犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律
犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(はんざいひがいしゃとうきゅうふきんのしきゅうとうによるはんざいひがいしゃとうのしえんにかんするほうりつ)は、犯罪被害者給付金に関する措置を定めた日本の法律である。平成20年改正以降は「犯罪被害者支援法」と略す。1980年5月1日に公布された。 制定当時の題名は「犯罪被害者等給付金支給法」であり、平成13年(2001年)7月1日の改正[1]で題名が「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」に改題され、更に平成20年(2008年)7月1日の改正[2]で現行の題名に改題された。 制定の経緯及び適用昭和42年(1967年)、横浜市を中心に結成されていた「殺人犯罪の撲滅を推進する会」(代表:市瀬朝一)と京都市を中心に結成されていた「被害者補償制度を促進する会」(代表:大谷実)が合流。全国組織「被害者補償制度を促進する会」として[3]、国に被害者補償に関する法律の作成を働きかけを始めた[4][5]。そして、昭和49年(1974年)の三菱重工爆破事件をきっかけ[6]に昭和55年(1980年)に制定され、昭和56年1月1日から施行された。 犯罪被害者等給付制度は、昭和56年1月16日、その実施第1号として、群馬県桐生市でおきた幼児殺人事件に適用され、群馬県公安委員会で、遺族からだされた給付金支給申請をうけて、適用資格の審査の結果、被害者に犯罪につながるような原因がなかったことから、給付金の支給がすんなりと決まった。被害者が幼児で労働などによる収入がなく、この幼児によって生計をたてている者もないことから、20歳以下の子どものクラスのうち、最低額に当る2,500円に、生計をたてている者がいない場合の、乗率千位をかけて、支給金220万円とした。 犯罪被害者への給付金支給の申請は、1月3日大阪淀川にて起きた飲食店での客同士の傷害事件をはじめ、これまでに六件の申請がなされていた。桐生事件はこの中で最も新しいものだったが、被害者にまったく落ち度がなかったことで、同制度の施行で最初に決ったものである。 給付金額遺族給付金が320万~2964万5000円、医療費などを支給する重傷病給付金が上限120万円、障害が残った被害者への障害給付金が18万~3974万4000円。2022年度は、遺族給付金は被害者1人あたり平均支給額が743万円[7]。 2023年度は、143件、計約10億1000万円の支給が決定された。平均支給額は約707万円、最高額は約2590万円[8]。 問題点同法は、以下に挙げる問題点が残っており、被害者や遺族らから改善を求める声が上がっている[9][10]。
このうち、2については、2016年(平成28年)11月30日から施行された国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律に基づき、海外での犯罪行為により死亡した日本国民の遺族や重障害が残った日本国民に国外犯罪被害弔慰金や国外犯罪被害障害見舞金が支給されることとなった。ただ、障害見舞金の支給の条件が「両眼の失明」や「両下肢を膝関節以上で失う」などと厳しく、また支給される額も100万円と少額であるなど、なお問題点が残っている[11]。 また、7については、2021年に兵庫県稲美町で小学生の兄弟が叔父により殺害され放火された事件で、兄弟の両親が兵庫県公安委員会を相手取り、加害者が親族であるだけの理由で給付金を減額するのは違憲であるとして、2024年6月18日に神戸地方裁判所に提訴している[12]。 脚注
関連文献
関連項目 |