『伏 鉄砲娘の捕物帳』(ふせ てっぽうむすめのとりものちょう)は、2012年10月20日公開の日本のアニメーション映画。文藝春秋創立90周年記念作品。
概要
桜庭一樹の小説『伏 贋作・里見八犬伝』が原作。監督は『千と千尋の神隠し』で監督助手を務めた宮地昌幸、脚本に『コードギアス 反逆のルルーシュ』の大河内一楼、ビジュアルイメージに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』でデザインワークスを手掛けたokama、人物設計に『カウボーイビバップ』で原画を手掛けた橋本誠一、音楽に『鋼の錬金術師』の大島ミチルなど。
落語家の桂歌丸はテレビアニメ『落語天女おゆい』で本人役の声優を務めたことがあるが、アニメ映画の声優を務めるのは今作が初となる[1]。また、文藝春秋がアニメ製作の幹事会社になるのは今作が初となる[2]。
ストーリー
江戸の世。「伏」と呼ばれる半人半犬の者たちの暗躍が耳目を集めていた。人の生魂をとって食らうという彼らに、幕府は高額の懸賞金をかけ、それを狙う者の追撃も後を絶たなかった。
伏を討ち捕え浪人暮らしを脱しようと考えた男道節は、陸奥の山奥で猟師をしている妹浜路を江戸に招く。人並み外れた腕を持つものの、江戸にあっては何も知らぬ小娘に過ぎない浜路は、ひょんなことから男たちに追われる優男信乃に出会う。男たちを退け、道節の住む長屋に浜路を送り届けた信乃は、知らぬうちに姿を消していた。
さっそく兄の案内で伏狩りに出、伏である吉原の凍鶴太夫を仕留めたことで、今までの狩りにない感情を味わう浜路。それは再会した信乃という伏に対する、慕情という形で結実するのだった…。
登場人物
- 大山 浜路(おおやま はまじ)
- 声 - 寿美菜子
- 猟師として育てられ、字の読み書きができない14歳の少女。陸奥の山に住んでいたが祖父の死後、兄に呼ばれ江戸に来る。言動が男のような振る舞いをしていたため、男と間違えられることが多く、本人も気にしている。江戸で出会った青年、信乃の優しさに惹かれ、想いを寄せるようになる。
- 信乃(しの)
- 声 - 宮野真守
- 浜路が最初に江戸で出会った謎の青年。若衆歌舞伎深川一座の役者・黒白(こくびゃく)。人と犬の血を引く伏で、首筋に牡丹のアザがある。乱暴な口調でどこか冷たい印象だが、心優しい性格。浜路に対し恋心を抱くようになるが、伏であり狩られる運命に思い悩むようになる。
- 冥土(めいど)
- 声 - 宮本佳那子
- かわら版屋で、滝沢馬琴の孫。浜路と親しくなる。物語終盤において浜路に字の読み書きを教える。
- 大山 道節(おおやま どうせつ)
- 声 - 小西克幸
- 浜路の兄。侍になることを夢見て江戸に上る。伏狩りをして幕府直参になろうとする。
- 船虫(ふなむし)
- 声 - 坂本真綾
- 舟で飯を売っている女性。道節の子を身篭っている。
- 凍鶴(いてづる)
- 声 - 水樹奈々
- 吉原太夫で、伏。親兵衛という息子がいる。
- 馬加(まくわり)
- 声 - 神谷浩史
- 信乃を狙う伏狩りのサンピン侍。信乃に左目を抉られる。
- 徳川 家定(とくがわ いえさだ)
- 声 - 野島裕史
- 「伏狩り令」を出した当代将軍。
- 滝沢 馬琴(たきざわ ばきん)
- 声 - 桂歌丸
- 高齢の流行作家。『南総里見八犬伝』の作者。
- 東太(とうた)
- 声 - 関根航
- 世四郎の息子。
- 番作(ばんさく)
- 声 - 金光宣明
- 腹当てをした河原長屋の住人。浜路に好意を寄せている。
- 百花商店店主
- 声 - 藤原啓治
- 吉原の花魁を相手に商売しているオカマ口調の店主。信乃の知り合い。
- 大角(だいかく)
- 声 - 浜田賢二
- 家定の側近の伏追捕役。下々の者にも分け隔てなく振る舞う実直な武士。
- 網乾(あぼじ)
- 声 - 梅津秀行
- 家定の側近の奉行。大角と馬加の上役。徳川の権威を守ることを重視し、伏や下々の者には冷淡に振る舞う。
- お路(おみち)
- 声 - Chara
- 冥土の母。失明した馬琴に代わり、『南総里見八犬伝』の口述筆記をしている。
- 住職
- 声 - 竹中直人
- 陸奥の国で浜路が世話になっている住職。
- 世四郎(よしろう)
- 声 - 劇団ひとり
- 河原長屋の香具師。妻は5年前に他界。竹蜻蛉や紙風船を売り歩いている。
- 残三(ざんぞう)
- 声 - 納谷六朗
- 船虫の舟を漕いでいる河原長屋に住む船頭。
スタッフ
主題歌
- 主題歌「蝶々結び」 (Ki/oon Music)
- 作詞・作曲・歌 - Chara
- 挿入歌「のこされし者のうた」
- 作詞・作曲・歌 - 浜田真理子
キャッチコピー
- 「人と犬の血をひき、人に化けて暮らす〈伏〉と呼ばれる者たちがいた。」
- 「まっすぐに、走る」
- 「伏を狩らねばならない猟師の少女。人に狩られる運命を背負った青年。二人の間に生まれた儚い想いと決断の物語。」
- 「愛する人を狩らねばならない―」
関連作品
伏 少女とケモノの烈花譚
『伏 少女とケモノの烈花譚』は、月刊ビッグガンガンで連載された原作コミカライズ作品。作画はhakus、脚色構成は続真琴。
伏 銀華と氷刃の猟奇録
『伏 銀華と氷刃の猟奇録』(ふせ ケモノとハガネのりょうきろく)は、日高里菜、杉田智和らが出演するスピンアウトドラマCD。また、アニメディアでショートストーリーを掲載。アプリ『朗読少女』(声 - ささきのぞみ)でも10月26日より配信。
- キャスト
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- スタッフ
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- シナリオ - 七篠トリコ(ニトロプラス)
- キャラクターデザイン - 三杜シノヴ(ニトロプラス)
- 音楽 - ZIZZ STUDIO
- 音響監督 - 高寺たけし
- 音響制作 - HALF H・P STUDIO
- 発売元・販売元 - フロンティアワークス
伏 〜もうひとつのプロローグ
『伏 〜もうひとつのプロローグ』は、2012年9月22日発売『オール讀物』10月号掲載の桜庭一樹書き下ろしのアナザーストーリー。
下町おでかけ帖
『伏×甲斐みのり 下町おでかけ帖』は、公式サイトで配信の甲斐みのりによるエッセイ。カバーイラストはワカマツカオリ。
寿美菜子と宮本佳那子のふせらじ!
『寿美菜子と宮本佳那子のふせらじ!』は寿美菜子と宮本佳那子が出演するWEBラジオ。インターネットラジオステーション『音泉』にて全5回配信。第1回は『京都国際マンガ・アニメフェア2012』イベントステージでの公開収録。
- パーソナリティ
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- コーナー
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- 放送日
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- 第0回 2012年9月14日配信
- 第1回 2012年10月5日配信
- 第2回 2012年10月12日配信
- 第3回 2012年10月19日配信
- 第4回 2012年10月26日配信
ふせらじ!
『ふせらじ!』は宮本佳那子と小西克幸が出演するWEBラジオ。インターネットラジオステーション『音泉』にて配信。全3回。第2回、第3回は『伏の森で逢いましょう』イベントステージでの公開収録[3]。
- パーソナリティ
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- 放送日
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- 第1回 2013年4月12日配信
- 第2回 2013年5月3日配信
- 第3回 2013年5月17日配信
関連作品
脚注
- ^ 桂歌丸、声優に挑戦「出来は座布団15枚くらい」映画『伏 鉄砲娘の捕物帳』 マイナビニュース 2012年10月17日、2013年6月21日閲覧。
- ^ 文藝春秋がアニメ製作 創立90周年で映画「伏」製作委員会の幹事会社 アニメ!アニメ!ビズ 2012年5月18日、2013年11月27日閲覧。
- ^ “宮本佳那子さん&小西克幸さんのふせらじ!本日配信!”. 音泉トピックス. タブリエ・コミュニケーションズ. 2013年5月26日閲覧。
外部リンク