アーロと少年
『アーロと少年』(アーロとしょうねん、原題:The Good Dinosaur)は、2015年公開のアメリカ合衆国の3Dコンピュータアニメーション・コメディ・アドベンチャー映画である。 概要ピクサー・アニメーション・スタジオ製作で、 監督はピーター・ソーン、脚本はメグ・レフォーヴによる。恐竜の絶滅が起こらなかった架空の世界を舞台に、見知らぬ土地をさまよっていたアパトサウルスのアーロ(Arlo)とまだ言葉を持たない原始人の子供との出会いと冒険を描く。出演はレイモンド・オチョア、ジャック・ブライド、サム・エリオット、アンナ・パキン、A.J.バックリー、ジェフリー・ライト、フランシス・マクドーマンド、スティーヴ・ザーンら。監督は、2013年8月までを制作を提案したボブ・ピーターソンが任め、2014年10月以降ピーター・ソーンが新しく就任。『インサイド・ヘッド』と並び、同年にピクサー映画が2本公開されるのは史上初である。 2015年11月10日にパリで初演され、続いて2015年11月25日にアメリカ合衆国で公開された。日本では2016年3月12日に公開されている。(ピクサーでは2002年に公開された『モンスターズ・インク』以来14年ぶりの3月公開となる)。 同時上映は『ボクのスーパーチーム』。 キャッチコピー
ストーリー6600万年前、地球に近づいていた隕石は衝突することなくその真上を通り過ぎ、恐竜たちは絶滅を免れた。それから数百万年後、彼らは進化を続け、言葉や文化を持つようになっていた。 ギザギザ山の麓でトウモロコシを作って暮らすアパトサウルスの夫妻ヘンリーとイダの元に、3匹の子供が産まれる。末っ子のアーロは兄バックや姉リビーより小柄で、なおかつ臆病な性格なのを姉兄からからかわれていた。しかし、アーロも両親の愛情を精一杯受けてすくすくと育ってゆく。家族は冬を越すべくトウモロコシのサイロを築き、そこに夫婦の足形を付ける。ヘンリーは、やるべきことを成し遂げれば子供達の足形も付けると言い、家族の印が全て揃う日を待ち望んでいた。兄と姉は畑仕事に尽力し、足形を付けさせてもらえるが、アーロは何をやっても上手くいかない。そこでヘンリーはアーロにサイロの見張りを任せ、仕掛けた罠に何かがかかったら叩き潰すよう命じる。しばらくして食べ物を盗りに来た人間の少年が罠にかかるが、恐れをなしたアーロは獲り逃してしまう。それを見たヘンリーはアーロを咎め、彼を連れて河辺にあった人間の足跡を追うことにする。しかしその道すがら、天気はどんどん悪くなり、遠くには落雷も見える。ヘンリーは無理矢理連れ出したことをアーロに謝り、家へ戻ることにするが、そこへ鉄砲水が襲ってくる。ヘンリーはアーロを高台に放り投げた後、鉄砲水に呑まれて命を落としてしまう。 後日、体力を衰えてしまったイダを支え、辛い思いをさせないと決心したアーロはサイロの中に以前見た少年がいるのを見つける。父の恨みを晴らすべくその少年を追うが、今度はアーロが少年と共に川へ転落してしまい、見知らぬ場所へ流れ着く。そこで再び少年と出会うが、言葉が通じないながらも徐々に打ち解け、僅かに見えるギザギザ山を目指して行動を共にする。その少年もまた、家族を失って一人で生き延びていたのである。途中、様々な哺乳類を味方に付けてひっそりと暮らすスティラコサウルスペット・コレクターと出会い、様々な能力を持った人間の子供も欲しがる。彼は仲間に変な名前を付けており、先に名付けに成功した方が人間を貰うという条件を提示するが、少年が反応したのはアーロが言った「スポット」だった。ペット・コレクターはアーロを認め、二人の背中を押した。 その後も旅は順調かのように思えたが、嵐に巻き込まれた際に雷を見たアーロはトラウマで一目散に川から離れ、ギザギザ山も見失ってしまう。嵐で荒れ果てた周囲をみて絶望にくれるアーロは、助けを求めるべく、飛んでいた翼竜を呼び止める。ところが彼らを率いるイナズマドカンは、嵐の度に怪我をした動物を探し、助けるふりをして捕食していたのだ。「自分に怖い物は何もない」と脅迫してくるイナズマドカンは、ギザギザ山の場所を教える代わりにスポットを引き渡すようアーロに言い寄る。アーロはスポットを連れて逃げるが、近くにいたTレックス一家のブッチ、ラムジー、ナッシュに助けてもらい、何とか命拾いする。 放牧していた牛が嵐で行方不明になったというTレックス一家に、アーロはスポットの嗅覚を使って牛を探すことを提案する。スポットを追ってゆくと、草原の真ん中で牛を発見するが、そこには牛泥棒もいた。Tレックス一家は身軽な泥棒達に苦戦を強いられるが、アーロは勇気を出してそこへ立ち向かい、見事泥棒退治に成功する。その晩、彼らはアーロに困難を越えて生き延びてきた武勇伝を話して聞かせる。自分を恐がりだと話すアーロであったが、ブッチは「恐さを感じなければ生き延びられない――それを越えていくのが生きることだ」と教える。翌朝、アーロが牛追いの手伝いをしていると、遂にギザギザ山を発見する。Tレックス一家と別れ、ギザギザ山を目指すアーロとスポットだが、道中、二足歩行をする動物と出会い、スポットもそれに反応するが、スポットを家に連れて帰りたいアーロは、彼を連れて先へ進む。ところが、急襲してきたイナズマドカンにより、スポットを連れ去られる。アーロも為す術なく崖下に落ち、気を失い、父親の夢を見る。生きていたと思っていたアーロだが、ヘンリーは足跡がついていなかった為もういないとわかった。アーロはスポットを助けたいとの言葉に「お前は強い子だ。パパよりも強くなる」そう言って静かにアーロの前から消えた。 父親の言葉に鼓舞されたアーロはすぐに目覚め、河辺の枯れ木に追い詰められたスポットを発見する。増水する中でアーロは次々と翼竜を打ちのめし、遂にイナズマドカンも追い払うが、鉄砲水が既にスポットの目前まで迫っていた。彼らは濁流に巻き込まれるが、アーロは滝の下に落ちながらもスポットを救出することに成功する。アーロの家も目前となったとき、再び二足歩行の動物と遭遇する。近付いてきた彼らは、人間の家族だった。スポットとは髪の色や目の色も違っていたが、その人間はスポットを家族の一員に迎え入れ、アーロもそれを受け入れて一人で家に帰ることを決める。 アーロは、イダが夫と見紛うほどにしっかりとした足つきで家へ戻り、家族との再会を果たす。一段と成長したアーロは、ようやくサイロに自分の足形を付けさせてもらえることとなり、遂に5匹分全ての家族の印が揃ったのであった。 登場キャラクター主人公
アーロの家族アパトサウルスの一家。ギザギザ山のふもとで農場を営み、トウモロコシを栽培し鶏を育てている。
Tレックス一家アーロとスポットがテロダクティルたちから逃れた時に助けてくれたティラノサウルスの一家。牛を放牧しながらカウボーイのような生活をしている。見た目は強面だが、3頭とも根は優しい。
テロダクティル嵐の後にアーロが出会った翼竜たちで、本作のディズニー・ヴィランズ。救助隊を装い嵐の後に身動きできなくなった小動物を捕食する。終盤でアーロ達を再び襲った際にスポットを誘拐するが、彼を助けるために立ち上がったアーロによって全滅させられる。
ラプトル狼かコヨーテのような見た目をしたヴェロキラプトルの集団で、本作のもう1つのディズニー・ヴィランズ。Tレックス一家の牛を群れごと連れ去って自分たちのものにしようと企んだ。
その他
キャスト(声の出演)
スタッフ日本語吹替え版スタッフ
興行成績全米2015年11月25日公開。オープニング興行収入は3919万2000ドルで、映画ランキングでは初登場2位となった。 日本2016年3月12日に全国380スクリーンで封切られ、初日2日間で動員数19万1696人、興行収入2億3705万0500円を記録し、映画ランキングでは初登場2位となった[4]。3週目となる3月28日には、累計興行収入10億円を突破した[5]。 主題歌日本版エンドソング受賞
脚注
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