Share to: share facebook share twitter share wa share telegram print page

 

真神

真神(まかみ[1]、まがみ[1]、しんじん[2])は、(ニホンオオカミ)の古名異名[1][2]、「まこと」「正しい神」を指す言葉[2]。「大口真神(おおくちのまがみ、おおぐちまかみ)」「御神犬」とも呼ばれる。

概要

日本に生息していた狼(ニホンオオカミ)が神格化されたもの。真神は古来、聖獣として崇拝されてきた。また、鹿から作物を守護するものとされた。人語を理解し、人間性質を見分ける力を有し、善人を守護し、悪人するものと信仰された。また、厄除け、特に火難盗難から守る力が強いとされ、絵馬などにも描かれてきた。

大和国(現在の奈良県)にある飛鳥の真神原の老狼は、大勢の人間を食べてきたため、その獰猛さから神格化された[3]。『万葉集』巻八には「大口の まかみの原に ふる雪は いたくなふりそ 家もあらなくに」(舎人娘子)と記され、少なくとも(大和国風土記の逸文と合わせ)8世紀からみられる。この「大口の真神原」には後に飛鳥衣縫造祖樹葉(あすかきぬぬいのみやつこ の おや このは)の邸宅があったとされ、用明天皇の代に蘇我馬子が寺の建立を発願、崇峻天皇の代に館を廃し法興寺(後の飛鳥寺)の造営が始まったとされる。

現在も埼玉県秩父地方の神社を中心に、狼が描かれた神札(お札)が頒布され、信仰を集めている[4]。このすぐ南の武蔵御岳山上の武蔵御嶽神社には『日本書紀』の記述に基づく「おいぬ様」(または「お犬さま」)の伝説があり、日本武尊の東征の折、邪神が大鹿の姿で現れたのを野蒜で退治したが、その時に大山鳴動して霧に巻かれて道に迷ったのを、そこに忽然と白いが表れて道案内をして、無事に日本武尊軍を導いたので、尊は「大口真神としてそこに留まるように。」といったという。大口真神は江戸時代天保年間ころより盗難除け・魔物除けとしての信仰が盛んになり、本殿のおいぬ様の狛犬はブロンズ製(1807年の作)で、本殿前の像は北村西望の作(1985年奉納)である。[5]

脚注

  1. ^ a b c 松村 2020, p. 真神.
  2. ^ a b c 小学館 2020, p. 真神.
  3. ^ 大和国風土記逸文(『枕詞燭明抄(中)』)に記述され、「大口の真神原」という地名説話として語られ、飛鳥大仏辺りの古称で『万葉集』にも見られる。『風土記 日本古典文学大系2』 岩波書店 14刷1971年(1刷1958年) p.421の脚注。
  4. ^ お札になったオオカミ
  5. ^ 山に棲むオオカミへ、畏敬の念(武蔵御嶽神社)

参照文献

  • 小学館「真神」『精選版 日本国語大辞典』小学館・コトバンク、2020年。  精選版 日本国語大辞典『真神』 - コトバンク
  • 松村, 明「真神」『デジタル大辞泉』小学館・コトバンク、2020年。  デジタル大辞泉『真神』 - コトバンク

関連項目

  • 三峯神社 - (埼玉県秩父郡大滝村三峰)大口真神を祀る
  • 山住神社 - (静岡県浜松市天竜区水窪町山住)大口真神を祀る
  • 大川神社 - (京都府舞鶴市大川) 大口真神を祀る 
  • 釜山神社 - (埼玉県大里郡寄居町)大口真神を祀る
  • 武蔵御嶽神社 - (東京都青梅市御岳山)大口真神を祀る

外部リンク

Kembali kehalaman sebelumnya