Serial Attached SCSISerial Attached SCSI(SAS; サス)は、コンピュータにハードディスクドライブ等のストレージデバイスを接続するためのインターフェースである。SCSI規格の一種であり、それまではパラレル通信であったSCSI規格をその名の通りシリアル化したものである。 "Ultra-320 SCSI"の後継にあたる規格である。サーバとHDD、もしくはテープドライブとの接続に用いられることが主である。コンシューマ向けにはシリアルATA(SATA)の方がよく使われている。 INCITS (International Committee for Information Technology Standards)のT10技術委員会がプロトコルの開発・維持を行い、SCSITA(SCSI Trade Association)が普及活動を行っている。 経緯SCSIは当初パラレル・インターフェースであったが、2000年3月に規格が策定されたUltra-320でも16組の差動信号線を80 MHzのDDRで駆動することは難しく[注釈 1]、既にこの時点でも限界が来ていた[1]。2000年から2003年の間により高速な次世代パラレルSCSI規格を策定、製品実装、出荷することは可能ではあったが、相互接続時の安定動作に不安要素が多く、ハードウェアベンダーにとって大きなリスクであった[1]。また、もう1つのHDDインターフェース規格であったパラレルATAが同様の問題を回避するために2000年にシリアルATAへと舵を切り始めており、パラレル技術を継続する妥当性も問われた。最終的にATAと同様に太い接続コードと大きなコネクタ類から開放されて、今後高速化の余地が得あるシリアル化を模索することにした。パラレルSCSIの次の規格であった"Ultra-640"は2003年に策定されたが、あまり普及していない。 最初の仕様である"SAS-1.0"が2003年5月8日に正式に標準となり[2]、2006年頃から本格的に普及し始めている。 特徴SATAと比較して一般に高価、高信頼であり主にサーバ用途である。転送速度は4.0規格で最大2,400MB/s。通信方式が全二重である事、デュアルポートをサポートし冗長化が可能な事も高信頼な理由の一つである。また最大ケーブル長が10mまでとSATAの十倍程度と長く(ファイバーチャネルには及ばないが)、テープドライブのような筐体外にある外部ストレージと接続するのにも適している。 コネクタはInternal/External、ピン数などの仕様に応じて複数の種類があり、SFF-8xxxのように表記される(例:SFF-8086, Internal, 26ピン)。 SATAデバイスを接続できる事も特徴であり[注釈 2]、実際にSATA規格のデバイスをそのままSASコネクタに嵌合することが可能である[1]。例えばコンピュータにSASホストバスアダプタを搭載さえすれば、デバイスはSATA/SASどちらとも接続できる。これにより両者の混在環境も可能となる。ただしその逆のSATAインターフェースにSASデバイスを嵌合することは不可能である。 従来のパラレルSCSIと比べてコネクタのサイズが小さくできたため、サーバ用途で望まれていたHDDの小型化が実現できた。SCSIベースのHDDのフォームファクタが3.5から2.5インチへと主流が移行しつつある[注釈 3]。 規格SAS-1.0
SAS 2.0SAS 2.1
SAS 3.0
SAS 4.0
SAS ExpanderSAS Expander(SASエキスパンダ)はコンピュータのSASポート数以上のデバイスを接続可能にする拡張性拡大のための機能、デバイス。USBのハブのような中継デバイスである。規格上は最大1万6384台を接続できる。SAS Expanderを多重化することも可能である。 脚注・出典注釈
出典
関連項目
外部リンク |