一関工業高等専門学校(いちのせきこうぎょうこうとうせんもんがっこう、英称:National Institute of Technology, Ichinoseki College)は、岩手県一関市にある日本の国立高等専門学校である。1964年に設置された。略称は一関高専。
沿革
概観
教育目標
一関高専では、教育目標を以下のように定めている。
- A 国際社会の一員として活動できる技術者
- B 誠実で豊かな人間性と広い視野をもつ技術者
- C 広い分野の基礎知識と優れた創造力・開発力をもつ技術者
- D 継続的に努力する姿勢とさかんな研究心をもつ技術者
- E 協調性と積極性をもち信頼される技術者
- F 技術と社会や自然との係わりを理解し社会的責任を自覚できる技術者
成績評価基準
一関高専では成績評価を100点法により行い、学業成績を「優」、「良」、「可」及び「不可」の評語によって表している。以下からもわかる通り、赤点は60点未満である。
- 優: 80点以上
- 良: 70点以上80点未満
- 可: 60点以上70点未満
- 不可: 60点未満
設置学科
平成29年度の学科改組により現行の4学科から4系・7分野で構成される新たな総合学科「未来創造工学科(Department of Engineering for Future Innovation)」が誕生した。これにより2016年度までの入学生は従来の4学科、2017年度の入学生からは未来創造工学科に所属し、後者は2年生進級時に4系のうち1つを選択して進級する。本科卒業で準学士の学術称号が与えられる。
専攻科は本科終了後、2年間の教育・研究を行う高等教育課程。専攻科で所定の単位を修得し、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構に申請することで、学士(工学)の学位が授与される。
本科(準学士課程)
(2016年度まで入学生)
- 機械工学科(Department of Mechanical Engineering)
- 電気情報工学科(Department of Electrical and computer Engineering)
- 制御情報工学科(Department of Intelligent Systems Engineering)
- 物質化学工学科(Department of Chemical Engineering)
(2017年度以降入学生)
- 未来創造工学科
- 機械・知能系(Division of Mechanical and Intelligent Systems Engineering)
- 電気・電子系(Division of Electrical and Electronic Engineering)
- 情報・ソフトウェア系(Division of Computer Engineering and Informatics)
- 化学・バイオ系(Division of Chemical Engineering and Biotechnology)
専攻科(学士課程)
(2021年度まで入学)
- 生産工学専攻(Advanced Course of Prodection Engineering)
- 物質化学工学専攻(Advanced Course of Chemical Engineering)
(2022年度以降入学)
- システム創造工学専攻(Advanced Courses in System Innovation Engineering)
「生産技術情報システム工学」教育プログラム
本科4年生から専攻科までの4年間で履修できる教育プログラム。本科4、5年生を「プログラム前期履修生」専攻科生を「プログラム後期履修生」と呼ぶ。2005年5月12日には日本技術者教育認定機構の認定を受けた。この教育プログラムを終了するには以下の6つの要件を全て満たさなければならない。
- 学士(工学)の学位を取得する。
- 124単位以上(専攻科では62単位以上)を修得する。
- 1800時間以上の総学習保障時間が満たされている。
- 「分野別要件を満たすための基礎工学に関する5つの項目群」「分野別要件を満たすための専門工学に関する4つの知識・能力」で示された内容を満たしている。
- TOEIC400点以上、もしくは同等以上の英語能力を有する。
- インターンシップの単位を修得している。
これにより、修了生には次の資格が与えられる。
- 修習技術者となる(技術士第1次試験合格者及び同等と認められる)。
- 実務経験4年で技術士第2次試験の受験資格が与えられる。
これらは、日本技術者教育認定機構に認定されたものに一様に見られるものである。
学生生活
校則は無いに等しく、服装や頭髪は自由である。始業は8時50分で3時間または4時間授業(一コマ90分)、終業は14時50分または16時40分である。それゆえ放課後が長く、部活動や資格取得の勉強など自由に時間を使える。また高等教育機関ということもあり、他の大学と同様、夏季休業期間や春季休業期間が長い。
部活動
一関高専には14の運動部、8つの文化部、5つの技術部がある。
運動部
- 硬式野球部
- ソフトテニス部
- 陸上競技部
- バレーボール部
- バスケットボール部
- サッカー部
- 柔道部
- 剣道部
- ハンドボール部
- 硬式テニス部
- 水泳部
- バドミントン部
- 空手部
- 卓球部
文化部
- 写真部
- 化学部
- 吹奏楽部
- 軽音楽部
- 茶道部
- ダンス部
- 美術部
- よさこい部
技術部
- 機械技術部
- 電子計算機部
- 自動車部
- 総合技研部
- 映像制作部
高専ロボコン
活動
活動は主に管理教育棟3階の工学デザイン室で行われているが、授業で利用されるため占有はしていない。
一関工業高等専門学校では、NHK全国高専ロボコン第1回大会「乾電池カーレース」から毎年出場しており、主に出場している機械技術部の部室には、今でも初代マシンが眠っている。
マスコットキャラクター
機械技術部のマスコットキャラクターとして『カヲルピングー君』が存在する。
これは、十数年前の学生が顧問の『ピングーのソフトビニール人形』と『渚カヲルぬいぐるみ』を合体させたものである。
戦績
- 1992年第5回大会「ミステリーサークル」では『ころころ君』が全国大会優勝。決勝戦は同点による延長戦。
- 1997年第10回大会「花開蝶来」では『高飛車』が全国大会準優勝。
- 2007年第20回大会「風林火山」では「風林火山賞」受賞。
- 2012年第25回大会「ベスト・ペット」では『椀子兄弟』が全国大会優勝。決勝戦は同タイムによる再試合。
- 2018年第31回大会「Bottle-Flip Cafe(ボトルフリップ・カフェ)では『一角』が全国大会優勝。
付属施設
- 視聴覚室、会議室、LT教室、図書館などからなる。
- 購買、学生食堂、保健室、学生相談室などからなる。
- 北寮、南寮、新南寮、東寮、白萩寮(女子寮)の5つの居住棟からなる。
- 機械実習工場
- 化学実習工場
- 体育館
- 武道館
- プール
- ハンドボールコート
- テニスコート
- 陸上競技場
- 野球場
対外関係
他大学との協定
国内大学
- 放送大学学園と単位互換協定を結んでおり、放送大学で取得した単位を卒業に要する単位として認定することができる[2]。
研究機関
- 公益財団法人岩手県南技術研究センターの理事に校長が就任しており[3]、さらに研究開発部長として教員を派遣[4]している。
一関工業高等専門学校教育研究振興会
地域企業等により、一関高専の教育研究の振興を図り、相互の連携を密にして地域社会の発展に資することを目的として設立された。
(令和5年6月現在 110事業所)[5]
事故
1973年5月、柔道の授業中、男子学生(当時1年生)が教諭の投技を受けた後失神、急性硬膜下血腫の診断。以降、要介護の寝たきり状態。1977年2月10日に1審、1984年9月28日の2審とも原告(被害家族)の訴えを棄却。
- 関連書籍
- わが子に言葉なく―ある学校事故の記録 三浦孝啓(著)総合労働研究所 (1978/09) ASIN B000J8LX86
名誉教授
一覧
- 島 美 1989年(平成元)4月3日発令
- 昆野 忠康 1990年(平成2)4月1日発令
- 小松 正 1992年(平成4)4月1日発令
- 大井 正 1994年(平成6)4月1日発令・従四位・瑞宝小綬章[6]
- 玉木 康夫 1996年(平成8)4月1日発令
- 飯岡 圭輔 1998年(平成10)4月1日発令
- 及川 了 2001年(平成13)4月1日発令
- 内海 健 2002年(平成14)4月1日発令
- 髙浪 五男 2005年(平成17)4月1日発令
- 平山 芳英 2005年(平成17)4月1日発令
- 板垣 忠昌 2005年(平成17)4月1日発令
- 中野 光昭 2006年(平成18)4月1日発令・瑞宝小綬章[7]
- 小田嶋次勝 2006年(平成18)4月1日発令・従四位・瑞宝小綬章[8]
- 佐々木世治 2007年(平成19)4月1日発令・瑞宝小綬章[9]
- 梅内 晴成 2007年(平成19)4月1日発令
- 佐野 茂 2007年(平成19)4月1日発令・瑞宝小綬章[10]
- 奥山与惣美 2007年(平成19)4月1日発令・瑞宝小綬章[11]
- 高橋 満弘 2008年(平成20)4月1日発令
- 吉田 武司 2009年(平成21)4月1日発令
- 菅野 昭吉 2009年(平成21)4月1日発令
- 長谷川淳一 2009年(平成21)4月1日発令
- 髙橋 英則 2009年(平成21)4月1日発令
- 西山 憲夫 2011年(平成23)4月1日発令
- 丹野 浩一 2012年(平成24)4月1日発令・瑞宝中綬章[12]
- 梅野 善雄 2013年(平成25)4月1日発令
- 佐藤 昭規 2015年(平成27)4月1日発令
- 菅野 俊郎 2017年(平成29)4月1日発令
- 柴田 尚志 2018年(平成30)4月1日発令
- 畠山 喜彦 2018年(平成30)4月1日発令
- 貝原巳樹雄 2020年(令和2)4月1日発令
- 渡辺 仁史 2020年(令和2)4月1日発令
- 吉田 正道 2021年(令和3)4月1日発令
- 松尾 幸二 2021年(令和3)4月1日発令
- 豊田 計時 2021年(令和3)4月1日発令
- 小野 宣明 2022年(令和4)4月1日発令[13]
- 戸谷 一英 2023年(令和5)4月1日発令[14]
- 明石 尚之 2024年(令和6)4月1日発令[15]
- 二階堂 満 2024年(令和6)4月1日発令
出身者
脚注
関連項目
外部データ
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1980年代 |
- 1988 沼津 (トミ-88)
- 1989 久留米 (コロコロスットン号)
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1990年代 |
- 1990 仙台電波 (テト坊)
- 1991 東京 (寮さん)
- 1992 一関 (ころころ君)
- 1993 旭川 (大雪山ジムカデ号)
- 1994 豊田 (SUCCESS)
- 1995 航空 (緊急発進!!Tokyoタワー)
- 1996 徳山 (午前10時)
- 1997 都城 (Mの国)
- 1998 豊田 (生命侵略)
- 1999 宮城 (Quarter)
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2000年代 |
- 2000 詫間電波 (ミレニアム・リサイクラー)
- 2001 詫間電波 (チャレンジャー)
- 2002 北九州 (Flex)
- 2003 旭川 (Untyred)
- 2004 松江 (それいけアルゴン)
- 2005 津山 (単構造)
- 2006 詫間電波 (ARK)
- 2007 北九州 (クルポン)
- 2008 沖縄 (Movement)
- 2009 香川詫間 (SKY)
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2010年代 |
- 2010 鹿児島 (Rose Road)
- 2011 仙台名取 (OR)
- 2012 一関 (椀子兄弟)
- 2013 徳山 (色とりドリィ)
- 2014 熊本八代 (本気の宅配便)
- 2015 奈良 (大和)
- 2016 香川高松 (八機八構)
- 2017 北九州 (ReVictor)
- 2018 一関 (一角)
- 2019 香川詫間 (again)
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2020年代 | |
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*印の2020年大会のみ「超優秀賞」 |