世宗特別自治市座標: 北緯36度35分 東経127度16分 / 北緯36.583度 東経127.267度
世宗特別自治市(セジョンとくべつじちし、朝: 세종특별자치시、英: Sejong Special Self-Governing City)は、大韓民国中部に位置する特別自治市。「行政中心複合都市」と呼ばれる、韓国の中央官庁が集積するニュータウンがある。特別自治市の区域は面積465km2、計画対象区域は面積73km2。 忠清南道旧燕岐郡に公州市・忠清北道清原郡のそれぞれ一部を編入して2012年7月1日に発足した。
歴史建設への経緯韓国の首都機能を、ソウル特別市から韓国中西部に移転する構想は、1970年代からあった。当時大統領だった朴正煕は1976年に、臨時首都候補地を内密に調査するようにとの指示を出した。条件は大田市北方、錦江から可能な限り近い場所。規模は最終的に人口50万人程度といったものだった。そして選定されたのが現在の世宗市付近だった。ただし現在の政府世宗庁舎は場所が違う。1976年に選んだ場所より錦江からやや遠い。大統領官邸、国会、大法院などもすべて移転する計画だった。 この臨時首都移転計画は安保上の問題(ソウルは北朝鮮にかなり距離が近く、通常兵器でも射程範囲内となる[2])と首都の人口過密解消が目的だった。北朝鮮が軍事境界線からFROG(射程距離70km)を発射しても射程圏を少し外れる地域であることも、候補地選定の条件だった。しかし首都移転の予想費用は5兆ウォン、実際に着工すれば3~4倍になる可能性があり、当時の韓国にはそのような余裕がないと判断された。 盧武鉉は2002年に首都移転を公約として[3]大統領に当選し、首都移転論が再び浮上した。そして実際に推進されたが、2004年10月に出された憲法裁判所の首都移転違憲判決によって遷都計画は頓挫。最終的には政府行政機関の一部を移転するに留まり、行政中心複合都市として建設が進められることになった。 盧武鉉政権で推進された世宗市事業は首都圏を基盤とする政治勢力と保守系マスコミによって猛反対された。そのため2008年に李明博政権に交代すると、国会では世宗市の性格と範囲を規定した特別法が「漂流」するようになる。政府も移転機関変更告示をしなかった。 2009年9月3日に鄭雲燦首相(当時)が、「世宗市計画は非効率的で原案通りの施行は困難」と表明したことをきっかけに、李大統領や鄭夢準ハンナラ党代表(当時)も計画修正を打ち出し、与党内部の反対意見を抱えながら11月27日には李大統領が計画修正を明言[4]。2010年1月11日に政府は行政機関移転計画を全面白紙化し、企業や研究機関を新たに誘致して教育・科学中心の経済都市を目指す世宗市計画の修正案を発表した[5]。こうした動きに対し、前政権与党の流れを汲む民主党や忠清南道に強い支持を有する自由先進党(以下、先進党)のみならず、与党ハンナラ党内でも朴槿恵を支持する親朴派を中心に当初の計画案を推進すべきであるとの声が強く、激しく対立していた。6月29日の国会本会議で世宗市整備計画修正案は親朴派議員による造反によって賛成105票、反対164票、棄権6で否決された[6]。こうして世宗市への行政機関移転計画は原案通り推進される運びとなった。 2009年9月までに土地買収に5兆2000億ウォンが投入された。 以後これまでも憲法改正後、世宗市首都移転の声が政治圏から周期的に出ており、大衆にもいつか行政首都が誕生すると、その対象は世宗市になるという期待感が混ざっている。したがって、不動産価格も依然として高い地域に属している。 2027年、国会議事堂世宗分院も設置される予定である。 命名2006年12月21日、行政都市建設推進委員会(委員長・韓明淑首相)は全体会議で、行政都市名最終候補の中から「世宗」を選定した。このほか候補には金剛(クムガン)、ハンウルがあった。 この都市名は、李氏朝鮮第4代国王の世宗にちなんだもので、また「世の中(世)の一番上(宗)という意味を持つ」という[7]。 行政区画変動
なお、韓国の地方行政においてはソウル特別市、および主要都市の広域市とほぼ同じ権限を持っているため、道からは独立する行政となる。 人口変動当初、生活基盤施設が十分整備されておらず、多くの政府公務員がソウル都市圏から通勤し、夜間人口が少なく休日には人がいなくなることから「セベリア」(世宗とシベリアの合成語)と揶揄されたこともあったが、その後公務員の転居が進み、人口は増加している[9]。
今後の予定世宗市は現在も建設中であり、2007年から2030年までに3段階の事業計画が進められている。最終的に2030年には面積73平方キロメートル、人口50万人を達成するように設計されている[10]。2030年の人口予定は80万人ともいう[3]。 行政
特別自治市は特別市・広域市や道と違って下位に区や郡・市を置かない、韓国の地方行政区分としては特殊な形態の広域自治体である。
市長・議会
警察
消防人口世宗特別自治市の年度別人口の推移[13]
交通鉄道この他、市内を京釜高速線・湖南高速線・五松線が通過しているが、市内に駅は設置されていない。ただし、KTX・SRT停車駅の五松駅(忠清北道清州市興徳区)は鳥致院駅から3.5kmの距離にあり、バスで連絡できる。 高速道路
国道バス
教育大学校国立 私立
専門大学大学院大学移転機関当初、中央省庁の18部4処16庁(部は日本の省に相当)のうち、12部4処2庁が移転することが内定していたが、2008年の李明博政権発足に伴う政府組織改編で、9部2処2庁に変更され、2017年1月に移転が完了した。2017年5月に成立した文在寅政権では、移転機関の数が18部5処17庁に変更された[14]。2019年には行政安全部、および果川市から科学技術情報通信部の移転が確定した[15]。 脚注出典
関連項目外部リンク
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