平山 三郎(ひらやま さぶろう、1917年(大正6年)11月20日[1] - 2000年(平成12年)3月24日)は、東京出身の作家。
経歴
東京府東京市牛込区(現・東京都新宿区)に生まれる。1932年(昭和7年)鉄道省東京鉄道局に就職した。戦後も日本国有鉄道の機関紙『國鐵』の編纂に従事しながら法政大学文学部を卒業した。大学時代は授業料を内田百閒に肩代わりしてもらっていた。
内田百閒の教え子として知られ、夏目漱石の流れを汲む作家でもある。その生涯を通して、内田百閒の身辺の叙述・研究に当たった。
百閒の代表作『阿房列車』シリーズにおいては、百閒の旅のお供をする「ヒマラヤ山系」として登場している。対して平山は百閒を「四ッ谷の先生」と呼んでいた[2]。師の没後は『内田百閒全集』編さん、作品の文庫再刊の校訂解説を生涯行った。
百閒が娘の名付け親になるなど、家族ぐるみの付き合いであった。その長女は世田谷区池尻でおでん屋を経営(2018年に閉店)した。
百閒に師事した作家の中村武志(国鉄職員で、著作権管理者)が、平山の国鉄在勤時代に上司だった時期もあった。
2000年3月24日、心不全のため死去[1]。
主な著書
- 『小説集 流れ』(交通日本社)
- 『夜の周邊』(三笠書房)
- 『實歴 阿房列車先生』(朝日新聞社)、のち旺文社文庫、中公文庫(2018年)
- 『百鬼園先生雜記帖』(三笠書房)、新編版・中公文庫(2020年)
- 『詩琴酒の人 百鬼園物語』(小澤書店)、のち新版
- 『わが百鬼園先生』(六興出版)
- 『阿房列車物語 百鬼園回想』(論創社)[3]
- 『百鬼園の猫』(胡桃書房、限定豆本)
- 『『冥途』の周邊』(書肆ひやね、限定本)
- 『百鬼園と風船畫伯』(朝昼晩社、限定豆本)
- 『内田百閒の本』(正・続、日本古書通信社、限定豆本)
- 編『回想 内田百閒』(津軽書房)、新版「回想の百鬼園先生」旺文社文庫
- 編『百鬼園先生よもやま話』(旺文社文庫)
- 編『百鬼園の手紙』(旺文社文庫)
- 編『百鬼園日記帖』(論創社)
- 編『内田百閒集 現代の随想』彌生書房、新版「内田百閒随筆集」平凡社ライブラリー(2021年)
脚注
- ^ a b 『現代物故者事典2000~2002』(日外アソシエーツ、2003年)p.517
- ^ 当時の百閒の自宅の所在地は四ツ谷駅・市ケ谷駅からほぼ等距離にあったが,平山としては四ツ谷駅からのほうが便利だったことから「四ッ谷の先生」と言うようになった。後になって百閒の気に障ったようだが、結局うやむやになっている。
- ^ 再刊された『實歴 阿房列車先生』と『百鬼園先生雜記帖』が、師の生前に刊行、他は没後刊行。