イテリメン語
イテリメン語(英語: Itelmen, ロシア語: ительменский язык)は、古シベリア諸語の一つでカムチャツカ半島西部に住むイテリメン族の固有言語。イテリメンが自称であるが、かつてはカムチャダール語とも呼ばれた。チュクチ・カムチャツカ語族に含められるが、他の言語とは大きく異なり、別語族とする説もある[2]。 話者はすでに年配者でコリヤーク管区に住む数十人しかなく、それ以外の人(3千人以上)は専らロシア語を使っている。しかし現地の教育で取り上げられ復活が試みられている。かつてはカムチャツカ東部・西部・南部の3方言があったが、このうち東部語と南部語は19世紀末までに消滅してしまい、今は西部語しか残っていない。また、西部方言は更に北部・南部の2つの下位分類がなされるが、このうち辞書や文法書などの資料は西部語南部方言を取り上げたものが大半であり[3]、学校教育用の刊行物もすべて西部語南部方言に準拠したものとなっている[4]。 カムチャツカ半島には17世紀からロシア人(コサック)が入植し、イテリメン族を圧迫し、また同化したため、イテリメン語とロシア語とのクレオール言語(これがカムチャダールとも呼ばれた)も発達した。現在のイテリメン語も、ロシア語から強い影響を受け、数詞なども借用語を用いている。19世紀からソビエト時代にかけてさらに同化政策が進められ、1930年代には専らロシア語による教育が行われた。この頃にラテン文字を用いてイテリメン語が記されるようになったが、普及しなかった。現在は1986年に制定されたキリル文字(32字)が用いられている。 同語族とされる他言語(破裂音・破擦音には無声音、摩擦音には有声音しかない)に比較すると子音の種類が多く、破裂音・破擦音には放出音系列があり、摩擦音には無声音と有声音の系列がある。母音は5または6種類で、母音調和がある。 文法他のチュクチ・カムチャツカ語族の言語は抱合語(複統合語)で能格言語であるが、イテリメン語については抱合を行わず類型論的には膠着語であると言える[5]。また主語と目的語がすべて同じ語形を取る中立型のアラインメントとなっている[6]。 参考文献
関連文献
脚注
外部リンク
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