カレン・ハチャノフ
カレン・アブガロヴィチ・ハチャノフ(Karen Abgarovich Khachanov, ロシア語: Карен Абгарович Хачанов, アルメニア語: Կարեն Աբգարի Խաչանով, 1996年5月21日 - )は、ロシア・モスクワ出身の男子プロテニス選手。自己最高ランキングはシングルス8位、ダブルス64位。ATPツアーでシングルスで7勝、ダブルス1勝を挙げている。身長198cm。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。日本の一部メディアでは「カチャノフ」とも表記される。 選手経歴ジュニア時代エレバン出身のアルメニア人である父親はセミプロレベルでバレーボールをしており、その後医学を学び、母親はロシア人であり、同じく医学を学んでおり、その両親のもとに生まれた。3歳の時にテニスを始め、幼稚園にあるテニスグループで練習をしていた。 ハチャノフは12歳の時にプロテニス選手になることを決めて、15歳にクロアチアに移り、コーチの指導を受け、本格的にプロを目指すようになる。 2013年 プロ転向2013年にプロ転向。ITFのヨーロッパで開催されたU-18の大会で優勝を果たす。ワイルドカードを獲得してATPツアー・250シリーズであるクレムリン・カップではアルベルト・ラモス=ビニョラス、ヤンコ・ティプサレビッチを破り、ATPツアーでベスト8入り。準々決勝ではイボ・カロビッチに敗れた。10月にデビスカップロシア代表に選抜された。 2014年 フューチャーズ初優勝2014年8月に中華台北で開催されたITF男子サーキットでフューチャーズ初優勝をする。9月でフランスで開催されたフューチャーズ大会でフューチャーズ2勝目を挙げる。 南京ユースオリンピックではダブルスでアンドレイ・ルブレフと組んで銀メダルを獲得する。
2015年 チャレンジャー初優勝3月にフランス、4月にウズベキスタンで開催されたITF男子サーキットで優勝して、その後トータルでフューチャーズ5勝目を挙げた。9月のイスタンブール・チャレンジャー で優勝し、ATPチャレンジャーツアー初優勝を果たした。年間最終ランキングは152位。 2016年 ツアー初優勝 トップ100入り全米オープンでは予選を勝ち上がり、グランドスラム初出場を果たす。本戦では1回戦でトマス・ファッビアーノを破り、世界ランク7位の錦織圭との2回戦まで進出した。成都オープンでは第7シードのジョアン・ソウザ、アドリアン・マナリノ、第4シードのフェリシアーノ・ロペス、第6シードのビクトル・トロイツキを破り、決勝に進出。決勝でアルベルト・ラモス=ビニョラスを6–7(4), 7–6(3), 6-3で破り、ツアー初優勝を果たした。年間最終ランキングは53位。 2017年 トップ50入り全豪オープンでは2回戦で第23シードのジャック・ソックに敗退。BNPパリバ・オープンでは2回戦でダビド・ゴファンに敗退。マイアミ・オープンではディエゴ・シュワルツマンに初戦敗退。 モンテカルロ・マスターズでは2回戦でパブロ・カレーニョ・ブスタに敗退。バルセロナ・オープンではベスト8入り。準々決勝でオラシオ・セバジョスに敗退。マドリード・オープンでは1回戦でダビド・ゴファンに敗退。全仏オープンでは2回戦でトマーシュ・ベルディハ、3回戦でジョン・イズナーに勝利して、グランドスラム初めて4回戦に進出。4回戦では世界ランキング1位・第1シードのアンディ・マリーに3-6, 4-6, 4-6のストレートで敗れた。 ハレ・オープンではベスト4入り。準決勝ではロジャー・フェデラーに敗れた。ウィンブルドン選手権では第30シードとして出場し、3回戦で第4シードのラファエル・ナダルに敗れた。 ナショナル・バンク・オープンではパブロ・カレーニョ・ブスタに初戦敗退。ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは3回戦で杉田祐一に敗れた。全米オープンでは第25シードで出場するも、盧彦勳に初戦敗退。パリ・マスターズではパブロ・クエバスに初戦敗退。 2017年から新設された11月の21歳以下限定のネクストジェネレーション・ATPファイナルにも出場し、ラウンドロビンで敗退して、シーズン終了。年間最終ランキングは45位。 2018年 マスターズ初優勝 トップ20入り全豪オープンでは2回戦でフアン・マルティン・デル・ポトロに敗れた。2月下旬のオープン13では決勝でリュカ・プイユを破り、ツアー2勝目を挙げた。しかし続くドバイ・テニス選手権では2回戦でプイユに敗れた。BNPパリバ・オープンでは初戦敗退。マイアミ・オープンでは2回戦でケビン・アンダーソンに敗れたが、ダブルスでは同胞のアンドレイ・ルブレフと組み、ATPマスターズ1000ダブルスで準優勝を果たす。 モンテカルロ・マスターズでは3回戦でラファエル・ナダルに敗れた。バルセロナ・オープンでは2回戦でダビド・ゴファンに敗れた。マドリード・オープンではドゥシャン・ラヨビッチに、BNLイタリア国際ではフィリップ・コールシュライバーにそれぞれ初戦敗退。全仏オープンでは2年連続で4回戦進出。4回戦ではアレクサンダー・ズベレフにフルセットの末に敗れた。 ウィンブルドン選手権では1回戦でダビド・フェレール、3回戦でフランシス・ティアフォーらを破り、グランドスラム2大会連続で4回戦進出。4回戦ではノバク・ジョコビッチに敗れた。 ロジャーズ・カップではベスト4入り。準決勝でラファエル・ナダルに敗れた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは3回戦でマリン・チリッチに敗れた。全米オープンでは3回戦進出するも、第1シードのナダルに敗れた。 上海マスターズではステファノス・チチパスに2回戦敗退。しかし、クレムリン・カップでは決勝でアドリアン・マナリノを破り、ツアー3勝目を挙げる。そしてシーズンラストであるマスターズ1000最終戦のパリ・マスターズでは3回戦で第8シードのジョン・イスナー、準々決勝で第4シードのアレクサンダー・ズベレフ、準決勝で第6シードのドミニク・ティームとトップ10選手を撃破し初の決勝進出。決勝で第2シードのノバク・ジョコビッチに7-5, 6-4で勝利し、マスターズ初優勝を果たした[1]。年間最終ランキングは11位。 2019年 全仏ベスト8 トップ10入り全豪オープンでは3回戦でロベルト・バウティスタ・アグートに敗退。BNPパリバ・オープンではベスト8入り。準々決勝ではラファエル・ナダルに敗れた。マイアミ・オープンではジョーダン・トンプソンに初戦敗退。 マドリード・オープンでは2回戦でフェルナンド・ベルダスコに敗れ、続くBNLイタリア国際でも3回戦でベルダスコに敗れたが、全仏オープンでは4回戦でフアン・マルティン・デル・ポトロに7-5, 6-3, 3-6, 6-3で勝利し、グランドスラム初のベスト8入り。準々決勝でドミニク・ティエムに2-6, 4-6, 2-6で敗れたが、大会後には世界ランキング9位となり、トップ10入りを果たした。 ウィンブルドン選手権では全豪同様、3回戦でバウティスタ・アグートにストレートで敗退。 ナショナル・バンク・オープンでは2年連続ベスト4入り。準決勝でダニール・メドベージェフに敗れた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンではリュカ・プイユに3回戦で敗れた。全米オープンでは1回戦でバセク・ポシュピシルに6-4, 5-7, 5-7, 6-4, 3-6のフルセットの末に敗れた。上海マスターズでは3回戦でファビオ・フォニーニに敗退。パリ・マスターズではヤン=レナード・ストルフに初戦敗退。年間最終ランキングは17位。 2020年 ATP杯ベスト4ATPカップではダニール・メドベージェフらと共にロシア代表として出場し、準決勝進出を果たしたが、セルビア代表に敗れた。 全豪オープンでは3回戦まで進出し、ニック・キリオスとの4時間26分の大熱戦の末、2-6, 6-7(5), 7-6(6), 7-6(7), 6-4(10-8)のスーパータイブレークで惜敗した。ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは3回戦でロベルト・バウティスタ・アグートに敗退。全米オープンでは1回戦でヤニック・シナーを破り、2回戦のアンドレイ・クズネツォフ戦も突破したが、3回戦で第21シードのアレックス・デミノーに敗退。BNLイタリア国際ではキャスパー・ルードに初戦敗退。全仏オープンでは2年連続4回戦進出するも、第1シードのノバク・ジョコビッチに敗れた。パリ・マスターズではアレハンドロ・ダビドビッチ・フォキナに初戦敗退。年間最終ランキングは20位。 2021年 東京五輪銀メダル ウィンブルドンベスト8 デビス杯初優勝全豪オープンを3年連続3回戦進出するも、第9シードのマッテオ・ベレッティーニに6-7(1), 6-7(5), 6-7(5)のストレートで敗れた。 モンテカルロ・マスターズでは2回戦でパブロ・カレーニョ・ブスタに敗退。マドリード・オープンでは錦織圭に、BNLイタリア国際ではフェデリコ・デルボニスにそれぞれ初戦敗退。全仏オープンでは2回戦では第23シードとして出場するも、錦織圭に6-4, 2-6, 6-2, 4-6, 4-6のフルセットで敗れた。 ウィンブルドン選手権では2度目の4回戦進出を果たした。同胞のダニール・メドベージェフとアンドレイ・ルブレフとハチャノフ自身を含めて、ロシア人選手3人のウィンブルドン4回戦進出は初めてのことであった。4回戦ではセバスチャン・コルダを3-6, 6-4, 6-4, 5-7, 10-8のフルセットで破り、初のウィンブルドン選手権ベスト8入りを果たした。準々決勝ではお互い初の準決勝をかけ、デニス・シャポバロフと対決し、4-6, 6-3, 7-5, 1-6, 4-6のフルセットの末に敗れた。 その好調さのまま迎えた東京五輪ではベスト4入り。準決勝ではパブロ・カレーニョ・ブスタをストレートで破り、決勝ではアレクサンダー・ズベレフに敗退したが、オリンピック初出場で銀メダルを獲得した。 ナショナル・バンク・オープンでは3回戦でステファノス・チチパスに敗れた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンでは2回戦でフェリックス・オジェ=アリアシムに敗退。全米オープンでは第25シードで出場するも、ロイド・ハリスに4-6, 6-1, 6-4, 3-6, 2-6のフルセットで初戦敗退。BNPパリバ・オープンでは4回戦でニコロズ・バシラシビリに敗退。パリ・マスターズでは2回戦でグリゴール・ディミトロフに敗れた。 デビスカップ2020はロシアテニス連盟として出場。決勝でクロアチアを下して、優勝に貢献した。年間最終ランキングは28位。 2022年 全米ベスト4アデレード国際1では決勝でガエル・モンフィスに4-6, 4-6で敗れ、準優勝。全豪オープンでは第28シードとして出場し、3回戦で第6シードのラファエル・ナダルに3-6, 2-6, 6-3, 1-6で敗退。カタール・エクソンモービル・オープンではベスト4入り。準決勝でロベルト・バウティスタ・アグートに6-2, 3-6, 5-7で敗れた。 モンテカルロ・マスターズではディエゴ・シュワルツマンに初戦敗退。セルビア・オープンではベスト4入り。準決勝でノバク・ジョコビッチに6-4, 1-6, 2-6で敗れた。マドリード・オープンではリュカ・プイユに初戦敗退。ローマ・マスターズでは3回戦でステファノス・チチパスに敗れた。全仏オープンでは3回戦では第10シードのキャメロン・ノーリーに6-2, 7-5, 5-7, 6-4で勝利。4回戦では第6シードのカルロス・アルカラスに1-6, 4-6, 4-6のストレートで敗れた。 ウィンブルドンにはウクライナ侵攻の影響でAELTCがロシア人とベラルーシ人選手の参加を拒否したため、ウィンブルドン選手権には出場できなかった。 全米オープンでは第27シードとして出場。4回戦では第12シードのパブロ・カレーニョ・ブスタに4-6, 6-3, 6-1, 4-6, 6-3のフルセットで勝利し、ベスト8入り。準々決勝では第23シードのニック・キリオスを7-5, 4-6, 7-5, 6-7(3), 6-4のフルセットの熱戦で勝利し、グランドスラム初のベスト4入りを果たし。準決勝では第5シードのキャスパー・ルードに6-7(5), 2-6, 7-5, 2-6で敗れた。パリ・マスターズでは3回戦でジョコビッチに4-6, 1-6のストレートで敗れた。年間最終ランキングは20位。 2023年 全豪ベスト41月、全豪オープンには第18シードとして出場。3回戦では第18シードのフランシス・ティアフォーを6-3, 6-4, 3-3, 7-6(9)で破り、4回戦では第31シードの西岡良仁を6-0, 6-0, 7-6(4)のダブルベーグルでストレートで圧倒し、大会初のベスト8入りをし、四大大会すべてでベスト8進出を果たした。準々決勝での第29シードのセバスチャン・コーダ戦では7-6(5), 6-3, 3-0の時点で相手の途中棄権により、ベスト4入り。準決勝では第3シードのステファノス・チチパスに6-7(2), 4-6, 7-6(6), 3-6で敗退。 4月、モンテカルロ・マスターズでは3回戦でアンドレイ・ルブレフに敗れた。バルセロナ・オープンでは2回戦でダニエル・エバンスに3-6, 4-6のストレートで敗退。 5月、マドリード・オープンでは4回戦でルブレフを下し、ベスト8進出するも、準々決勝ではカルロス・アルカラスに4-6, 5-7のストレートで敗れた。BNLイタリア国際ではグレゴワール・バレールに初戦敗退。 6月、全仏オープンでは3回戦でタナシ・コキナキスを6-4, 6-1, 3-6, 7-6(5)、4回戦でロレンツォ・ソネゴを1-6, 6-4, 7-6(7), 6-1でそれぞれ下して、2017年以来となる、6年ぶりのベスト8進出。準々決勝では第3シードのノバク・ジョコビッチに6-4, 6-7(0), 2-6, 4-6の逆転で敗れた。 7月、全仏オープンで負った第1仙骨の疲労骨折と部分骨折の怪我により、昨年に続き四大大会第3戦となるウィンブルドン選手権の欠場を余儀なくされた。 8月、全米オープンではマイケル・モーに2-6, 4-6, 2-6のストレートで初戦敗退となった。 9月、珠海選手権では決勝進出。決勝では西岡良仁を7-6(4), 6-1のストレートで勝利し、2018年以来となる、5年ぶりのツアー優勝を果たし、ツアー6勝目を挙げた。 10月、上海マスターズでは2回戦でグリゴール・ディミトロフに敗れた。ジャパン・オープンではアレクセイ・ポピリンに4-6, 2-6のストレートで初戦敗退。 11月、パリ・マスターズではベスト8進出するも、準々決勝でチチパスに3-6, 4-6のストレートで敗れた。年間最終ランキングは15位。 2024年 ツアー6勝目全豪オープンでは4回戦進出。4回戦ではヤニック・シナーに4-6, 5-7, 3-6のストレートで敗れた。オープン13では準決勝でグリゴール・ディミトロフに7-6(3), 4-6, 6-7(5)で敗れ、ベスト4入り。そのままカタール・エクソンモービル・オープンでの決勝ではヤクプ・メンシークを7-6(12), 6-4のストレートで破り、ツアー6勝目を挙げた。 BNPパリバ・オープンではチアゴ・ザイボチ・ヴィウチに1-6, 5-7のストレートで初戦敗退。マイアミ・オープンでは4回戦でアレクサンダー・ズベレフに1-6, 4-6のストレートで敗れた。モンテカルロ・マスターズでは初のベスト8進出。準々決勝ではステファノス・チチパスに4-6, 2-6のストレートで敗退。マドリード・オープンでは4回戦でシナーに7-5, 3-6, 3-6で敗れた。 主要大会決勝マスターズ1000決勝シングルス:1 (1タイトル)
オリンピックシングルス:1 (1銀メダル)
ATPツアー決勝進出結果シングルス: 10回 (7勝3敗)
ダブルス: 1回 (0勝1敗)
成績4大大会シングルス
W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.
大会最高成績
脚注
外部リンク |