海老名市立図書館
海老名市立図書館(えびなしりつとしょかん)は、神奈川県海老名市にある公立図書館。 概要市の北寄りに中央図書館、南に有馬図書館をもち、その他、市内数箇所に予約資料受け取りや資料返却のできるコーナーが設けられている。2011年から図書館2館の運営業務を図書館流通センター (TRC) に委託。2014年からは指定管理者制度による運営を開始、カルチュア・コンビニエンス・クラブ (CCC) および TRC の共同事業体が指定管理者となっている。2015年には中央図書館がフロア規模を拡大し、書店やカフェを併設して改装オープンした。いわゆる「TSUTAYA図書館」としては武雄市図書館・歴史資料館に次ぐ2例目となった。 歴史
有馬村による図書館の設置1928年(昭和3年)8月31日、高座郡有馬村は「図書館設定ノ件」を提出し昭和大典記念事業の一環として、村立の「有馬図書館」を設置することを決定した。同日発せられた「公立図書館設置ノ義ニ付稟請」に対して、神奈川県は9月8日に有馬村立図書館の設置を認可。11月20日に有馬尋常高等小学校の校舎内に有馬村立図書館が開館した[5][注 1]。 自動車文庫(移動図書館)に関する動き現在の海老名市域における移動図書館の運行は、明治時代まで遡ることができる。明治後期になり社会教育が重視される中で、高座郡役所は郡内の小学校19校を巡回する高座郡巡回文庫を設置。当地域では有馬・海老名の各小学校にて開庫した[7]。 1958年(昭和33年)11月、海老名町文化協会は神奈川県立図書館自動車文庫へ加入し、配本を受け始めた。 2015年(平成27年)9月30日の運行をもって自動車文庫の運行は終了した。 オンライン化の動き2001年(平成13年)9月、OPAC(オンライン蔵書目録)が公開されインターネットからの蔵書検索が可能となる[8]。2002年(平成14年)10月18日には神奈川県図書館協会が県内の公共図書館OPACを一括検索サイトを公開。海老名市立図書館など13館が参加し横断検索サービスも始まった[9][10](のちに計15館が参加[11]。)。 民間委託とリニューアル2010年6月、プロポーザル方式により図書館運営業務委託の業者を選定し、2011年4月1日から、中央と有馬の2館の図書館運営業務を図書館流通センター (TRC) に委託を開始した。 2013年4月、海老名市の図書館条例を改正して指定管理者制度を導入[12]。7月25日から指定管理者の公募を開始した[13]。公募内容には提案によっては営利事業も認める旨の条項が示されていた[13]。応募してきたのは、武雄市図書館・歴史資料館の指定管理者として知られていたカルチュア・コンビニエンス・クラブ (CCC) とTRCの共同事業体のみであり[14]、同年12月、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と図書館流通センター(TRC)の共同事業体を指定管理者として指定し[注 2][15][16][17]、翌2014年3月、海老名市立図書館の管理運営に関する基本協定が締結された[18]。 2014年4月1日、CCC・TRC共同体は、海老名市立図書館の指定管理者として運営を開始した。これ以降、両図書館の開館時間を延長し、中央図書館は原則年中無休、有馬図書館には学校図書室支援センターを併設して学校図書室の活用を支援することになった[17][19]。 中央図書館は長期休館して改修工事を行い[注 3]、2015年10月1日に改装開館した。改装以前は1階と2階のみが図書館フロアであったが、地下1階から地上4階までが図書館スペースとなり[注 4]、1階には蔦屋書店とカフェを併設[21]、4階は改装によりキッズライブラリーが設置された[22]。 CCCによる運営の問題海老名市図書館の改装開館の数か月前から、CCCが運営している武雄市図書館・歴史資料館において中古図書や、地元から遠く離れた地方のグルメ本が購入されていると話題になった。当時の海老名市教育委員会委員長はこの件について、開館に際し新規購入する9千冊程度の図書は、内容が適切なものであるかどうか精査するとコメントした[23]。開館の2日前にあたる9月30日には、精査を完了したという報道がなされた[24]。 しかし、改装オープン直後の2015年10月、新規購入した書籍の中に『タイバンコク夜遊び地図』等タイの風俗店ガイドブック3冊が含まれていたことが外部からの指摘で判明した[25]。海老名市教育委員会は10月5日にこれらの本の貸出を中止することを決め、CCCに中止を命じた[25]。 また、これとは別に蔵書検索の不具合を指摘する声が上がった[26]。日本の公共図書館の多くは日本十進分類法を使用しているが、海老名市立図書館では独自の分類を採用している[27]。たとえば、三島由紀夫の小説『金閣寺』が国内旅行[27]、東野圭吾の小説『手紙』が手紙の書き方[27]、旧約聖書の『出エジプト記』が海外旅行[26]、漢詩やイザベラ・バードの『中国奥地紀行』が日本の中国地方[26] となっており、一部は批判を受けて後に修正している。書名だけで機械的に分類したものとみられている[26][27]。 2015年10月下旬、TRCがCCCとの協力関係解消を検討していると報じられた[28][29][注 5][注 6]が、海老名市立図書館に関しては2019年3月の契約満了までCCCとTRCの共同企業体で運営を続けることが市長の定例記者会見で発表された[32]。 2015年12月24日から図書館サイトにて掲載したイベント情報「新春 お正月むかし遊び」にて、他サイトからの写真・文章の盗用が発覚、写真はクレジット表記を消した上で流用していた。その後、削除され図書館サイトに謝罪文が公開された[33][34][35][36][37][38]。 年表(特記のない限り『図書館年報 平成25年度版』「図書館のあゆみ」[18] による)
中央図書館
国分寺関係資料コーナー1985年の新館開館により利用実績を伸ばした市立図書館は「地域の特長ある資料の提供が必要」と考え、郷土資料・行政資料の収集を徹底した。さらに、海老名に相模国分寺跡があることを活かし、全国各地の国分寺(および国分尼寺)に関する資料を収集・整理した。4年半に及ぶ準備期間を経て、1990年11月1日、中央図書館2階の参考資料室の一角に「国分寺関係資料コーナー」が開設・常置された。これらの成果は『国分寺関係資料目録』として刊行された[6][60]。 有馬図書館
門沢橋コミュニティセンターに併設[62]。 サービスポイント返却カウンター
屋外返却ポスト
刊行物定期刊行物は以下のとおり[63]。
この他、全国の国分寺関係の資料をまとめた『国分寺関係資料目録』(詳細は「#国分寺関係資料コーナー」節を参照)などがある。 広域利用図書館が市の直営であった時代には、県央地区(相模原市、秦野市、厚木市、大和市、伊勢原市、座間市、綾瀬市、愛川町、清川村)内のみ、他市でもカードを作って図書を借りることができた。指定管理者移行後は、区域外でも、カードを作ることができるようになった[65]。 参考文献
関連項目
脚注注釈
出典
外部リンク
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