ANOTHER GAME (アナザー・ゲーム)は、日本の音楽グループ であるP-MODEL の5枚目のスタジオ・アルバム 。
1984年 2月25日 にジャパンレコードより発売された。1989年 6月25日 にCD化された後、2007年 4月25日 にデジタルリマスタリングされ、紙ジャケット仕様で発売された。
概要
P-MODELのアルバムで唯一平沢以外のメンバーが楽曲制作に関わっておらず、この作品を境に平沢のワンマン・バンドとしての要素が強くなっていく。平沢は1989年の『CG年賀状』にて、その理由にマンドレイク 時代からのメンバーで、平沢の片腕だった田中靖美の脱退を挙げている。平沢は田中の脱退によるバンド存続の危機をなんとか乗り越えようとしたが、その結果として自身のワンマン・バンドへと変貌していった。このアルバムを製作した頃には田中はすでに脱退しているが、収録曲の殆どが田中が在籍していたころに演奏されていた曲である。
本来なら1983年 10月25日 に発売される予定だったが、収録曲である『ATOM-SIBERIA』の歌詞の一部が「差別を助長する」とレコ倫 からクレームがついた為、発売が延期された[ 1] 。
レコ倫からは歌詞カードを刷り直すだけで問題無しとの事であったが、レコード会社からは歌詞の修正を求められ、再レコーディングを行う事となった[ 2] 。この事が原因でP-MODELはジャパンレコードとの契約を解消し、翌年にアルファレコード と契約するまで『P-MODEL ANOTHER ACT』と称してソノシート を続けて発表することとなる。
1983年に配布されたパンフレット「ANOTHER PAPERS」付属のソノシートには、アルバム予告編として『Index P-0』と題された、今作の収録曲をカットアップした音源が収録されている。音源は後にボックスセット「太陽系亞種音 」にも収録されている。
田井中・菊池が参加した最後のアルバムである(田井中は「モンスター」にも参加予定だったが、発表はされなかった)。ゲスト・ミュージシャンとして突然段ボール の蔦木栄一、非Aの高田真奈美が参加している。
楽曲解説
ANOTHER GAME step1
バイオフィードバック のガイダンスが流れる。ガイダンスの声は平沢の友人が担当している[ 3] 。
「太陽系亞種音」のリミックスでは、ガイダンスの音声にフランジャーなどのエフェクトが加えられている。
HOLLAND ELEMENT
ターヘル・アナトミア から想起された楽曲。1982年 に行われたライブ「突拍子のためのLesson.2」にて披露された楽曲が元となっている。こちらは平沢が制作した自作楽器であるヘヴナイザーを用いて観客の声がサンプリングされていた。当時のライブ音源が「太陽系亞種音」に『Heavenizerのための例題 1』として収録されている。
1991年の再結成時(解凍期)にリメイクされ、「LIVEの方法 」に収録されている。
2021年、平沢がFUJI ROCK FESTIVAL に出演した際に新たな歌詞を加えて演奏された。
ATOM-SIBERIA
前述の通り、レコード版では歌詞の一部を修正し、再レコーディングしたものが収録されている。このバージョンは後に「太陽系亞種音」とコンピレーション・アルバム「Impossibles! 80's JAPANESE PUNK & NEWWAVE」に収録されている。
1989年・2007年に発売されたCD盤では歌詞修正前の音源が収録されている。以降、2015年に再発されたLP盤にも修正前の音源が収録されている。
解凍期にリメイクされ、「LIVEの方法」に収録されている。1994年のメンバー再編成時(改訂期)にもリメイクされ当時のライブで披露されている。
フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ
1982年発売のオムニバス盤「レベル・ストリート」に提供した曲のリメイク。今作収録のものはイントロがなく、脱退した田中に代わり三浦がキーボードを弾いている。
P-MODELのメンバーだった秋山勝彦 を解雇したことで一部のファンから非難を受けるようになったため、逆にファンを刺激するための解釈不可能な曲を意図して製作された。
解凍期にリメイクされ、ライブ音源が「PAUSE 」に収録されている。その後、核P-MODELでも「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ2005」としてリメイクされ、「核P-MODELライブ達成記念 」に収録されている[ 4] 。
2019年に初参加したFUJI ROCK FESTIVAL にて、ギターとレーザーハープを携えたさらなるアレンジが為された。
BIKE
ピンク・フロイド の「夜明けの口笛吹き 」に収録されている『Bike』のカバー。歌詞は正確な和訳でなく、音の似ている日本語をそのまま当てており実質替え歌である。平沢がピンク・フロイドを演奏するのはマンドレイク 時代以来となる。P-MODELのオリジナルアルバムに収録されている曲で唯一のカバー曲でもある。エレピのパートではヤマハのシンセサイザーDX7 のトイピアノが使用されている。
HARM HARMONIZER
『Bike』のアウトロがモチーフとされている。ヘヴナイザーによって当時のライブがサンプリングされている。
MOUTH TO MOUTH
プロトタイプとして、1983年頃ライブにて演奏されていた『テコドントサウルス・スーパーソニック』が存在する。
GOES ON GHOST
1984年~1985年の横川理彦 在籍時には横川の弾くバイオリンがフィーチャーされていた。横川が所属していたバンド「4-D」に因み、こちらは「4-Dバージョン」と呼ばれている。公式な音源は残されていないが、特設サイト『還弦主義8760時間』のアーカイブでライブ音源の一部が試聴できた。
後に平沢ソロ「突弦変異 」でリメイクされる。
ECHOES
「不許可曲集 」には没バージョンが収録されている。
平沢ソロの同名の曲(Sim City 収録)とは別物。ただし、どちらの曲もピンク・フロイドのオマージュである。
AWAKENING SLEEP〜αclick
アルファ波 を誘発する曲。レコード盤では溝によってエンドレス再生される仕組みになっていた。
収録曲
# タイトル 作詞 作曲 時間 1. 「ANOTHER GAME step1 」 - 平沢進 3:08 2. 「HOLLAND ELEMENT 」 平沢進 平沢進 3:37 3. 「ATOM-SIBERIA 」 平沢進 平沢進 3:49 4. 「PERSONAL PULSE 」 平沢進 平沢進 4:24 5. 「フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ (FU-RU-HE-HE-HE)」 平沢進 平沢進 2:41 6. 「BIKE 」 シド・バレット (訳詞:平沢進)シド・バレット 2:19 7. 「HARM HARMONIZER 」 - 平沢進 0:57 8. 「MOUTH TO MOUTH 」 平沢進 平沢進 2:52 9. 「FLOOR 」 平沢進 平沢進 7:05 10. 「GOES ON GHOST 」 平沢進 平沢進 4:30 11. 「ECHOES 」 平沢進 平沢進 3:44 12. 「AWAKENING SLEEP〜αclick 」 - 平沢進 5:25 合計時間:
44:30
リリース履歴
参加ミュージシャン
脚注
外部リンク
現メンバー
平沢進 (Vocal,Guitar,Synthesizer)
元メンバー
ベース キーボード ドラムス
田井中貞利 - 荒木康弘 - 藤井ヤスチカ - 上領亘 - TAINACO
P-MODEL
シングル
美術館で会った人だろ
KAMEARI POP
ミサイル
ジャングルベッドⅡ
Rocket Shoot
ASHURA CLOCK
LAYER-GREEN
オリジナル アルバム その他 アルバム 映像作品
三界の人体地図
BITMAP 1979-1992
ENDING ERROR
音楽産業廃棄物~P-MODEL OR DIE
核P-MODEL
シングル
Anti-Vistoron[Mecano Version]
Big Brother-可逆的分離態様
オリジナル アルバム その他 アルバム 映像作品
LIVE VISTORON
LIVE Parallel Kozak
HYBRID PHONON
関連項目