過去を逃れて
『過去を逃れて』(かこをのがれて、原題: Out of the Past)は、ジャック・ターナー監督による1947年のアメリカ合衆国のフィルム・ノワール。 あらすじブリッジポートにて恋人のアン(ヴァージニア・ヒューストン)と暮らすジェフ(ロバート・ミッチャム)は、ガス・ステーションを経営している。2人のもとを、ウィット(カーク・ダグラス)の右腕のジョー(ポール・ヴァレンタイン)が訪ねてくる。ウィットが待っているタホ湖へ向かう道中、ジェフは、これまで隠していたウィットとの過去をアンに語り始める。 ジェフは、ニューヨークで相棒のフィッシャー(スティーヴ・ブロディ)とともに私立探偵の職に就いていた。ウィットは、40,000ドルを盗んで行方をくらませた恋人のキャシー(ジェーン・グリア)を探してほしいとジェフに依頼する。依頼を引き受けたジェフは、アカプルコでキャシーを見つける。やがて2人は恋に落ちる。ジェフが自らの身分を明かしたところ、キャシーは40,000ドルを盗んでいないと主張する。キャシーはジェフに一緒に逃げようと懇願する。 サンフランシスコに逃げたジェフとキャシーは、目立たないように暮らしていた。そんな2人のもとをフィッシャーが訪ねてきて、口止め料として金銭を要求する。ジェフとフィッシャーのあいだで格闘が繰り広げられた末、キャシーがフィッシャーを撃ち、車で走り去ってしまう。ジェフの手元には、40,000ドルの預金が入ったキャシーの通帳が残された。 アンに過去を話し終えたジェフは、ウィットの屋敷に入る。そこにはキャシーの姿もあり、ジェフを驚かせる。ウィットは新たな仕事をジェフに持ちかけるが、罠を察知したジェフは依頼を拒み、ブリッジポートに戻る。注、実際は断らずに依頼を引き受ける。キャシーはジョーに、ジェフの助手のキッド(ディッキー・ムーア)を尾行させる。キッドがジェフの隠れ家に着いたところで、ジョーはジェフを撃とうするが、キッドに阻止される。ジョーは転倒し、命を落とす。 ウィットの屋敷を訪れたジェフは、キャシーの裏切りとジョーの死を彼に伝え、取引を持ちかける。それは、ジョーの死を自殺として処理する一方、キャシーをフィッシャー殺しの罪で警察に引き渡す、というものであった。ウィットはジェフの取引に応じるが、その後、キャシーに射殺される。キャシーは、すべての殺人の罪をかぶるか、自分と一緒に逃げるか、どちらかを選ぶようジェフに要求する。ジェフはキャシーと一緒に逃げることを選ぶが、密かに警察に電話をかける。警察の待ち伏せによりジェフの裏切りに気づいたキャシーは、ジェフを撃つ。警察が一斉に発砲し、2人を乗せた車は衝突する。車中のジェフとキャシーは命を落とす。 ジェフの葬式のあと、アンはキッドに、ジェフは本当にキャシーと逃げようとしていたのか、と尋ねる。キッドは首を縦に振る。その答えを聞いたアンは、ジム(リチャード・ウェッブ)の車に乗り、去って行く。キッドは、ジェフの名前が彫られたガス・ステーションの看板を見上げると、静かに微笑み、うなずくのだった。 キャスト※括弧内は日本語吹替(テレビ版)
評価Rotten Tomatoesでは、32件のレヴューで平均値は8.9点、支持率は97%だった[1]。 『Chicago Tribune』のマイケル・ウィルミントンは、本作を「裏切りと宿命を描いた叙情的なスリラー」と評している[2]。『The Guardian』のフィリップ・フレンチは、「冒頭のシークエンスでアーネスト・ヘミングウェイ著の『殺し屋』を引いている本作は、デヴィッド・クローネンバーグ監督の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に大きな影響を与えている」と指摘した[3]。『PopMatters』のマイケル・バレットは、「本作はアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、フィルム・ノワールの典型、ハリウッドの古典として安置されている」と述べた[4]。 2015年、『Indiewire』にて「ロバート・ミッチャムの10本の必見の映画」の1本に選ばれた[5]。 リメイク1984年、ジェフ・ブリッジス、レイチェル・ウォード主演で、『Against All Odds』(邦題『カリブの熱い夜』)としてリメイクされた。 脚注
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