2020年東京オリンピックの体操競技(2020ねんとうきょうオリンピックのたいそうきょうぎ)は国際体操連盟(FIG)管轄の下で2021年7月から8月に有明体操競技場で開催された2020年東京オリンピックの体操競技である。体操競技[1]、新体操[2]、トランポリン[3]を実施する。
概要
今大会の体操では前回リオ大会同様の種目で実施される。体操競技団体は前回リオ大会まで5人まで出場が認められていたが今大会では4人に減らされた。出場権は世界選手権(体操競技、新体操、トランポリン)や各大陸選手権、ワールドカップシリーズ(体操競技(英語版)、新体操(英語版)、トランポリン)などの主要大会のポイント上位に与えられる[4][5][6][7][8]。
なお今大会の器具はセノー他、日独仏社製の器具を使用する[9]。
出場選手
体操競技
男女98名ずつの選手が出場する。1カ国からは男女6名ずつまで出場できる。
- 団体 男女12カ国から4名ずつ[5][6]。団体に出場する選手は個人にも出場する。
- 2018年世界体操競技選手権の団体(男子、女子)の上位3カ国から4名ずつ
- 1.の3カ国を除く2019年世界体操競技選手権の団体(男子、女子)の上位9カ国から4名ずつ
- 個人 個人のみに出場する選手は男女50名ずつ(団体の出場国からは2名まで、それ以外の国からは6名まで)
種目別の成績により選出された選手も、本大会では全ての個人種目に出場できる。
- 2019年世界体操競技選手権の個人総合の上位選手(男子[10][11]:12選手、女子[12][13]:20選手)
団体の出場国の選手を除く。1カ国からは1名まで。
- 2019年世界体操競技選手権の種目別の上位選手(男子:3選手×6種目、女子:3選手×4種目)
各種目8位以内の選手が対象。団体の出場国の選手と上記1.で選出された選手を除く。1選手が複数の種目の出場枠を得ることはできない。1カ国からは全種目を通じて3名まで。
- 2018年11月〜2021年6月のワールドカップシリーズ(種目別)の上位選手(男子:1選手×6種目、女子:1選手×4種目)
団体の出場枠を得た大会で団体競技に出場した選手、上記1.と2.で選出された選手を除く。1カ国からは1名まで。
この基準で選出された選手が本大会の団体に出場する場合は、この基準による出場枠を失い、次点の選手が出場枠を得る。
2020年3月〜2021年6月のワールドカップシリーズ(個人総合)の上位3カ国から1名ずつ
2019年世界体操競技選手権の団体の上位12カ国が対象。
2021年に予定されていたシュトゥットガルト、バーミンガムの両大会が中止となったことにより、オリンピック予選として不成立となったため、FIGは2019年世界選手権の団体(男子、女子)の上位3カ国に1名ずつの出場枠を与えることを発表した[14][15]。
- 2020年の大陸選手権の個人総合の上位選手・またはその選手が属する国の選手(アフリカ・アメリカ大陸・アジア・ヨーロッパ:2枠、オセアニア:1枠)
団体の出場枠を得た大会で団体競技に出場した選手、既に団体と合わせて6名分の出場枠を得ている国の選手を除く。1カ国からは1枠まで。
対象の選手が、団体の出場国の選手ではない場合はその選手、団体の出場国の選手である場合はその選手が属する国から1名が出場枠を得る。
- 開催国枠(予選で出場枠を獲得できなかった場合のみ。日本は男女いずれも団体の出場枠を獲得したため、適用されない。)と招待枠(1名ずつ)
- いずれかの基準で出場枠に空きが生じた場合は、2019年世界体操競技選手権の個人総合の成績上位者に再配分される。
日本は2018年世界選手権(ドーハ)の男子団体(萱、白井、田中、谷川、内村)が3位、2019年世界選手権(シュトゥットガルト)の女子団体(畠田、梶田、松村、杉原、寺本)が11位の成績をそれぞれ収めたため、男女いずれも団体の出場権を獲得した。また、個人枠として4.の条件で男子1枠を得たほか、3.の条件で亀山耕平(あん馬)と芦川うらら(平均台)が出場権を獲得した。日本体操協会は男子団体の代表選手として橋本大輝、萱和磨[16] 、谷川航、北園丈琉の4名と男子個人枠の代表選手として内村航平を選出した[17]。また、女子団体の代表選手には村上茉愛、畠田瞳、平岩優奈、杉原愛子の4名が選出された[18]。
新体操
団体70名、個人26名、計96名の女性選手が出場する。
- 団体 女子のみ14か国から5名ずつ[5][7]
- 2018年世界新体操選手権の団体総合の上位3カ国から5名ずつ
- 1.の3カ国を除く2019年世界新体操選手権の団体総合の上位5カ国から5名ずつ
- 2020年の大陸選手権の団体総合の上位1カ国から5名ずつ(アフリカ・アメリカ大陸・アジア・ヨーロッパ・オセアニア)
- 開催国枠(予選で団体の出場枠を獲得できなかった場合のみ。日本は世界選手権で出場枠を獲得したため、適用されない。)
- いずれかの基準で出場枠に空きが生じた場合は、2019年世界新体操選手権の団体総合の成績上位国に再配分される。
- 個人 女子のみ26名(1カ国からは2名まで)
- 2019年世界新体操選手権の個人総合の上位16選手が属する国から1名ずつ
1カ国からは2名まで。(元々、世界選手権の決勝には1カ国2名までしか出場できない。)
- 2020年10月〜2021年6月のワールドカップシリーズ(個人総合)の上位3選手
上記1.で2名の出場枠を得ている国の選手を除く。1カ国からは1名まで。
対象の選手が、上記1.で1名の出場枠を得ている国の選手の場合は、その選手が属する国から1名が出場枠を得る。
- 2020年の大陸選手権の個人総合の上位1選手(アフリカ・アメリカ大陸・アジア・ヨーロッパ・オセアニア)
上記1.と2.で出場枠を得ている国の選手を除く。
- 開催国枠(予選で個人の出場枠を獲得できなかった場合のみ。日本は世界選手権で出場枠を獲得したため、適用されない。)と招待枠(1名ずつ)
- いずれかの基準で出場枠に空きが生じた場合は、2019年世界新体操選手権の個人総合の成績上位者に再配分される。
日本は2019年世界選手権(バクー)の女子団体(松原、熨斗谷、杉本、横田、鈴木、竹中)が2位の成績を収め、自力で団体の出場権を獲得した。また、個人総合では皆川夏穂が13位となり1.の条件による個人戦の出場枠を確保したほか、2.の条件でも大岩千未来が出場枠を獲得したため2名の選手が出場する。2021年7月、日本体操協会は団体の代表選手として杉本早裕吏、竹中七海、横田葵子、熨斗谷さくら、鈴木歩佳の5名を発表した[19]。また、個人の代表選手には代表選考会の結果、喜田純鈴、大岩千未来の2名に決まった[20]。
トランポリン
- 個人 男女16名ずつ(1カ国からは男女2名ずつまで)[5][8]
- 2019年世界トランポリン競技選手権[21][22]の8位までの選手が属する国から1名ずつ
1カ国からは1名まで。
- 2020年の大陸選手権の1位の選手が属する国から1名ずつ(アフリカ・アメリカ大陸・アジア・ヨーロッパ・オセアニア)
上記1.で出場枠を得ている国を除く。
- 2019-2020ワールドカップシリーズの上位選手が属する国から1名ずつ(上記1.と2.と合わせて14名となるまで選考する。)
1カ国からは1名まで。上記1.で出場枠を得た国のうち、最大4カ国まで2枠目を得ることができる。
- 開催国枠(予選で個人の出場枠を獲得できなかった場合のみ。日本は男女いずれも世界選手権で出場枠を獲得したため、適用されない。)と招待枠(男女いずれか1名)
- 上記4.で出場枠に空きが生じた場合は、2019年世界トランポリン競技選手権の成績上位者[23][24]に再配分される。
日本からは2019年世界選手権(有明)にて森ひかるが優勝、堺亮介が5位となり出場枠を獲得し、いずれも代表にも内定した[25][26]ほか、3.の条件でも宇山芽紅、岸大貴が男女1名ずつの出場枠を獲得し、日本体操協会の選考基準により、それぞれ代表選手に内定した[27]。
競技日程
[28]
体操競技
[29]
種目\日時 |
7月24日 |
7月25日 |
7月26日 |
7月27日 |
7月28日 |
7月29日 |
7月30日 |
7月31日 |
8月1日 |
8月2日 |
8月3日 |
8月4日
|
男子団体
|
予 |
|
決 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
男子個人総合 |
|
|
|
決 |
|
|
|
|
|
|
|
男子ゆか |
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
|
|
男子跳馬 |
|
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
|
男子平行棒 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
男子鉄棒 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
男子あん馬 |
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
|
|
男子つり輪 |
|
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
|
女子団体 |
|
予 |
|
決 |
|
|
|
|
|
|
|
|
女子個人総合 |
|
|
|
|
決 |
|
|
|
|
|
|
女子ゆか |
|
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
|
女子跳馬 |
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
|
|
女子段違い平行棒 |
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
|
|
女子平均台 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
決 |
|
ガーラ(エキシビション) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
Ex
|
新体操
[30]
種目\日時 |
8月6日 |
8月7日 |
8月8日
|
女子団体 |
|
予 |
決
|
女子個人 |
予 |
決 |
|
トランポリン
[31]
種目\日時 |
7月30日 |
7月31日
|
男子個人 |
|
予 |
決
|
女子個人 |
予 |
決 |
|
参加国
競技形式
体操競技
最初に全種目共通の予選を行い、団体総合では上位8カ国、個人総合では上位24名、種目別では上位8名が決勝に進出する。ただし、個人総合と種目別では1カ国からは2名までしか決勝には出場できない。団体総合では最大4名が演技を行い、上位3名の成績を合算する。種目別跳馬の決勝に出場を希望する選手は予選でも2回演技を行い、その平均点により決勝進出者が決定する。なお、2回演技を行った場合も、団体総合と個人総合の予選としては1回目の成績のみがカウントされる。団体総合、個人総合の成績が並んだ場合は、最も成績の悪い種目を除いた成績により優劣が決定される。種目別の成績が並んだ場合は、Eスコアの高い選手が上位となる。(2回演技を行う跳馬のみ、2回のうち良い方の成績の優劣が優先される)
新体操
5人が同時に演技する団体は5ボール、3フープ+2クラブの2種目、個人総合はフープ、ボール、クラブ、リボンの4種目が行われる。予選の上位8カ国(団体)、上位10名(個人総合)が決勝に進出する。
トランポリン
予選では2回ずつ演技を行い、合計得点上位8名が決勝に進出する。決勝では1回ずつ演技を行う。
競技結果
体操競技
男子
女子
新体操
トランポリン
国・地域別のメダル獲得数
順
|
国・地域
|
金
|
銀
|
銅
|
計
|
1 |
中国 (CHN) |
4 |
5 |
2 |
11
|
2 |
ROC (ROC) |
2 |
4 |
4 |
10
|
3 |
アメリカ合衆国 (USA) |
2 |
2 |
2 |
6
|
4 |
日本 (JPN)(開催国) |
2 |
1 |
2 |
5
|
5 |
イスラエル (ISR) |
2 |
0 |
0 |
2
|
6 |
ブラジル (BRA) |
1 |
1 |
0 |
2
|
7 |
イギリス (GBR) |
1 |
0 |
2 |
3
|
8 |
ベラルーシ (BLR) |
1 |
0 |
1 |
2
|
韓国 (KOR) |
1 |
0 |
1 |
2
|
10 |
ベルギー (BEL) |
1 |
0 |
0 |
1
|
ブルガリア (BUL) |
1 |
0 |
0 |
1
|
12 |
イタリア (ITA) |
0 |
1 |
1 |
2
|
13 |
クロアチア (CRO) |
0 |
1 |
0 |
1
|
スペイン (ESP) |
0 |
1 |
0 |
1
|
ドイツ (GER) |
0 |
1 |
0 |
1
|
チャイニーズタイペイ (TPE) |
0 |
1 |
0 |
1
|
17 |
アルメニア (ARM) |
0 |
0 |
1 |
1
|
ギリシャ (GRE) |
0 |
0 |
1 |
1
|
ニュージーランド (NZL) |
0 |
0 |
1 |
1
|
トルコ (TUR) |
0 |
0 |
1 |
1
|
合計 |
18 |
18 |
19 |
55
|
備考
脚注
注釈
- ^ 1種目めの跳馬の演技を終えた後、メンタルヘルスを理由として棄権[50][51]。
- ^ 2人のDスコアもEスコアも同点なので、2人ともに銅メダルが授与された[62][63]。
出典
外部リンク