ヨーヨーヨーヨー (yo-yo, yoyo) とは、玩具またはスポーツの1つである。一般的に木製もしくは、プラスチック・金属製の2つの円盤を短軸で連ね、軸(アクセルと呼ばれる)に紐(ストリングと呼ばれる)を巻きつけた形状をしたもののことを指す。遊ぶ際は紐の一端にフィンガーホールという輪を作り、そこに指を通して円盤の部分を上下させて遊ぶ。技は2種あり、以下で解説する。 歴史遊具としてのヨーヨーの起源は古く、多くの古代社会においてヨーヨー遊びが取り入れられてきた。考古学的にみると、玩具として人形の次に古い起源を持つほどである。本来の起源は中国にあると考えられているが[要出典][いつ?]、古代ギリシアにおいても紀元前500年時点でヨーヨーに似た遊具が登場したことが分かっている。アテネの国立博物館には、ヨーヨー遊びが描かれた花瓶とテラコッタ製のヨーヨーが展示されている。ヨーヨーは交易路を通じてアジアとヨーロッパに広まり、スコットランド、イングランド、インド、エジプトにまで伝わった。フランス革命当時は亡命者émigréの遊びとしてヨーヨー自体をémigretteまたはémigrantと呼び、大流行となった。フランス革命の混乱から来るストレス解消に役立つものだと捉えられていた。ヨーヨーはフィリピンにまで伝わったが、アメリカで大流行になるまでしばらくの間、地元民の遊びに留まっていた。 フィリピンにおいて、ヨーヨーは現代の形状に次第に近づいていった。このため、ヨーヨーは本来フィリピンに起源があり、数世紀の歴史があると主張するものもいる。yo-yo(ヨーヨー)という名前自体、タガログ語のcome-comeという意味を持つ単語に由来すると一部には信じられている。しかし、yo-yoはタガログ語由来ではなく、comeという意味を持つ単語はタガログ語ではdumatingである。ただし、yo-yoという語がフィリピンで使われていた他の言語に由来する可能性はあり、その理由として、yo-yoという単語が印刷物に現れたのは1860年に出版された「フィリピン語」の辞書であることが挙げられる。 日本での大流行江戸時代中期ごろに中国から伝来した長崎で流行、享保年間初期には京坂で売られ、やがて江戸でも流行した[1]。当時は手車、釣り独楽と呼ばれた。 1933年(昭和8年)、洋行帰りの教員がアメリカ土産として持ち帰り再流行した。いわゆるモダンボーイやモダンガールと呼ばれた者が楽しんでいたが、訓練を要さず誰でも手軽に楽しむことができたので、サラリーマンや学生の間にも広まり、大阪でヨーヨーの競技大会と思しきイベントが開催されるなど、老若男女の別なくヨーヨーを持ち歩くようになった。 小学生の間でも瞬く間に流行し、1個10銭のヨーヨーをねだられた親が学校に禁止するよう訴えた話も残る[2]。 また、同年、東京・日比谷にあった仮国会議事堂を警備哨戒中の一警邏が、職務中にヨーヨーで遊んでいたとして「職務怠慢」による懲戒免職に処せられた。弘文社(大阪市にある同名の弘文社とは異なる)より、ヨーヨーの歴史や遊び方、実際のトリックを解説した専門書『ヨーヨーの競技と遊び方[3]』が出版されている。翌年初夏には既にブームが沈静化している。 戦後の日本では、1970年代にコカ・コーラの販促品をきっかけにした第三次ブーム(コカ・コーラの認証を受けた物には「GENUINE RUSSELL YO-YO」(真正ラッセルヨーヨー)の文字が印刷されていた)、1980年代にスケバン刑事による第四次ブーム、1990年代にバンダイのハイパーヨーヨーによる第五次ブームが起きている。 武器説俗説とは異なり、ヨーヨーが武器として使われた証拠、何らかの武器に由来するという証拠は存在しない。周囲に鋭利な刃物を備えたヨーヨーを武器とすれば、動物の狩りに使用できるかもしれないが、ヨーヨーを安全に手元に戻す方法がない以上実用的ではない。武器として使われたという俗説はフィリピンに起源があると考えられる。16世紀のフィリピンでは鋭利な石を紐に結わえて樹上から獲物を狩っていた。近代的なヨーヨーの起源も当時のフィリピンであることから、ヨーヨーの起源に関して混乱が生じたと考えられている[5]。 基本的な遊び方簡単なヨーヨーでは、ひもの先端は円盤の間の軸に固定されている。軸にひもを巻き付けてから、ヨーヨーを下に落とせば、ひもがほぐれ、かつヨーヨーは回転しながら落ちてゆく。ひもが伸びきればそれ以上落ちることができないが、ヨーヨーは慣性で回転を続けようとするため、今度は反対向きにひもを巻き込んでよじ登ってくる。 この際、摩擦抵抗があるので、手を動かさないでいるとヨーヨーは手元まで登りきらない。完全に登らせるため、実際には落とすときには投げ下ろすようにして初速を与え、上がる直前には素早く手を引き上げる動作をする。この引き上げる動作は、回転をさらに加速させると同時に、ヨーヨーが落ちる動き(垂直方向の慣性)を反転させる効果がある。このようにして、ヨーヨーを素早く確実に手元まで引き戻すことができる。またこれを応用すると、下向きだけでなく横など様々な方向へ投げ出し、手元へ素速く引き戻すことも可能である。 ヨーヨーは、軸を中心にしての回転を用いて遊ぶ点で、独楽と共通点がある。水風船を輪ゴムや紐で吊るした水ヨーヨーというものもあり、これも水風船を掌から放したり引き寄せたりして遊ぶが、その運動は、むしろ手鞠に似ている。 高度な遊び方簡単なヨーヨーでは、ひもが軸に固定されていた。しかし、ひもを軸に固定しないタイプが生まれ、遊び方が高度化した。先端を輪にしたひもをヨーヨーの軸にかけ空回りするようにしたものや、ヨーヨーの軸となる部分にプラスチック製のものや金属ボールベアリングなどの軸受を取り付け、その上にひもをつけることによってひもが直接回転軸に触れないようにしたものなどがそれである。そのまま巻き付けて使えば、普通のヨーヨーと同じように使えるのだが、ひもが伸びきっても回転を止める抵抗がないため、ひもは逆方向に巻き取られず、ヨーヨー本体だけが落下時の方向にいつまでも回ることになる。しかし、このままだとひも巻き取る手段がないため、本体の回転軸近くにひもに対する抵抗となる構造上の突起や高摩擦のシールなど(レスポンスと呼ぶ)を設けておく。そうすると、回転中にヨーヨーのひもを引っ張るなどしてひもにたるみを与えることによって、ひもがひっかけ抵抗に絡まるため巻き取ることが可能となる。 また、ヨーヨーを引っ張ってもひもが引っかからない程に本体同士の感覚を広く設けたタイプもあり、このタイプは更に回転時間が長く、全体の幅の広さやひもが絡みにくいことからストリングトリックに優れている。ヨーヨーを巻き取るためには「バインド」と呼ばれるトリックで紐を絡め取り巻き取ることから、このタイプのヨーヨーは「バインド仕様ヨーヨー」と呼ばれる。 現代のヨーヨー本体の材質は主にプラスチックであり、また競技用ヨーヨーにおいては金属製の本体を用いたものも普及している。本体外周部に本体より高密度のリムを設けることで回転力を高めたバイメタル(本体部がプラスチックのものはバイマテリアルと呼ばれる)ヨーヨーもある。 このような回転のあるヨーヨーは、回転中はジャイロ効果により横に倒れにくいという特徴をもっているため、様々なパフォーマンスができるようになった。ウォーク・ザ・ドッグ(犬の散歩)やエレベーターなどは、トリックと呼ばれる技の例である。なお、現在のヨーヨー空転時間(スリーパー)の世界記録は2012年の世界大会で香港のSimpson Wong Wai Sheukが樹立した30分28秒30である[6]。 プレースタイルにも種類があり2023年現在では大まかに以下の5つの部門に分類される[7][8]。
以上の5スタイル以外にもプレイスタイルは存在する。
世界的な大会としてWorld Yo-Yo Contestが存在する。 日本では語呂合わせで日本ヨーヨー協会が4月4日をヨーヨーの日と制定[16]、外国では6月6日(National Yo-Yo Day)であり、ヨーヨーを世界的に有名にした立役者であるドナルド・F・ダンカンの誕生日である[17]。 スピナーかつてはヨーヨーで遊ぶ人のことをスピナーと呼んでいた。これは1997年にハイパーヨーヨーを発売したバンダイが当時ヨーヨーをプレイしていた人たちの呼称として採用していたもので[18]、現在では使われる機会が減っている。日本を含め、ほとんどの世界各国の大会運営組織はスピナーという呼称を用いず、単にプレイヤーと呼んでいる[19][20]。 ヨーヨーを扱った作品ヨーヨーを主題とした作品
ヨーヨーが武器として使われる作品
脚注出典
関連項目外部リンク
|