キイチゴ属
キイチゴ属(きいちごぞく、学名:Rubus L.[1]は、バラ科の属の1つ。キイチゴ(木苺[2]・黄苺[2]・懸鉤子、英語: Bramble)と総称される。ラズベリー (Raspberry)、ブラックベリー (Blackberry) などの栽培種群に代表される、数十〜数百種(研究者により大きく違う)が属する。木苺とよばれるのは草苺に対して名付けられたもので、木本であり、特に果実が食用になるものを指す[3]。果実は多くの粒が集まってつくのが特徴である[3]。 分布特徴キイチゴ属は種の数がとても多く、ほとんどは小柄ながら木質化した茎を持つ落葉性低木で[4]、一部に常緑や匍匐性のもの、草本がある。茎や葉に棘を持つものも多い[2]。 雌蘂は多数の心皮からなり、それぞれが独立した果汁を含んだ粒の形になる。したがって、果実はそのような粒の塊に見える。果実は味はいろいろであるが食べられるものが多く[2]、いわゆる野いちごは大部分がこの属のものである。 栽培と利用ラズベリー (Raspberry)、ブラックベリー (Blackberry) の2つが主な栽培系統である。 ラズベリーの原生種はヨーロッパと北米に分布し、ヨーロッパの種が栽培化され、のちに北米の種も栽培化された。寒冷地に適す。 ブラックベリーの原生種は西アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカと広い範囲に自生し、北米の数種が栽培化された。寒さに弱く、温暖な地に適す。 日本では古代から室町時代ごろまでは栽培されていたが、その系統は途絶えている。現在の日本では欧米のラズベリーやブラックベリーが小規模に栽培されているのみである。 キイチゴ類の果実は生食でき、ケーキの飾り、シロップ漬け、ジャムやジュース、果実酒・リキュールなどの原料として利用されることが多い[2]。 ゴショイチゴやクマイチゴ、トックリイチゴの未熟果を乾燥したものは覆盆子と呼ばれ生薬として使われる。 ラズベリーの葉はハーブティ(ラズベリーリーフティ)として、ゴショイチゴの変種Rubus chingii var. suavissimusの葉は甜茶(甜葉懸鈎子)として利用される。 キイチゴ類の果実の抽出物や種子油は、収斂作用や保湿などの効果を期待して化粧品原料としても利用される。 分類キイチゴ属は分化が激しく雑種も多いため、種の認定には諸説ある。大きく数十種にわけそれぞれに多数の亜種や変種を認める説や、細かく数百種にわけそれらをいくつかの亜属や節に分類する説などがある。 たとえば、細かく分けるとヨーロッパ産の Rubus idaeus (ヨーロッパキイチゴ)とアメリカ産の Rubus strigosus (アメリカイチゴ)は別種だが、大きく分けるなら Rubus idaeus 1種となる。 次に示す分類は、細かく分けたものである。属を13亜属に分け、そのうち最大のRubus亜属(ブラックベリーとデューベリーの仲間)はさらに12節に分けている。 主な種キイチゴ属の主な種を以下に示す。日本に産する代表的な種に、モミジイチゴ、ナワシロイチゴ、カジイチゴ、クサイチゴなどがある。
ギャラリー
脚注参考文献
外部リンク
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