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ある船頭の話

ある船頭の話
監督 オダギリジョー
脚本 オダギリジョー
製作総指揮 木下直哉
出演者 柄本明
村上虹郎
川島鈴遥
音楽 ティグラン・ハマシアン
撮影 クリストファー・ドイル
編集 岡崎正弥
オダギリジョー
製作会社 「ある船頭の話」製作委員会
配給 キノフィルムズ
木下グループ
公開
  • 2019年9月13日 (2019-09-13) (日本の旗 日本)
上映時間 137分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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ある船頭の話』(あるせんどうのはなし)は、2019年9月13日に公開された日本映画。監督はオダギリジョー、主演は柄本明明治時代、美しい自然の中にある村。村と町の間に川がある。村から町へ、町から村へと人や家畜や物を渡してきた船頭。平穏な繰り返しの毎日が、新しくできる橋によってかき乱され、川を流れてきた少女を助けたことで一変する[1]PG12指定[2]

概要

俳優・オダギリジョーの長編映画監督デビュー作で、オダギリが長年温めていたオリジナル脚本を映画化[3]。主演は『石内尋常高等小学校 花は散れども』(2008年)以来約11年ぶりの映画主演となる柄本明が務め[3]、ヒロイン役には100人超参加のオーディションで川島鈴遥を選出した[4]。撮影はクリストファー・ドイル衣裳デザイナーワダ・エミ、音楽は今回はじめて長編映画に挑戦したティグラン・ハマシアン[3]が担当した。

2019年1月11日にクランクアップし、9月13日に公開された。

あらすじ

トイチは渡し舟の船頭である。河原の粗末な小屋で寝起きし、声がかかれば舟を出す。銭を投げてよこす横柄な客、食べ物を分けてくれる親切な客、いろいろだ。遠くで橋を建築する音が聞こえる。ある日、河原で川の亡霊を見る。

夕方、布に包まれた少女が川を流れて来る。小屋に運び込んで介抱する。上流の村で一家が首をかき切られて皆殺しにされ、娘は連れ去られたらしい。そういう噂を客から聴く。やがて少女は目を覚ましたが、何も話さず日がな一日川面をみている。マタギの仁平(にへい)から見とがめられ、しばらく預かっている親戚の娘だと嘘をつく。再びあらわれた川の亡霊が、俺はお前のことをよく知っていると言う。ある夜、少女がいなくなる。

仁平の父を往診した町医者が言う。橋ができたら船頭さんの仕事がなくなっちゃうか。建築関係の男が言う。橋ができたらこんなきたねえ舟に誰が乗るか。役に立たないものはみんななくなっていくんだよ。馴染み客の源三が言う。出来上がる前にぶっ壊さねえか、あの橋。トイチは白昼夢をみる。自分と源三が刃物を振り回して橋を渡る人々を次々に殺す。小屋の中で建築関係の男を刺し殺す。一部始終を川の亡霊が見ている。

ある夜、少女が帰ってくる。行く所あるのかと聞くと首を横に振る。客のいない日、少女を舟に乗せてやる。少女は自分の話はしないが、名前だけは「ふう」だと教えてくれる。少女は突然川に飛び込み、トイチが続いて飛び込むと、彼女は川の中を笑顔で泳ぎ回っていた。源三が上流の村まで行き殺しはなかったと訊いてきて、トイチは安心する。

雨がひどく降る夜、仁平の父が死んだ。自分はたくさんの命をもらって生きてきた。自分が死んだら、肉体を森の生き物に捧げたいという遺志にそって、人目を避けて夜中に舟を出し、遺体を森に運んだ。森には無数のホタルが舞っていた。トイチは少女に、自分も仁平の父のように、誰かの為になるような人間になりたいと言う。

完成間近の橋から煙が上がる。トイチが橋に駆けつけると、川の亡霊があらわれて言う。少女はあの夜死ぬべきだった。かわりに自分が生を受け、少女は肉体をすてて次の生を待つことになっていた。しかし少女はトイチに助けられた。少女はトイチを苦しめるだろうと。

橋が完成し、冬が来た。河原は雪に覆われ、川には油が浮いている。トイチはすっかり元気がない。身なりのよくなった源三が横柄な態度で小屋を訪れる。トイチが町医者へ行って不在なのをたしかめ、源三は少女を小屋に連れ込む。橋を渡ってトイチが小屋に戻ると、源三が首をかき切られて死んでいた。トイチは小屋に火を放ち、少女をのせて舟を出す。二人をのせた舟が川を下っていく。

キャスト

スタッフ

  • 脚本・監督:オダギリジョー
  • 撮影監督:クリストファー・ドイル
  • 衣裳デザイン:ワダ・エミ
  • 音楽:ティグラン・ハマシアン
  • 製作総指揮:木下直哉
  • プロデューサー:市山尚三、永井拓郎、中島裕作
  • 照明:宗賢次郎
  • 音響:白取貢
  • 美術:佐々木尚
  • ヘアメイクデザイン:勇見勝彦
  • 装飾:石上淳一
  • ヘアメイク:伊藤こず恵
  • 衣装:飯塚直子、秋場大典、福島マチ子、松田和夫
  • 編集:岡崎正弥、オダギリジョー
  • VFXスーパーバイザー:進威志
  • サウンドエフェクト:北田雅也
  • 特機:実原康之
  • 助監督:松本壇
  • 制作担当:篠宮隆浩
  • 特別協力:麒麟山酒造、新潟県フィルムコミッション協議会、田部鉄工エンジニアリング、ハチトニブンノイチ
  • 配給:キノフィルムズ木下グループ

公開

2019年8月21日、本作の完成披露試写会がスペースFS汐留で行われた[6]9月5日、第76回ヴェネツィア国際映画祭のベニス・デイズ部門で上映された[7]。9月13日に全国公開された[8]

2021年1月30日岡山県津山市の「津山国際環境映画祭」で本作が上映された。津山市は監督であるオダギリの地元。この地で仕事をするのはなかなか機会がなく、今回が初めてだったという[9]

受賞歴

  • 第56回アンタルヤ国際映画祭 最優秀作品賞[10]
  • 第39回ハワイ国際映画祭 Honorable Mention[11]
  • 第24回ケララ国際映画祭 最優秀作品賞[12]
  • 第34回高崎映画祭[13]
    • 最優秀新人女優賞(川島鈴遥)
    • ホリゾント賞(オダギリジョー)

脚注

  1. ^ “オダギリジョー長編初監督『ある船頭の話』特報&ポスター C・ドイルの撮影で日本の原風景を映す”. Real Sound (blueprint). (2019年5月15日). https://realsound.jp/movie/2019/05/post-360591.html 2019年7月26日閲覧。 
  2. ^ ある船頭の話:作品情報”. 映画.com. 2019年7月26日閲覧。
  3. ^ a b c “オダギリジョーの長編監督デビュー作に柄本明&村上虹郎、国際派スタッフが集結!”. Movie Walker (株式会社ムービーウォーカー). (2019年1月30日). https://moviewalker.jp/news/article/177561/ 2019年7月26日閲覧。 
  4. ^ “川島鈴遥、オダギリジョー長編初監督作『ある船頭の話』ヒロインに 「幸せで贅沢な時間だった」”. Real Sound (blueprint). (2019年3月10日). https://realsound.jp/movie/2019/03/post-330558.html 2019年7月26日閲覧。 
  5. ^ a b c d e “オダギリジョー監督作に伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優、細野晴臣ら9名”. 映画ナタリー (ナターシャ). (2019年6月7日). https://natalie.mu/eiga/news/334562 2019年7月26日閲覧。 
  6. ^ 映画『ある船頭の話』完成披露試写会リポート。オダギリジョー監督や柄本明らが舞台挨拶に登壇”. Cinemarche (2019年8月22日). 2019年9月26日閲覧。
  7. ^ オダギリジョー監督作に拍手 ベネチア映画祭で上映”. 朝日新聞 (2019年9月6日). 2019年9月26日閲覧。
  8. ^ 「ある船頭の話」オダギリジョー、クリストファー・ドイルとのコラボは「あと30本」”. 映画ナタリー (2019年9月13日). 2019年9月26日閲覧。
  9. ^ オダギリジョーさん「やっと津山に恩返しが」出身地・津山での映画祭で同級生の河本準一さんとトークショー 岡山”. 瀬戸内海放送 (2021年2月1日). 2022年11月17日閲覧。
  10. ^ 日本映画として初の栄冠!オダギリジョー監督『ある船頭の話』歴史ある第56回アンタルヤ国際映画祭のコンペ部門で最高賞となる最優秀作品賞を受賞!”. cinefil (2019年11月2日). 2019年11月2日閲覧。
  11. ^ HIFF39 Festival Award Winners Plus Newly Created Made in Hawai‘i HIFF Production Fund to Launch in 2020”. hiff-blog (2019年11月17日). 2019年11月17日閲覧。
  12. ^ Japanese film wins IFFK’s biggest award ‘Suvarna Chakoram’ for 2019”. the news minute (2019年12月14日). 2019年12月14日閲覧。
  13. ^ 高崎映画祭、最優秀作品賞に「嵐電」 最優秀主演男優賞は稲垣吾郎さん 授賞式は3月22日”. 毎日新聞 (2020年1月15日). 2020年1月18日閲覧。

外部リンク

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