信儀 AN/SQS-23 探信儀
電子戦 n/a AN/WLR-1 電波探知装置
AN/ULQ-6 電波妨害装置

派生型

対潜駆逐艦 (DDK)

「カーペンター」(DD-825)と「ロバート・A・オーウェンズ」(DD-827)は、戦争終結に伴い一旦は建造中止となったが、設計を大幅に改めて対潜駆逐艦(DDK)として就役した。このため両艦を、カーペンター級として別クラスに区別する場合もみられる。なお、艦種記号は前述の対潜兵装装備艦と同時期にDDKからDDEに変更している。

兵装は就役時、50口径3インチ連装砲Mk.33及びMk.108対潜迫撃砲各2基を船体の前後に配し、ヘッジホッグ対潜迫撃砲及び533ミリ対潜魚雷発射管4門を装備した。艦橋が他の同型艦と比べ1段高くなっている。3インチ連装砲は1950年代に70口径3インチ連装速射砲Mk.26英語版への換装を実施している。

1960年代に入ると、同級にもFRAM改装が施されており、艦番号もこの時点でDDEからDDに変更されている。1980年代初頭にそれぞれ退役、両艦共にトルコ海軍へ引き渡されている。

ミサイル駆逐艦 (DDG)

「ジャイアット」(1960年)

ギアリング級の3番艦ジャイアットは、テリア・システムを改装する改修を受けて、1956年に艦番号をDDG-1と改めて再就役し、世界初のミサイル駆逐艦となった。ただし同艦においては、艦型に対してミサイル・システムの重量が過大で運用に難儀したことから、テリア・システムは駆逐艦に搭載するには大がかりすぎるシステムであると結論された。このため、以後のテリア・システムの搭載は、より大型のミサイル嚮導駆逐艦(DLG)に限定され、ミサイル駆逐艦用としては、より小型のターター・システムが開発されて搭載された。ジャイアットのシステムも1962年には撤去され、艦番号も従来通りに復した。

配備

 アメリカ海軍 退役/再就役後
# 艦名 就役 改装 退役 再就役先 # 艦名 就役 退役 その後
DDR FRAM
DD-710 ギアリング
USS Gearing
1945年 Mk.IB 1973年 スクラップとして売却処分
DD-711
DDR-711
ユージン・A・グリーン
USS Eugene A. Greene
Mk.IB 1972年  スペイン海軍 D-61 チュルカ
SPS Churruca
1972年
8月31日
1989年
9月15日
実艦標的として海没処分
DD-712
DDG-1
ジャイアット
USS Gyatt
※ DDG改装艦 1969年 実艦標的として海没処分
DD-713
DDR-713
ケネス・D・ベイリー
USS Kenneth D. Bailey
Mk.II 1970年  イラン海軍 1975年
1月13日
部品供給艦として利用
DD-714
DDR-714
ウィリアム・R・ラッシュ
USS William R. Rush
Mk.IB 1978年  大韓民国海軍 DD-922 江原
ROKS Kang Won
1978年
6月1日
2000年
12月31日
記念艦として保存 2016年解体
DD-715 ウィリアム・M・ウッド
USS William M. Wood
Mk.IB 1976年 実艦標的として海没処分
DD-716 ウィルジー
USS Wiltsie
1946年 Mk.IB 1976年  パキスタン海軍 D-165 タリク
PNS Tariq
のちにナジム
MSS Nazim
1977年
4月29日
1990年 パキスタン海上保安庁(PMSA)へ移籍
DD-717 セオドア・E・チャンドラー
USS Theodore E. Chandler
Mk.IB 1975年 スクラップとして売却処分
DD-718 ハムナー
USS Hamner
Mk.IB 1980年  台湾海軍 DDG-927
DD-27
雲陽
ROCS Yun Yang
1980年
12月17日
2003年
12月16日
実艦標的として海没処分 高雄外海
DD-719
DDE-719
エパーソン
USS Epperson
1949年 Mk.IB 1976年  パキスタン海軍 D-166 タイムール
PNS Taimur
1977年
4月29日
1999年
DD-720 カースル
USS Castle
1954年、建造途上で艦籍抹消
DD-721 ウッドロー・R・トンプソン
USS Woodrow R. Thompson
DD-742 フランク・ノックス
USS Frank Knox
1944年 Mk.II 1971年  ギリシャ海軍 D-210 テミストクレス
ΒΠ Θεμιστοκλής
1971年
1月23日
1992年 実艦標的として海没処分
DD-743 サザーランド
USS Southerland
Mk.IB 1981年 実艦標的として海没処分
DD-763 ウィリアム・C・ロウ
USS William C. Lawe
1946年 Mk.IB 1983年
DD-764
DDE-764
ロイド・トーマス
USS Lloyd Thomas
1947年 Mk.II 1973年  台湾海軍 DD-911
DD-11
當陽
ROCS Dang Yang
1973年
10月12日
1999年
3月16日
海没処分 (宜蘭沖)
DD-765
DDE-765
ケプラー
USS Keppler
1972年  トルコ海軍 D-355 ティナズテペ
TCG Tınaztepe
1972年
7月1日
1982年 解体
DD-766 ランスデール
USS Lansdale
1958年、艤装途上で艦籍抹消
DD-767 セイモア・D・オーエンス
USS Seymour D. Owens
DD-768 ホーエル
USS Hoel
1946年、艤装途上で艦籍抹消
DD-769 アブナー・リード
USS Abner Read
DD-782 ローワン
USS Rowan
1945年 Mk.IB 1975年  台湾海軍 朝陽
ROCS Chao Yang
1977年
6月10日
1977年
8月22日
帰台途上で台風により座礁・損傷、部品供給艦へ変更
DD-783 ガーク
USS Gurke
Mk.IB 1976年  ギリシャ海軍 D-215 トンバジス
ΒΠ Τομπάζης
1977年
3月17日
1997年
1月12日
解体
DD-784 マッケーン
USS McKean
Mk.IB 1981年  トルコ海軍 1982年
11月2日
1987年 部品供給艦として利用後 海没処分
DD-785 ヘンダーソン
USS Henderson
Mk.IB 1980年  パキスタン海軍 D-167 トゥグリル
PNS Tughril
1980年
10月1日
1994年 解体
DD-786 リチャード・B・アンダーソン
USS Richard B. Anderson
Mk.IA 1975年  台湾海軍 DD-924
DD-24
開陽
ROCS Kai Yang
1977年
6月1日
1999年
11月16日
海没処分
DD-787 ジェームズ・E・キイス
USS James B. Kyes
1946年 Mk.IB 1973年 DDG-912
DD-12
建陽
ROCS Chien Yang
1973年
4月18日
2004年
12月1日
解体
DD-788 ホリスター
USS Hollister
Mk.IB 1979年 DDG-929
DD-29
邵陽
ROCS Shao Yang
1983年
3月3日
2004年
6月1日
DD-789 エヴァソール
USS Eversole
Mk.IB 1973年  トルコ海軍 D-352 ガイレット
TCG Gayret
1973年
7月11日
1995年 記念艦として保存
DD-790 シェルトン
USS Shelton
Mk.IA 1973年  台湾海軍 DD-920
DD-20
萊陽
ROCS Lao Yang
1973年
4月18日
1999年
3月15日
海没処分 澎湖外海
DD-791 シーマン
USS Seaman
建造中止
DD-805 シャヴァリア
USS Chevalier
1945年 Mk.II 1972年  大韓民国海軍 DD-915
DD-95
忠北
ROK Chungbuk
1972年
7月5日
2000年
12月
解体
DD-806
DDR-806
ヒグビー
USS Higbee
Mk.IB 1979年 実艦標的として海没処分
DD-807 ベンナー
USS Benner
Mk.II 1970年 スクラップとして売却処分
DD-808 デニス・J・バックリー
USS Dennis J. Buckley
Mk.IB 1973年
DD-815 チャールズ・H・ローン
USS Charles H. Roan
建造中止
DD-816 ティンマーマン
USS Timmerman
DD-817 コリー
USS Corry
1946年 Mk.IB 1981年  ギリシャ海軍 D-217 クレエジス
ΒΠ Κριεζής
1981年
7月8日
1994年 解体
DD-818
DDE-818
ニュー
USS New
Mk.IB 1976年  大韓民国海軍 DD-919
DD-99
大田
ROKS Taejon
1977年
2月23日
2001年
2月
DD-819
DDE-819
ホルダー
USS Holder
Mk.IB 1976年  エクアドル海軍 DD-01 プレジデンテ・エルロイ・アルファロ
BAE Presidente Eloy Alfaro
1977年
2月23日
1991年
DD-820
DDE-820
リッチ
USS Rich
Mk.IB 1977年 スクラップとして売却処分
DD-821 ジョンストン
USS Johnston
Mk.IB 1981年  台湾海軍 DDG-928
DD-28
正陽
ROCS Chen Yang
1981年
2月27日
2003年
12月16日
解体 実艦標的として海没処分 花蓮外海
DD-822 ロバート・H・マッコード
USS Robert H. McCard
Mk.IB 1980年  トルコ海軍 D-349 クルチ・アリ・パシャ
TCG Kılıç ali paşa
1980年
6月5日
1998年
DD-823 サミュエル・B・ロバーツ
USS Samuel B. Roberts
Mk.IB 1970年 実艦標的として海没処分
DD-824
DDE-824
バジロン
USS Basilone)
1949年 Mk.IB 1977年
DD-825
DDK-825
DDE-825
カーペンター
USS Carpenter
Mk.IB 1981年  トルコ海軍 D-347 アニテペ
TCG Anittepe
1981年
2月20日
1997年
11月
解体
DD-826 アガーホルム
USS Agerholm
1946年 Mk.IA 1978年 実艦標的として海没処分
DD-827
DDK-827
DDE-827
ロバート・A・オーウェンス
USS Robert A. Owens
1949年 Mk.IB 1982年  トルコ海軍 D-346 アリシテペ
TCG Alcitepe
1982年
2月16日
1999年 解体
DD-828 ティンマーマン
USS Timmerman
1952年 1956年 スクラップとして売却処分
DD-829 /
DDR-829
マイルズ・C・フォックス
USS Myles C. Fox
1945年 Mk.IB 1979年  ギリシャ海軍 1970年
10月1日
2003年 部品供給艦として利用の後解体
DD-830 エヴァレット・F・ラーソン
USS Everett F. Larson
Mk.II 1972年  大韓民国海軍 DD-916
DD-96
全北
ROKS Jeong Buk
1972年
10月30日
1999年
12月
記念艦として保存
DD-831
DDR-831
グッドリッチ
USS Goodrich
1969年 スクラップとして売却処分
DD-832
DDR-832
ハンソン
USS Hanson
Mk.IB 1973年  台湾海軍 DDG-921
DD-21
遼陽
ROCS Liao Yang
1973年
4月18日
2004年
6月1日
解体 艦体海没処分
DD-833 ハーバート・J・トーマス
USS Herbert J. Thomas
Mk.IB 1970年 DD-915
DD-15
漢陽
ROCS Han Yang
1974年
6月16日
1999年
8月16日
海没処分 苗栗外海
DD-834 ターナー
USS Turner
Mk.II 1969年 スクラップとして売却処分
DD-835
DDR-835
チャールズ・P・セシル
USS Charles P. Cecil
Mk.IB 1979年  ギリシャ海軍 D-216 アポストリス
ΒΠ Αποστόλης
1980年
8月8日
1993年 解体
DD-836 ジョージ・K・マッケンジー
USS George K. Mackenzie
Mk.IB 1976年 実艦標的として海没処分
DD-837 サースフィールド
USS Sarsfield
Mk.IB 1977年  台湾海軍 DDG-925
DD-25
徳陽
ROCS Te Yang
1977年
10月1日
2005年
4月1日
記念艦として保存(台南市安平区
DD-838 アーネスト・G・スモール
USS Ernest G. Small
Mk.II 1970年 DD-907
DD-7
富陽
ROCS Fu Yang
1971年
4月13日
1999年
12月
実艦標的として海没処分(屏東市沖)
DD-839 パワー
USS Power
Mk.IB 1977年 DDG-923
DD-23
瀋陽
ROCS Shen Yang
1977年
10月1日
2005年
11月26日
記念艦として保存 台灣高雄旗津出展
DD-840 グレノン
USS Glennon
Mk.IB 1976年 実艦標的として海没処分
DD-841 ノア
USS Noa
Mk.IA 1973年  スペイン海軍 D-65 ブラス・デ・レッソ
SPS Blas de Lezo
1973年
8月31日
1991年 解体
DD-842 フィスク
USS Fiske
Mk.IB 1987年  トルコ海軍 D-350 ピヤーレ・パシャ
TCG Piyale Paşa
1980年
6月5日
1999年
DD-843 ワーリントン
USS Warrington
Mk.IB 1972年  台湾海軍 1973年
4月24日
部品供給艦として利用の後解体
DD-844 ペリー
USS Perry
1946年 Mk.IA 1973年 スクラップとして売却処分
DD-845 バウセル
USS Bausell
Mk.IA 1978年 実艦標的として海没処分
DD-846 オズボーン
USS Ozbourn
Mk.IB 1975年 スクラップとして売却処分
DD-847
DDE-847
ロバート・L・ウィルソン
USS Robert L. Wilson
Mk.IB 1974年 実艦標的として海没処分
DD-848
DDE-848
ウィテク
USS Witek
1968年
DD-849 リチャード・E・クラウス
USS Richard E. Kraus
Mk.IB 1976年  大韓民国海軍 DD-921 光州
ROKS Kwang Ju
1977年
2月23日
2000年
12月29日
解体
DD-850 ジョセフ・P・ケネディ・ジュニア
USS Joseph P. Kennedy Jr.
1945年 Mk.IB 1973年 マサチューセッツ州フォール・リバーバトルシップ・コーヴにて、記念艦として保存
DD-851 ラパータス
USS Rupertus
1946年 Mk.IB 1973年  ギリシャ海軍 D-213 コントゥオリオティス
ΒΠ Κουντουριώτης
1973年
7月10日
1994年 解体
DD-852 レオナード・F・メイソン
USS Leonard F. Mason
Mk.IB 1976年  台湾海軍 DD-926
DD-26
綏陽
ROCS Shuei Yang
1978年
3月10日
2000年
2月16日
海没処分 台東外海
DD-853 チャールズ・H・ローン
USS Charles H. Roan
Mk.IB 1973年  トルコ海軍 D-351 マレシャル・フェヴズィ・チャクマク
TCG Mareşal Fevzi Çakmak
1973年
9月21日
1995年
4月
解体
DD-858
DDE-858
フレッド・T・ベリー
USS Fred T. Berry
1945年 Mk.II 1970年 人工礁として海没処分
DD-859
DDE-859
ノリス
USS Norris
1970年  トルコ海軍 D-354 コカテペ
TCG Kocatepe
1974年
7月1日
1994年
6月
解体
DD-860
DDE-860
マカフェリー
USS McCaffery
1973年 スクラップとして売却処分
DD-861
DDE-861
ハーウッド
USS Harwood
1971年  トルコ海軍 D-354 コカテペ
TCG Kocatepe
1971年
11月17日
1974年
7月22日
キプロス侵攻作戦において、友軍機の誤爆により撃沈。
DD-862 ヴォーゲルゲサング
USS Vogelgesang
Mk.IB 1982年  メキシコ海軍 D-101 ケツァルコアトル
ARM Quetzalcoatl
1982年
2月24日
2002年 海没処分
DD-863
DDR-863
スタイネーカー
USS Steinaker
Mk.IB 1982年 D-102 ネツァルコヨトル
ARM Netzahualcoyotl
1982年
2月24日
2014年
DD-864 ハロルド・J・エリソン
USS Harold J. Ellison
Mk.IB 1983年  パキスタン海軍 D-170 シャージャハーン
PNS Shah Jahan
1983年
10月1日
1994年 実艦標的として海没処分
DD-865 チャールズ・R・ウェア
USS Charles R. Ware
Mk.IB 1974年 実艦標的として海没処分
DD-866 コーン
USS Cone
Mk.IB 1982年  パキスタン海軍 D-169 アーラムギール
PNS Alamgir
1982年
10月1日
1998年
12月4日
解体
DD-867 ストライブリング
USS Stribling
Mk.IB 1976年 実艦標的として海没処分
DD-868 ブラウンソン
USS Brownson
Mk.IA 1976年 スクラップとして売却処分
DD-869 アーノルド・J・イズベル
USS Arnold J. Isbell
1946年 Mk.IB 1974年  ギリシャ海軍 D-21 サクトゥリウス
ΒΠ Σαχτούρης
1974年
2月1日
1993年 解体
DD-870 フェクテラー
USS Fechteler
Mk.IB 1970年 スクラップとして売却処分
DD-871 ダメイト
USS Damato
Mk.IB 1980年  パキスタン海軍 D-168 ティップスルタン
PNS Tippu Sultan
1980年
10月1日
1994年 解体
DD-872 フォレスト・ロイヤル
USS Forrest Royal
Mk.IB 1971年  トルコ海軍 D-353 アダテペ
TCG Adatepe
1971年
3月27日
1993年
DD-873 ホーキンス
USS Hawkins
1945年 Mk.IB 1979年  台湾海軍 DD-930
DD-30
資陽
ROCS Tze Yang
1983年
3月17日
1990年 解体(艦橋部の一部は海軍軍官学校に展示)
DD-874
DDR-874
ダンカン
USS Duncan
Mk.II 1971年 実艦標的として海没処分
DD-875 ヘンリー・W・タッカー
USS Henry W. Tucker
Mk.IB 1973年  ブラジル海軍 D-25 マルシリオ・ジアス
Marcilio Dias
1973年
12月3日
1992年 実艦標的として海没処分
DD-876 ロジャース
USS Rogers
Mk.IB 1980年  大韓民国海軍 DD-925 全州
ROK Chonju
1981年
8月11日
1999年
12月31日
記念艦として保存
DD-877
DDR–877
パーキンス
USS Perkins
Mk.II 1973年  アルゼンチン海軍 D-27 コンドロ・ペイ
ARA Comodoro Py
1973年
1月15日
1984年 実艦標的として海没処分
DD-878 ヴェソール
USS Vesole
Mk.IB 1976年 実艦標的として海没処分
DD-879 リアリー
USS Leary
Mk.IB 1973年  スペイン海軍 D-64 ランガラ
SPS Langara
1978年
5月17日
1992年 解体
DD-880
DDR-880
ダイス
USS Dyess
Mk.IB 1981年  ギリシャ海軍 1981年
7月8日
2003年 部品供給艦として利用の後解体
DD-881 ボーデロン
USS Bordelon
Mk.IB 1977年  イラン海軍 1977年
2月1日
部品供給艦として利用
DD-882
DDR-882
ファース
USS Furse
Mk.IB 1972年  スペイン海軍 D-62 ガラヴィナ
SPS Gravina
1972年
6月13日
1991年
9月30日
解体
DD-883 ニューマン・K・ペリー
USS Newman K. Perry
Mk.IB 1981年  大韓民国海軍 DD-923 京畿
ROK Kyonggi
1981年
2月27日
1997年
DD-884 フロイド・B・パークス
USS Floyd B. Parks
Mk.IB 1973年 スクラップとして売却処分
DD-885 ジョン・R・クレイグ
USS John R. Craig
Mk.IB 1979年 実艦標的として海没処分
DD-886 オーレック
USS Orleck
Mk.IB 1982年  トルコ海軍 D-345 ユセテペ
TCG Yucetepe
1982年
10月1日
2000年
8月12日
返還
DD-887 ブリンクリー・バス
USS Brinkley Bass
Mk.IB 1973年  ブラジル海軍 D-26 マリース・エ・バッホス
Mariz e Barros
1973年
12月3日
1997年
9月1日
実艦標的として海没処分
DD-888
DDR-888
スティッケル
USS Stickell
Mk.IB 1972年  ギリシャ海軍 D-212 カナリス
ΒΠ Κανάρης
1972年
7月1日
1993年
9月15日
解体
DD-889 オヘア
USS O'Hare
Mk.IB 1973年  スペイン海軍 D-63 メンデス・ヌウェニス
SPS Mendez Nunez
1973年
8月31日
1992年
4月3日
DD-890 メレディス
USS Meredith
Mk.IA 1979年  トルコ海軍 D-348 サヴァステペ
TCG Savaştepe
1979年
6月29日
1995年

アメリカ国外での配備

1970年代に入ると、より洗練された対潜能力を有するノックス級フリゲートスプルーアンス級駆逐艦の建造配備が始まったことにより、相対的旧式化が明確化したギアリング級駆逐艦は米海軍からの退役が進められ、多くの艦が冷戦下の西側諸国に供与・売却された。

外国に供与売却されたギアリング級駆逐艦も、1990年代に入ると冷戦終結による軍縮や船体の老朽化の進行に伴い逐次退役が進められていき、最後まで残っていたメキシコ海軍の「ネツァルコヨトル」も2014年に退役している。

各国での改装

ギアリング級駆逐艦をアメリカ海軍から引き渡された各国とも、程度の差はあれど何らかの改装を行っている。主な改装は以下の通り。

台湾

中華民国海軍のDDG-921 遼陽(旧DD-832 ハンソン)1993年撮影。
武進3号改装を受けており、兵装が大きく変化している。

1971年から1983年にかけて台湾海軍には、FRAM-I改装型12隻と、FRAM-II改装型2隻の計14隻が引き渡されたほか、部品取り専用に2隻が追加で引き渡されている。

台湾海軍引渡後、これらの艦に「武進1号」「武進2号」「武進3号」と呼ばれる大規模な近代化改装を行っている。

中でも「武進3号」と呼ばれる近代改装は改装規模が最も大きく、「RIM-66 スタンダードSM-1MR」艦対空ミサイルの運用能力が付与され、台湾海軍における艦艇区分もDDからDDGに変更された。武進3号改装による変更点は以下の通り。

  • 前部1番砲塔をオート・メラーラ 76 mm 砲に換装。
  • 艦橋前(元々は2番砲塔があった場所)にSM-1MR SAMの2連装発射筒2基を装備。
  • 後部5インチ連装砲塔を撤去し、そこにSM-1MR SAMの3連装発射筒2基とファランクスCIWSを装備。
  • 後部煙突の両脇に、ボフォース 350PX L-70 40mm単装機関砲を1基ずつ装備。
  • 後部煙突直前(ASROC発射機の後方)に、雄風II型SSMの4連装発射筒を装備。
  • 艦橋上の砲FCSを、SM-1MR SAMの射撃指揮能力も有するSTIR-180に換装。
  • マスト上の二次元対空レーダーを、DA-08に換装
  • 格納庫上部に、ボフォース40mm機関砲用の射撃管制レーダー、ウェスティングハウスW-160[7]を搭載。

しかし艦齢が50年を越え老朽化著しく徐々に退役が進み、2005年11月26日に最後まで残っていたDDG-923瀋陽が退役した。なお、「武進3号」改装艦搭載の各種兵装等は他の艦艇に移設され、スタンダードミサイルSM-1MR艦対空ミサイル発射筒、STIR-180火器管制レーダー、DA-08対空捜索用レーダーは済陽級フリゲート(ノックス級フリゲート)に、W-160火器管制レーダー、雄風II型艦対艦ミサイル発射筒、76mm単装砲は錦江級ミサイル艇中国語版に搭載されている。

装備 武進1号 武進2号 武進3号
砲熕兵装 Mk 38 38口径5インチ連装砲×2基
Mk75 62口径76mm単装砲×1基
ボフォース 350PX L-70 40mm単装機関砲×2基 ボフォース 350PX L-70 40mm単装機関砲×2基
Mk15 20mmファランクスCIWS×1基
ミサイル RIM-72C シーチャパラルSAM 4連装発射機×1基 SM-1MRSAM 3連装発射筒×2基、連装発射筒×2基
(合計10発のSM-1MRを搭載)
雄風I型SSM 単装発射筒×2基、3連装発射筒×1基 雄風II型SSM 4連装発射筒×1基
対潜兵装 アスロックSUM 8連装発射機×1基
Mk32 3連装発射管×2基(Mk46対潜魚雷)
艦載機 MD-500対潜ヘリコプター×1機
改装適用艦艇 ギアリング級
  • DD-907 富陽
    (旧DD-838 アーネスト・G・スモール)
  • DD-926 綏陽
    (旧DD-852 レオナード・F・メイソン)

アレン・M・サムナー級

  • DD-906 惠陽
    (旧DD-696 イングリッシュ
  • DD-914 洛陽
    (旧DD-746 タウシッグ)
  • DD-917 南陽
    (旧DD-760 ジョン・W・トマソン)

フレッチャー級
(主砲はMk 30 38口径5インチ単装砲×2基となる)

  • DD-908 貴陽
    (旧DD-540 トワイニング)
  • DD-909 慶陽
    (旧DD-528 ムラニー)
  • DD-918 安陽
    (旧DD-521 キンバリー)
  • DD-919 昆陽
    (旧DD-541 ヤーナル)
  • DD-911 當陽
    (旧DD-764 ロイド・トーマス)
  • DD-915 漢陽
    (旧DD-833 ハーバート・J・トーマス)
  • DD-920 萊陽
    (旧DD-790 シェルトン)
  • DD-924 開陽
    (旧DD-786 リチャード・B・アンダーソン)
  • DDG-912 建陽
    (旧DD-787 ジェームズ・E・キイス)
  • DDG-921 遼陽
    (旧DD-832 ハンソン)
  • DDG-923 瀋陽
    (旧DD-839 パワー)
  • DDG-925 德陽
    (旧DD-837 サースフィールド)
  • DDG-927 雲陽
    (旧DD-781 ハムナー)
  • DDG-928 正陽
    (旧DD-821 ジョンストン)
  • DDG-929 邵陽
    (旧DD-788 ホリスター)

登場作品 

映画 

レイズ・ザ・タイタニック
FRAM Mk.I改修後の「カーペンター」が登場。極秘で行われる「タイタニック号引き揚げ作戦に参加しており、他の参加艦艇を護衛する。
撮影には、アメリカ海軍の全面協力で実物が使用されているほか、一部のシーンではミニチュアも使われている。

参考文献

  1. ^ a b 「アメリカ駆逐艦史」『世界の艦船』第496号、海人社、1995年5月、13-135頁。 
  2. ^ 「船体 (技術面から見たアメリカ駆逐艦の発達)」『世界の艦船』第496号、海人社、1995年5月、150-155頁。 
  3. ^ 阿部安雄「機関 (技術面から見たアメリカ駆逐艦の発達)」『世界の艦船』第496号、海人社、1995年5月、156-163頁。 
  4. ^ a b c 香田洋二「国産護衛艦建造の歩み - 第11回 2次防その3「たかつき」型/国産新装備」『世界の艦船』第787号、海人社、2013年11月、152-159頁。 
  5. ^ 中川務「アメリカ駆逐艦建造の歩み」『世界の艦船』第496号、海人社、1995年5月、141-147頁。 
  6. ^ http://www.gyrodynehelicopters.com/gearing_class.htm
  7. ^ Harpoondatabase.com W-160 radar

外部リンク

Kembali kehalaman sebelumnya