『坩堝の電圧』(るつぼのぼるつ) は、くるりの10枚目のオリジナル・アルバム。2012年9月19日にSPEEDSTAR RECORDSから発売された。
概要
オリジナルアルバムとしては前作『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』より2年ぶりのアルバム。吉田省念、ファンファン加入後初のアルバムとなった。
収録曲は全19曲とくるりのオリジナルアルバム史上最多収録曲数、最長収録時間である。またくるり史上初めて、メンバー全員がメインボーカルを担当する楽曲が収録されている。
2012年2月から韓国・日本にてレコーディングが行われた。その間に行われたツアーにて、本作収録曲が先行披露された。
本作はCD+DVD+写真集の初回盤A、CD+DVDの初回盤B、CDのみの通常盤3形態での発売となった。くるりの作品で3形態以上での作品発表は初めてである。初回盤Aには、写真家・奥山由之によるツアー密着の写真集「電圧の坩堝(ぼるつのるつぼ)」(全120P)が付いている。また、DVDには先行シングル「everybody feels the same」、本作リードトラックである「chili pepper japonês」のPVが収録されている。
発売に際し、公式サイトの岸田日記では、岸田による全曲解説が行われた。
収録曲
全作詞・作曲:岸田繁(特記以外)
- white out (heavy metal) ホワイト・アウト (4:24)
(作曲:くるり)
- chili pepper japonês チリペッパー・ヤポネス (1:19)
(作曲:くるり)
- 本作のリードトラック。PVが制作された。PVにはテレビ朝日系『タモリ倶楽部』の1コーナー「空耳アワー」のVTRでおなじみの及川達郎、有田久徳、中山裕介、野田美弘が出演している。
- くるり史上最速BPMの楽曲である。
- everybody feels the same フィール・ザ・セイム (3:45)
(作詞:くるり)
- 先行シングル曲。
- taurus タウラス (3:37)
(作曲:岸田繁・ファンファン)
- pluto プルートゥ (0:57)
(作曲:くるり)
- 次曲の中で使われているいくつかのトラックを逆再生したものに、オーバーダブとエフェクトを施したもの[1]。
- crab,reactor,future 蟹と原子炉の未来 (2:56)
(作曲:岸田繁・吉田省念)
- dog ドッグ (3:34)
(作詞・作曲:吉田省念)
- 吉田の手による楽曲。リードボーカルも吉田が担当している。
- soma 相馬 (4:49)
- o.A.o 咲く花は夢のよう (5:05)
(作曲:くるり)
- 先行シングル『everybody feels the same』カップリング曲。大鵬薬品「チオビタドリンク」CMソング。
- argentina アルゼンチン (4:54)
- 岸田曰く「今作の中でも、随一のふざけた曲」[2]。歌詞が完成した時点で「ふざけよう」というコンセプトが決定したという。
- 冒頭のナレーションはファンファンが担当。標準語アクセントがうまくいかず何度もやり直した。
- falling フォーリング (2:38)
(作曲:岸田繁・吉田省念)
- dancing shoes ダンシング・シューズ (2:32)
- サポートドラマーのあらきゆうこの、「マイナー・キーで速い曲がやりたい」というリクエストに応える形で作られた楽曲[3]。
- china dress 私を見つけた (2:53)
(作詞:沈静)
- 全北京語詞の楽曲。本作中最も古い楽曲で、2004年には既に存在していた。当初はダンスナンバーであったが、オリエンタルなメロディーなので中国語の歌詞を乗せようと、北京のバンド友達に作詞を依頼したという[3]。
- メインボーカルはファンファンが担当。彼女が大学時代に中国語を履修していたことからボーカルをとることに。
- my sunrise マイ・サンライズ (3:36)
- 先行シングル「everybody feels the same」カップリング曲
- bumblebee バンブルビー (3:52)
(作曲:くるり)
- タイトルの「バンブルビー」とはクマバチの意味。
- jumbo ジャンボ (4:20)
(作詞・作曲:佐藤征史)
- 佐藤の手による楽曲。メインボーカル・ギターソロも佐藤が担当している。
- 沈丁花 (5:23)
- のぞみ1号 (4:20)
- glory days グローリー・デイズ (7:24)
- 本作のリードトラックの1曲で、PVが制作されている。PVは「ばらの花」と同じロケ地である、福島県いわき市の薄磯海岸にて撮影された。
- 終盤に「everybody feels the same」「ばらの花」「ロックンロール」「東京」の一節が歌われている。
演奏
- 岸田繁
- Lead Vocal (#1-6.8-12.14.15.17.18.19)
- Harmony (#1.3-7.9.10.11.12.14.15.16)
- Guitar (#1.2.4-12.14.15.17.18.19)
- Effects (#1.5.11.15)
- Rhythm Guitar (#3)
- Bouzouki (#4.6.10.14)
- Percussion (#5)
- Handclap (#6.10)
- Organ (#9.16)
- Hapi Drum (#9)
- Cowbell (#11)
- Tambourine (#15)
- Programming (#16)
- Blues Harp (#19)
- 佐藤征史
- Bass Guitar (#1-7.9.10.11.12.14.15.16.19)
- Background Vocal (#2.3.15.19)
- Crab Sound & Harmony (#5.6)
- Percussion (#5.7.16)
- Handclap (#6.10)
- Fretless Bass (#8.18)
- Lead Vocal & Lead Guitar (#16)
- 吉田省念
- Guitar (#1.2.5.6.7.9.11.14.16)
- Cello (#1.2.4.5.6.9.10.14.17.18.19)
- Background Vocal (#1.2.3.9.11.15.19)
- Lead Guitar (#3.8.10.12.15.19)
- Percussion (#5)
- Harmony (#5.6.10.16)
- Handclap (#6.10)
- Lead Vocal (#7)
- Banjo (#10.14)
- ファンファン
- Horn Section (#1.5.6.15.19)
- Background Vocal (#1.2.3.4.9.12.14.15.19)
- Trumpet Solo (#2.3.4.7.8.10.11.14.16)
- Piano (#4.9)
- Percussion (#5)
- Handclap (#6.10)
- Announcement & Harmony (#10)
- Screaming (#11)
- Diva (#13)
- あらきゆうこ
- Drums (#1-12.14.15.16.19)
- Percussion (#1.2.8.10.11.14)
- Background Vocal (#3)
- Tambourine (#6)
- BOBO
- Percussion (#1.4.9.19)
- Tambourine (#3.12)
- Background Vocal (#3.15)
- Harmony & Handclap (#10)
- 堀江博久
- Organ (#3.10.19)
- Piano (#7.8.13.18)
- Clavinet (#15)
- 小山田壮平&藤原寛 (andymori)、宮崎洋一、前田洋介、古賀健一、土岐彩香、BEAK HEE SUNG, KIM SANG HYUK, KEON SUN WOOK, JUNG YOUNG EUN, HWANG HO YOUNG, VATA:Background Vocal (#3)
- 高田漣:Pedal Steel (#8)
出典
- ^ 岸田日記 2012年9月7日分
- ^ 岸田日記 2012年9月13日分
- ^ a b 岸田日記 2012年9月14日分
外部リンク